始まり
やっと見えてきた。遠くからでも見える高い城壁、行きかう商人たち。王都がついに見えてきた。
長かった馬車の旅も終わりだ。
あそこから、俺の夢が始まる。
「よし、通っていいぞ」
検問所のチェックをうけて門を抜ける、そこに広がっていたのは荘厳な建物の数々、活気にあふれた人々、田舎とは何もかもが違う景色だった。俺はその景色に圧倒され立ち尽くした。
「おいっガキ!邪魔だ」
「うわっ、すんません」
危ない危ない、馬車にひかれるところだった。とりあえず、寮に行かないと。とりあえず、誰かに道を聞くか。
「すんません、メディロフィアアカデミーにはどうすれば着きますか?」
「メディロフィアかい?それならこの大通りをまっすぐ行けばつくよ」
「そうか、ありがとうおばあさん」
それにしても、すごい街だな。歩いてるだけで楽しめる。おっと、見えてきたあれかな?
俺はアカデミーの門を前にして思わず息をのんだ。街に入ったときにも圧倒されたが、そのときとは最初に見た景色がかすれてしまうほどの荘厳な雰囲気、圧倒的な威圧感があった。
「やべぇ」
思わず声が漏れる。
自分はとんでもないところに来たのかもしれない。