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その者たち勇者につき

短編「もし、勇者パーティーが人狼、魔女、吸血鬼、大悪魔だったら」の連載版となります。短編の方をお読みの方は3話から御覧ください。

……………………


 ──その者たち勇者につき



 人類と魔族との戦争が始まってから20年。



 人類はかつてないほどに追い詰められていた。


 この人類発祥の地にして人類の生存圏であるエウロパ大陸も魔族の激しい侵攻を受け、都市が陥落し、国家が崩壊し、人類の生存圏はじわりじわりと減少の一途を辿っていた。このままならば魔族たちは3年以内にエウロパ大陸を支配し、人類の生存圏はなくなるだろう。状況はそれほどまでに危機的であった。


「ひゃっはー! 人間狩りだー!」


 新たに魔族の手に落ちた都市ハーナルガルツでは魔族による蛮行が行われていた。


「逃げろー! 魔族だー! 逃げ──……」


 警報の鐘を鳴らしていた都市の自警団の男性が矢に射られて地面に落ちる。


「殺せえ! いたぶってから殺せえ! 人間どもの悲鳴で今日も酒が美味い!」


 異形の魔族たちの指揮を執るのはゴリラが知性化して、そのまま世紀末を迎えたらこうなるだろうなという感じの見事な世紀末ファッションに身を包んだ3メートルはある大猿だった。手に刀身2メートルはある巨大な刀剣を握り、近くにいた人間の頭を掴んで地面に叩きつけていた。人間の顔面は原型を留めておらず、ミンチになっている。


「カクエン様。街の警備は全て鎮圧しました。降伏者は広場に集めてあります」


「いいぞお。こらから宴の始まりだあ」


 部下の蛙頭の男が告げるのに、カクエンと呼ばれた大猿は景気よく笑いながら、人間の死体を引き摺って広場に向かった。


 よく見れば、このカクエンという大猿が纏っている革の装飾品は人間を素材としたものだ。人間の革を剥し、なめして革の道具として利用しているのだ。人間の顔の形がそのまま残っていたり、手足の形がそのまま残っていたりする。グロテスクなものだ。


 それは魔族の残虐性を示している。


 魔族は人類が生まれた後から生まれた者たちだが、その本能は破壊・殺戮・略奪で満たされている。彼らは何も創造的な行動をせず、ただただ破壊を広めて回っている。それが人類から見た魔族たちの姿であった。


「お前たちが降伏したものたちかあ?」


 広場にはこの街で最後まで抵抗していた自警団と騎士団の団員たちが捕らえられ、鎖で繋がれていた。強力な魔族を前にして抵抗する意欲を失った彼らは死んだ魚のような目をして、地面に俯いていた。


