大きなベルトコンベア
はじめましてmoamです。この作品があなたに読まれることを心よりうれしく思います。あなたに巡りえたのも何かの縁でしょう。どうかこの小説を見ていってください。
注意、この作品の登場人物は名前がありません。人物を差別化するために主人公のことを〇とします。
見渡しても見覚えも何もない場所であることに〇は不安感を募らせていた。幸いにもその場所にいるのは〇だけでなくたくさんの人がいた。この場所の手がかりを探るため近くにいる人に声をかけた。
〇「すいません。少しお尋ねしたいことがあるのですが、よろしいですか。」
「はい、いいですよ。どうかされましたか。」
〇「この場所について知りたいのです。」
「この場所、というのはどこのことでしょうか」
〇「ええと。私たちがいまいる空間のことです。」
「質問がよくわかりませんね。ここは普通の場所ですよ。」
ここが普通の場所。とてもそうは見えなかった。見渡しても知らない空間で、知らない人がたくさん並んでいる。建物も一つとして見当たらず、ただ人が存在する。そんな場所が普通の場所だと思えるはずがなかった。
そして〇は一つの考えに至った。「きっと、この人は異常なんだ。」と。そう考えた〇は話を早々に切り上げてほかの人に質問することにした。
〇「すみません。少し質問してもいいですか。」
「はい。構いませんよ~どうしました。」
〇「この場所について知りたいのですが。」
「この場所ですか。」
〇「はい。この場所はどういった場所なのでしょうか。」
「んー。質問の意図がよくわからないですね。そんなに変な場所ですかね。」
〇「見覚えのない場所なので。」
「なるほど。まぁ、普通の場所ですよ。そんなに気にすることもないと思いますよ。」
〇「はぁ。ありがとうございました。」
この人もさっきの人と同じような反応だった。異常な人に連続してであってしまうなんて、なんて運がないんだと嘆く。その一方で次の人もまたおかしな人なんじゃないかという不安が湧いてくる。しかし偶然だろうと切り捨てて次の人に質問をしにいくのだった。
〇「すみません。質問してもいいですか。」
「あぁ、構わんよ。」
〇「この場所って何ですか。」
「おかしな質問をするね。別に何の変哲もない場所だと思うが。」
「あぁ、この人もか。なぜこんなにもおかしな人と出会ってしまうのか。」そんなことを思いながら、この後も様々な人に同じ質問をした。しかし皆が似たような反応ばかりで得られるものはなかった。「このまま続けていてもらちが明かない。」そう考えた〇は質問の内容を変えてみることにした。
〇「すみません。少し質問をしてもいいですか。」
「ああ、いいよ。どうしたの。」
〇「あなたはどうしてここに来たの。」
「わからないな。」
〇「わからない。」
「そうわからないよ。」
〇「わからないのにここが普通だと感じてるの。」
「そうだね。でも別に気にすることでもないだろう。ほかの人にでも聞いてごらんよ。きっと皆わからないさ。でも皆ここにいるだろう。だから僕もここにいるんだ。」
〇「そうか、ありがとう。」
「ああ、また質問があったら聞いてもいいよ。」
頭が混乱する。なぜ見知らぬ場所なのにもかかわらず、疑いもなくいれるのか。一度心を落ち着かせるために休憩をとることにした。自分のいる場所にはたくさんの人がいる。しかしその人達は皆異常なのだ。「こんな場所にいては碌に休むことなどできないだろう。」そう考えた〇は人々をかき分けて人の少ない場所を探した。
ある程度進むとあることに気が付いた。自分たちの立っている場所には端があったのだ。端からは何なく底も見えない。落ちてしまったらどうなるのか想像もしたくない。このことについても近くの人に聞くことにした。
〇「すみません。ここから落ちたらどうなるのですか。」
「わからないわ。ただただ怖いって思うわ。」
〇「そうですか。あ、では私たちはどこに向かっているのですか。」
「ごめんなさいね。それもわからないわ。でも皆そこに向かっているのだから、こっちのほうがいいわよ。」
確かにそうだ。何をもってここが異常だと思っていたのだろう。そもそもここにいる以前の記憶すらないというのに。本当はずっとここにいてたまたま頭が混乱してこんな風に思ってしまったのだろう。はじめから疑う必要なんてなかったのだ。私はここにいたし、皆もここにいたのだから。
そんなことを考えている時だった。
遠くのほうから大きな声が聞こえた。
「お前らどうしたんだ。気味が悪い。なんでそんなにみんなで居たがるんだ。しかもそろいもそろってつまらなそうな顔してよ。」
誰かが叫んでいて。それを周りの人がおろおろとしながらなだめていた。
「別にいいだろ。俺がどうしようがお前らには関係ないだろうが。俺はこんな気味悪いところにいたくないね。降りるわ。」
「やめておきなさい。何があるかわからんぞ。」
「それはこの先も同じだろうがよ。お前らみたいにつまらなそうにしてるやつらが進む先なんてつまらないに決まってる。だったら俺はここから飛び降りてやるさ。」
そういって叫んでいた人は高笑いをしながら本当に飛び降りた。その人が落ちていく様を目視できないほどその人の体が小さくなるまで眺めていた。
「ああ、可哀そうに。」「このまま乗っていたほうが絶対に良かったのに。」「馬鹿なやつがいるもんだ。」などと飛び降りた人を憐れんでいた。〇もその一人だった。
〇は周りの人同様にただこのベルトコンベアが進んでいくままに身を任せるのだった。
ここまで読んでいただきありがとうございました。終始よくわからない内容だったのではないでしょうか。この作品は私が思ったものを文字化してみたものです。設定ががばがばなのもそのせいで特にこだわっているわけではありません。もし私がこの世界に行ってしまったら、迷わず飛び降りる馬鹿になりたいものですね。