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巻物

男になりたかった。

どうも、分水嶺ですよろしくお願いします。

リヒト、それがこの町の名前だ。

特別大きいわけでもない町だが、ここには冒険者がよく集まる。

それはきっと、冒険者の扉があるからだ。人々はこの扉をアドベンチャーゲートと呼んでいた。


アドベンチャーゲートは15mの高さがあり、分厚いガラスで造られ、ガラスは2重になっている。というのは、扉が2つくっついていて、1番目の扉は冒険者の気持ちの強さで開き、2番目の扉は自分の何かを犠牲にしなければ開かない。犠牲にするものが軽くてはアドベンチャーゲートの先にある怪物の森にいくことはできない。この2番目の扉で多くの冒険者は立ち止まり、前に進むことができないでいる。軽い気持ちでいけるようなところではないということだ。

冒険者の多くは自分の力試しにやってくる者達だが、怪物の森がどれほど危険な場所か知っている者はいるのだろうか。

奴らは手加減なしに人を襲う。そして、人を食す。人だけではなく動いているものすべて。奴らにとって冒険者は唯一のご馳走にすぎない。目を光らせて待っている。ご馳走が森に入って来るのを・・・。

町に昔からある古い巻物には、奴らのことをトートブリンゲントと記されていた。死を運ぶという意味だ。

リヒトに入る前には必ずこの巻物を読むように書いてあるのだが、忙しい冒険者たちは誰も見ないし、立ち止まらない。

冒険者がこの怪物の森に求めているものは財宝の山だ。森の一番奥には城があり、その建物のどこかにねむっている。今は亡き女王がその場所に導いてくれるのだという。しかし、巻物にはそんなこと記されてはいない。それは誰かの作り話であって、真実ではない。

巻物には、財宝ではなく魔力が閉じ込められているペンダントが森の一番奥にある城にねむっていて、それを亡き女王が触らせない。その女王と目が合えば、体が氷となり砕かれて死んでしまうと書かれている。だからこの町に住んでいる人々はけして冒険者にはならない。子供のときから巻物の話を親から教わり語り継がれているからだ。冒険者はそんな町の人々を臆病者と呼んでいた。何も知らない冒険者たちにこのことを教えようとしても臆病者の言うことなんか聞かないと言い張り、リヒトの人々を無視し、いつしかこの巻物は、臆病者が作った偽物の巻物と言われるようになった。


怪物の森に行くにあたって、約束事が巻物には記されている。

1.一人で行くことは禁ずる。最低でも二人で行くように。

2.トートブリンゲントは、目と鼻はあまりよくない。耳は人間と同じくらいだ   が、体や動きが素早い。

3.武器は剣か弓矢であること。銃は持っていくことを禁ずる。

4.トートブリンゲントは亡き女王の魔力で動いている。ただ体を切り裂いても死なない。狙うのは、魔力が閉じ込められている目のみ。

5.食料は木の実しか持って行ってはいけない。

6.夜寝るときは洞窟で休むこと。土のなかでもよい。

7.足手まといは置いていけ。

8.倒したトートブリンゲントの目を必ず食べること。そうすることで魔力が手に入る。

9.銀の髪の長い女の子は見方だ。

10.ホッフヌング家の娘を連れて行け。彼女は巨大な魔力を持っている。

魔力が閉じ込められているペンダントはもとはリヒトの人々一人一人の魔力を集めたもの。女王は我々の力を奪い自分だけの世界をつくり民を大勢殺し、魔力を悪用した。女王を好き勝手にさせてはならない。

誰かが立ち上がり、女王にとどめを刺し、ペンダントを奪い返せ。





読んでくださりありがとうございました。

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