「どうしてやろうかなあ? まずはひとりずつ拷問して、それから夕食にしてやるかあ。お前たちの家族がいたら先にそっちから殺してやってもいいぞお?」


 その言葉に自警団の団員たちが視線を上げた。


「俺の子に手を出してみろ! 絶対に殺してやる!」


「ひゃはははっ! 馬鹿な奴だな! それなら降伏せずに最後まで戦えよ、臆病者!」


 自警団のひとりが立ち上がってそう叫ぶのにカクエンがそれを嘲笑った。


「畜生、畜生、畜生」


「神様……」


 自警団と騎士団の団員たちは罵り、祈る。


「ひゃははははっ! 神なんていやしないぜえ! 神がいたらこんなことになったと思うかあ? そうだろう? 神なんてこの世にはいやしないんだよお!」


 カクエンがそう嘲ってるときだった。


「カクエン!」


 捕らわれていた騎士団の騎士が立ち上がって、カクエンの方を向いた。


「1対1で勝負しろ! 私が勝てばこのものたちを解放せよ!」


「へえ? なんだってお前の言うことを聞かなきゃならないんだあ? 俺に何のメリットがあるっていうんだあ? 馬鹿みたいじゃないかあ!」


「勝負に応じなければ貴様は人間に怯んだ臆病者として他の魔族から嘲られるだろう」


 騎士がそう告げるのに、カクエンの瞳の色が変わった。


「この俺が臆病者だってえ? 許さねえ。そんなことを言う奴は許さねえ!」


 カクエンは地面をどんどんと地響きを響かせて踏みつけると、騎士の方を向いた。


「いいだろう。勝負してやる。鎖を解いてやれ」


「分かりました、カクエン様」


 カクエンの命令に蛙頭の魔族が騎士の鎖を解く。


「武器も与えてやれえ。対等な条件での勝負だあ」


 カクエンの言葉に騎士に剣が渡される。


「待って、アルノー! 勝ち目なんてないわ! 相手は魔王軍十三将軍のひとり“剛腕のカクエン”よ! 死に急ぐような真似をしては……」


「だが、このまま待っていてもどうせ死ぬだけだ。俺は決して諦めない。女神様が微笑んでくださると信じて、剣を振るう。そして騎士として死ぬ。それに、もしかしたら、君を助けられるかもしれないんだ、エラ」


 エラという女騎士が制止するのに、アルノ―と呼ばれた騎士は剣を構えた。


「行くぞ、カクエン! 覚悟!」


「死ねえ、人間!」


 アルノ―が下段から上段に向けて剣を振るうのに、カクエンは剣と呼んでいいのかも分からないような鉄の塊をアルノ―に向けて振り下ろした。


「ぐうっ……」


 アルノ―は初撃を耐えた。剣が金属の軋む音を響かせるのに、一時的にカクエンの刀剣を弾き飛ばして、カクエンから距離を取る。


「なんだあ? 逃げるのかあ? 臆病者はどっちだろうなあ!」


 カクエンは満足げに笑いながら、畳み伏せるように斬撃を繰り返す。


 そこからはアルノ―の防戦一方だった。


 アルノ―はひたすらにカクエンの斬撃を防ぎ続け、反撃に転じる機会を窺う。


 だが、そんな機会は訪れない。カクエンのパワーもスピードもアルノ―を遥かに上回っており、そんなカクエンから繰り出されれる攻撃に隙など欠片もなかった。


 刃が軋み、骨が軋み、筋肉が軋み、心が軋む。


 魔族は人間より遥かに強力な生き物だ。人間たちでは一部の英雄と言われるものたちでしか魔物には歯が立たない。それほどまでに魔族は強力であったがために、人類は今日この日まで追い詰め続けられていたのだ。


「このっ! せめて貴様と刺し違える!」


 アルノ―は防御を放棄し、カクエンの懐に飛び込んだ。


「無駄あっ!」


 だが、そのアルノ―の決死の一撃もカクエンの筋肉によって弾かれた。鋼の刃の一撃が筋肉によって弾かれたのだ。


「そろそろ終わりだあ」


 カクエンはそう告げると刀剣を横薙ぎに払った。


 カクエンの刃が捨て身の攻撃で防御の取れないアルノ―の体を易々と引き裂き、広場にアルノーだったものが散らばる。はらわたがまき散らされ、体中の血液が広場を覆い、その血は女騎士エラの足元まで流れていった。


「すまない、エラ……」


 アルノ―はそう告げると、こと切れた。


「いやあっ! アルノ―!」


 アルノ―の死体に向けてエラが手を伸ばすが、魔族が鎖を引っ張りエラの手を届かせない。彼女の愛する人はひとりで死んでいった。


「ひゃはははっ! やっぱりカクエン様は最強だぜえ!」


 カクエンはアルノ―の死体の足を掴むとそのまま口の中に放り込んだ。


「お前はこの男の恋人ってやつかあ? それならお前は食べずに残しておいてやる。その代わり魔族の繁殖用の胎にしてやるけどなあ! ありがたく思えよお! この慈悲深いカクエン様に泣いて感謝しろよお!」


