第一話 「私…子供になってる!?」
そう、ミアラは死んだ、確かに、死んだのだ。
「あうっ?」
その間抜けな寝起きの声は、自分自身が一番聞き覚えがある。
間違いなく、自分の声。
ユークレース王国王女、ミアラの声。
まさか、夢だった!?
だとすれば、ずいぶんと生々しい夢だ。
自分が従者たちにした仕打ちも、それが自分に跳ね返ってきて起きた出来事も。
(嫌な夢…)
そうしてミアラは起き上がる。
夢で経験した、あの堅くて冷たくて、汚れたベッドではなく、良い香りのする、柔らかなベッドから。
(…?)
足がつかない。
この柔らかいベッドは、ミアラの足の長さにぴったりで、起き上がって足を横にもっていけば、すぐに床についたはずだ。
だがそんなこと、寝起き直後のミアラの頭には止まらず、深く考えずに、足を延ばした先に置いてあった靴を履き、立ち上がる。
そこでやっと、違和感に気づく。
足が短い。
というか、床が近い。
さっきまで、毛布をかぶっていて気づかなかった。
そこで、ミアラはデスクの横の姿鏡の前へと、足を進めた。
「わ、わたくし…」
「子供になってる!?」
王女らしからぬ、大きな声だった。
鏡に映っているのは、間違いなく、自分。
でも、自分が知っているより背が低い。顔が丸い、肌がきれい。
…子供、だった。