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解放 4

読んでください!!

どう言う事?

心臓発作とか? 脳梗塞とか?

倒れた男をもう一度良く観察してみた。

けどそれ以前に目の前で人が死んだのに特に何も感じない。

いえ、どちらかというと高揚感というか喜んでいる私を感じる。

だって、私はこいつらを本気で呪ってやると思っていた。

私をこんな目に会わせた奴らを全て許さないと思っていた。

それは今でも同じだ。

この馬車の外にいる連中も殺してやりたいと思うほどに憎んでいる。

だから目の前のこの男が死んだのであれば私にとってこれ以上ない結果。

だけど、何故死んだの?

確か・・・私の心臓が跳ねた様に感じる程強く鼓動したその後だ。

良く思い出してみる。

そう先ず心臓が跳ね上がって・・・その後体中の血が激しく動いて・・・そうよ! その血に流れがこの死んだ男に勢いよく向かって行った気がする。


「もしかして私が殺した? でもどうやって?」


よく分からない。

でも、もし私にそんな力があるなら・・・・こいつらを全部殺せる・・かも・・・フフ。


「おい! まだか? さっき倒れる様な大きな音まで出して何テンション上がってんだ!! 次が(つか)えてんだぞ!」


馬車の外から大声の男の言葉が聞こえてきた。

もう死んでいるのに騒いだって返事なんかないわよ。

私は殆ど素っ裸な状態だったので、最初に兵隊に殺された男から外套(がいとう)を剥ぎ取り、すっぽりと体を覆うとゆっくりと荷馬車から顔を覗かせた。


「ん? 何だガキか。あいつはどうしたんだ?」


私が荷馬車から一人で出て来たのを不審に思ったのか、隊長と言われていた男が、私を押し退け荷馬車に入ろうとした。

でも、そこまでだった。

私は隊長が体に触れた瞬間、さっきのイメージと同じ様に自分の血の流れを隊長の体の中に向けて動かした。


「?! あ! がぁ、あああ?! お、おま・・え・・・・」


倒れる前に私の肩を掴み力を込めようとしたのだろうけど、そんな時間を与える前に隊長さんは荷馬車の中に向かって、ドシン!! と倒れ込んでいった。


「た、隊長!?」

「おい! 何がどうした?!!」


馬車の外で待機していた二人の兵隊は、荷馬車に入ろうと私の横を通っていた隊長が突然倒れた事で動揺し大声で叫び出した。


「おい! ガキ! 隊長に何をしたんだ!?」

「動くな! 動いたら即刻首を()ねるぞ!!」


動揺する二人の兵隊は私に向かって怒鳴り、その勢いで腰に挿してあった長剣を抜き構いだした。

私はその忠告を無視して隊長の携えていた長剣を手に持ち抜き出した。

今の私の身長より長い長剣なのでかなり重い。

けど・・・・私はその長剣の先端を荷馬車の床に挿すようにして立たせると空いたもう片方の手首をその刃にスーッと沿わせた。

当然赤い血がその傷から流れ出していく。


「このガキ何をしているんだ?」

「自殺か?」


私の不思議な行動を理解できない二人の男は、どうすれば正解なのか分からずその場に留まっていた。

もし、今の時点で私の躊躇なく斬りかかっていれば私は死んでいたかもしれなかったのに・・・

長剣に私の血が纏わりつくように流れて行く。

そう、本当に纏わりつく。

まるで血そのものが生きているかのように。

そしてその血はドンドンと広がり、最終的に長剣を完全に覆ってしまった。


「こいつ! ヴァンパイアか?!」

「いや! ヴァンパイアがこんな血を操作するなんて聞いた事がないぞ?!」


あきらかに動揺が大きくなる兵隊たち。

その二人の兵隊に私は片手で軽々と持ち上げた剣先を向ける。

どうしてこんな事が出来るのか分からない。

だけど私の中の何かが教えてくれる。

これが私の力。

呪われた血を操る者、それが私なんだと。

どうでしたでしょうか?

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