 カクエンはそう告げて甲高い声で笑う。


「カクエン様は地上最強! 敵う者なしだ! ひゃはははっ!」


 カクエンがそう笑い声をあげていたときだ。


「そうか。貴様、強いんだな?」


 不意にそう呼びかける声が響いた。


「なんだあ?」


 カクエンが声の方を向くと、男が立っていた。


 身長2メートル近くの大男。見るからに鍛えられているのが窺える上半身を裸にし、腰から下はジーンズを纏っている。使い古された感のあるヴィンテージ風のジーンズだ。武器は一切帯びておらず、その身ひとつでカクエンから僅かに10メートルの地点に立っていた。その肌の色は戦士の色である褐色で、瞳の色はアメジストのような紫色、髪の色は血のように赤い。


 よく見れば現れたのはその男だけではない。


 白いローブ姿の16、17歳ほどの少女。その手には折り畳み式の警棒が握られており、そのサファイアのような青い瞳とくすんだアッシュブロンドの髪の毛をポニーテイルにして腰まで伸ばしている。そしてどこか愉快そうに歪んだ薄い唇は赤いルージュで染められていた。まるで獲物を狙う肉食獣のように。


 もうひとり、黒いゴシックロリータファッションに身を包み、日傘を握った少女。全ての色素が抜け落ちてしまったかのような髪と肌は真っ白で、黒いドレスとコントラストをなしている。ルビーのように赤い瞳はぼんやりと光を灯しており、まるでこの世の全てに興味を失ってしまったかのような色をしている。


「なんだあ、お前ら? 騎士団、じゃあないよなあ?」


「それより聞いてるだろ。答えろよ。貴様、強いんだな?」


 カクエンがただならぬ気配を感じて尋ねるのに上半身裸の男はそう尋ねた。


「このカクエン様が強いかってえ? 強い、強いとも! このカクエン様は魔王軍十三将軍の中でも最強だあ! お前は俺に降伏しに来たのかあ?」


「おいおい。そんなことするわけないだろ。このアベルがこの世の全ての強者に臨むことはただひとつだけだ。それは──」


 アベルと名乗った男がそう告げて拳を構える。


「尋常に勝負しろ、カクエンとやら。貴様が強者であるならばな。俺は弱い者いじめが大嫌いなんだ。強いやつとしか戦わない。貴様が強いなら俺と勝負しろ」


 アベルはそう告げてニッと笑った。


「ひゃはははっ! そいつは残念だったなあ! 俺は大好きだぜえ。お前みたいに勘違いした弱い馬鹿を叩きのめすのはよお!」


 カクエンはそう告げて刀剣を構える。


「それは貴様の獲物か、アベル」


「悪いな、セラフィーネ。こいつはいただく」


「では、私は有象無象の相手でもするか」


 セラフィーネと呼ばれた白いローブの少女が尋ねるのに、アベルがそう告げて返す。


「おい。ローラ。貴様も手伝え」


「……ボクは面倒くさいのは嫌いなんだけどな……」


「貴様も一応は勇者だろう?」


「……ちぇっ。面倒くさいなあ……」


 ローラと呼ばれた黒いドレスの少女はそう告げると、ようやく周囲を見渡した。


「見るからに不味そうだし、眷属にもしたくない。君たちの運命は決まりだ」


「なんだと、てめえ。てめえも繁殖用の胎にしてやるぜ!」


 ローラの少女とセラフィーネの少女の周りに魔族たちが集まる。


「ひひひっ! 思いがけぬ収穫だぜえ! 上物が2匹も手にはいるなんてなあ!」


「おい。どこ見てる。貴様の相手は俺だぞ?」


 カクエンが囲まれていく少女たちを見て気味悪く笑うのにアベルが苛立った様子で、拳を打ち鳴らしていた。パンパンと軽快な拳の音が響く。


「貴様なんて、すぐに糞袋にしてやるよお!」


 カクエンは完全な勝利を確信して、刀剣を振るった。


 それはアベルの脇腹に命中し──。


「はあ?」


 砕け散った。まるでガラスの棒をコンクリートの塊にぶつけたかのように、カクエンの刀剣は完全に砕け散った。あの重さ20キログラムはあるだろう巨大な鉄の塊が砕け散り、カクエンの手が衝撃に痺れる。


