だいたいこんな世界だしこんな生い立ち
前世。
平和な日本に生まれ、小学校から始めた空手を高校まで続けて、全国大会で優勝した。
進学した学校が文武両道を掲げていたので、勉強も手を抜かなかった。
一般的な家庭だったので、合宿の際の遠征費用などお金がかかることも多かったが、奨学金を利用してなんとか賄っていた。
周りから見れば順風満帆とも言える過去だと思う。
しかし人生が終わるのは一瞬で、部活帰り、制服であるセーラー服を着て歩いて帰っていた私は通り魔に襲われた。
後ろから背中を刺され、激痛と犯人の狂った笑い声が最後の記憶。
それが守澤くるみ、私の前世の記憶だった。
そして今世。
俺は冬の寒い日に、教会の前におくるみに包まれて捨てられていたらしい。
名前はカイト。
光魔法と聖魔法に適正があり、教会では神父見習いとして育てられた。
教会には神父、シスターとそれらを守る教会騎士がいる。
自分としての意識がしっかりし始めた3歳頃、教会のきしたちが、無手で組手を行っているのを見て唐突に前世を思い出した。
そこからは少々記憶の混乱があったり性別についての葛藤もあったのだが割愛。
神父ではなく教会騎士に転向して、日々魔法と体を鍛える日々だ。
さて、この世界は、大きな大陸は2つと小さな諸島群からなる地球のような海が大部分を占めている。
ドワーフもエルフもいるようだが、ドワーフはともかくエルフはほぼ見ない。
大きな大陸のうちの一つに、光の森を内包する大森林があるらしく、そこに引きこもっているらしい。
たまにエルフ国の工芸品や薬なんかが高値で取引されているのを見るので、全くの没交渉ではないらしい。
ドワーフはひとつの国に一人二人は大体いる。
腕利きの鍛冶屋として開業していることが多い。
そしてさらっと紹介したが魔法。
これは割と日常的。
小さい魔法なら大体みんな使える。
火種を起こす、コップ一杯分の水を出すえとせとら。
しかし得意な属性というものがあって、一般人はだいたい1つ。
魔力をコントロール出来ないと、ボヤ騒ぎを起こしたり突然家の床が水浸しになったりハプニング続出するので、小さい頃から教会で手ほどきを受ける。
そこで属性が2種類以上ある場合は魔法師としての資格ありと判断され、国の教育機関に強制連行される。
この世界、ほとんどの国が王政だから割とこういう無茶が多い。
小さい子を親元から無理やり話すとか。