神様からの依頼
神様のちょっとした失敗で、この世界に迷い込んだ異世界人を始末するのがこちら。異世界人対策本部。本部といっても支部があるわけでもなく、総勢10数名の組織だ。
依頼人は神様一人。人間の土地にありながら、組織の人間は誰一人として人間ではない。
「いやーマジか。殺していいのか、これ」
神様からの依頼書を揺すりながら、少年は笑った。
大岳拓也を始末せよ。と依頼書には書いてある。大岳拓也と言えば、百何年前の勇者ではなかったか、と少年は記憶を辿る。
「まだ生きてたんだな」
魔王と戦い、勝利した大岳拓也は、その後行方知れずとなった。勇者によくある暗殺だろうと少年は推測していたが、どうやら違ったらしい。
「この依頼、俺が受けてもいい?」
少年は、前のデスクで爪を塗っている女に声を書けた。仕事をしていないことに違和感はない。ここの者は大抵、つまらなさそうに暇を持て余しているものだ。
「いいわよ。英雄の始末はいつだってアンタでしょ」
「まぁ、そうですね。皆さんが行きたがらないんで」
「そりゃ当然でしょ。英雄なんて、無駄に強くて面倒臭い。好き好んでやるわけないじゃない」
少年は口を尖らせる。神が始末を頼んでくる英雄ほど、面白いものはないと少年は思っている。ただその依頼は多くはない。
「それじゃあ行ってきます!」
退屈な時の潰し方は一つ。神様の依頼をこなすことだけ。