「ありえな──」


「だせえ、だせえ、クソだせえんだよっ! 男なら武器なんて女々しいもの使ってんじゃねえよ、このハゲ猿! 拳で戦え、拳でだっ! そら、行くぞ!」


「ま、待って……」


 カクエンがこの男は不味いと気づいたときには既に手遅れだった。


 アベルの拳がまずはカクエンの腹部に叩き込まれ、臓物のいくつかが一瞬で破裂する。そして、思わず上半身を崩したカクエンの頬をアベルが右、左、右、左と交互に殴り続ける。脳がミキサーにかけられたかのようにシェイクされ、カクエンの耳と鼻から血があふれ出る。それでもアベルは殴るのを止めず、顎に下から上にアッパーを決めた。


 この間、僅かに0.001秒。瞬きをしていたら、カクエンが刀剣を振るったのと同時にカクエンが上空200メートル近くに打ち上げられていたように見えただろう。



「な、なんだ……」


「カクエン様が……」


 部下の魔族たちが上空で血飛沫を撒き散らしながら回転するカクエンを見上げる。


「貴様らの相手は私だ」


 そう告げて白いローブの少女──セラフィーネが警棒で宙を突く。


 それと同時にセラフィーネの周囲に、12体の甲冑姿の何かが出現した。魔族たちは何か分からずに、動揺しながら少女から距離を取り始める。


「ゴーレム。一斉射撃(フル・バースト)


 甲冑姿の何か──ゴーレムは手に握ったM240機関銃を構え、魔族たちに一斉射撃を浴びせる。機関銃から放たれた7.62x51ミリNATO弾には1発1発に冥界の女王エレシュキガルを讃え、エレシュキガルの呪いを与える古代シュメール語が刻み込まれており、その銃弾がはたとえ相手が実体を持たない悪霊のような魔族であろうとも死を与えるだろう。


 まして、肉のある実体を持ち、血を流す生き物ならば、その銃弾が掠めて血を流しただけで冥界に引き摺り込まれる。魔族たちは何もできないまま、次々にその文字通りの“凶弾”を前にして倒れていった。


「舐めるなっ! その程度の玩具で!」


 魔族の中の無事だったものがゴーレムに向けて魔術を放つ。


 魔術は炎の塊となり何百度もの温度でゴーレムに命中し、熱風を撒き散らす。


「なあっ……!?」


 だが、ゴーレムは傷ひとつ負ってはいなかった。焦げ跡すらない。


「この程度で驚くな、戯けが。アダマンタイトとミスリル、そして炭素繊維とセラミックスの複合装甲だ。劣化ウランの装弾筒付翼安定徹甲弾(APFSDS)でも貫通できんぞ。それをその程度の“手品”でどうこうしようとは。笑止千万」


 セラフィーネはそう告げると射撃を継続させた。



「げふっ! あげ、あがが……」


「おい。貴様、強いって言ったよな? クソみてーによえーじゃねーか!」


 その頃、地面に向けて自由落下したカクエンにアベルが叫んでいた。


「もう、貴様に興味ねえ。損した気分だぜ、ったく」


 助かった! カクエンはシェイクされた脳みその中でそう感じた。


 あの化け物のような男は自分から関心を失った。後は魔族特有の回復力で回復して、それから遠く逃げよう。とにかくあの悪魔のような男から逃げよう。


 そう考えていた。


「あー……。あー……」


 奇妙な唸り声が聞こえてきたのはその時だった。


 唸り声の発生源は部下たちだった。


 いや、正確に言えば部下だったものだ。


 虚ろな目をし、口は大きく裂けて鋭い犬歯が剥き出しになった青白い肌の怪物に部下たちは変貌していた。その元部下たちは生きている部下たちを襲い、食らっていた。腹を引き裂いて臓物を引き摺り出して啜り、頭蓋骨を割って脳みそを抉り食らう。


「やべろ……。く、くるな……!」


 カクエンは満足に動かない体を引き摺ってそう叫ぶ。


「悪いけど」


 黒いドレスの少女──ローラがいつの間にか元部下たちの背後に立っていた。


「君の部下は全部屍食鬼にしたから。後はご自由に」


 ローラはダウナーな口調でそう告げると霧のように消え去った。


「あー……」


「肉……。にぐぅ……」


 食われる。食い殺される。死にたくない!


 そう、カクエンが強く思った時だった。


「助かりたいですか?」


 不意に優し気な女性の声が響いた。


 カクエンを見下ろすように現れたのは白いブラウスと黒いロングスカートの地味な服装の女性だった。これにエプロンでもつけていれば流行らない古本屋の店員にでも見えただろう。濡れ羽色の黒髪は美しく、その真っ赤な瞳はガーネットの色をしている。


「だ、だずかりだいです!」


「そうですか、そうですか。このフォーラント様は心優しいので、助けてあげますよ。まるで女神のようでしょう。讃えてくれたってかまわないのですよ?」


 まさに女神が助けに来てくれたのだ。カクエンは数分前までの自分の言葉も忘れて、そう思い込み始めていた。


「死にたくないですよね。死んだらお終いですもんね。だから、“死ねなく”してあげますよ。どうですか? これでいいですか?」


「は、はいっ!」


 助かる! これで助かる! カクエンはそう確信した。


「それではあなたの体を死ねなくしてあげましょう」


 女性はそう告げると、人差し指で何かしらの紋様を描いた。


 だが、何も起きなかった。カクエンの体が回復することはなく、屍食鬼になった部下たちが押し寄せてくるのが止まる様子もない。体の痛みはそのままどころか、余計に酷くなった感じすらする。いったい、自分に何が起きたのだ?


 カクエンは説明を求めるように女性を見る。


「あなたは死なないですよ。正確には生命活動が全て停止しても、痛みを感じるし、飢えを感じるし、あらゆる感覚を感じるのです。もちろん、あなたの元部下さんたちに食われていって、はらわたを全部引き摺り出されても、脳みそを啜られても、その感覚は全て感じることができます。その後で虫に体を貪られていく様子すら味わえます。いいですよね。生きているというのは物事を感じることだとも言いますし?」


「あぐま……!」


 この女は女神などではない。悪魔だ!


「その通り。私の名はフォーラント。大悪魔フォーラント。どうぞよろしく」


 女性はそう告げて愉快気に鼻歌を歌うとカクエンの下を去った。


 その後、カクエンは“生きたまま”部下たちに貪られ続けた。臓物が引き抜かれる痛みも、臓物が噛み潰される痛みも、脳みそが抉り出される感覚も全てを味わった。


 カクエンは意識を失いたかったが、そうすることもできず、地獄の中に落ちた。



「あ、あなた方は……?」


 一方、その頃、カクエンの部下の魔族たちはこの都市からひとり残らず一掃され、広場に囚われていた人々や、民家の地下室に隠れていた人たちがアベルやセラフィーネのゴーレムたちによって救出され始めていた。


 だが、分からない。この人たちはどこから来た、何者なのだろうか?


「俺はアベル・アルリム。世界最強の勇者だ!」


 捕らわれていた人々にアベルはそう告げた。


「私はセラフィーネ・フォン・イステル・アイブリンガー。世界最強の勇者だ」


「ボクはローラ・バソリー。世界最強の勇者だよ……」


 そして、セラフィーネとローラもそう告げる。


「え? どの方も世界最強の勇者なのですか?」


「暫定的にはそうなっている。だが、まあ世界最強は俺だがな」


 困惑する住民にアベルがそう告げる。


「戯け。世界最強はこの私だ」


「ボクだよ……」


 住民はますます混乱している。


「まあまあ、皆さん。ここはちゃんと決めたではないですか。最初に人類を救った方が世界最強の勇者であると」


 そこに現れたのがフォーラントだった。


「まー。しょうがねーな。そういうルールだし」


「つまらんゲームだ」


「はあ。可愛い眷属欲しい……」


 さて、彼らの正体はというと──。


……………………

本日何回か連続更新します。

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