《ご》
ご
学校に急いだ私は、なんとかテストの始まる時間に間に合った。
準備万端とは言い難いが、取り敢えずやれるだけの勉強はした。ヒサコとタケコ、どちらも私よりは勉強できるが、もともとそこまで決定的な差があるわけではない。何かのキッカケで勝つチャンスは必ず巡ってくるはずだ。
そのチャンスを逃さず、必ず逆転してみせる!
始業のチャイムが鳴り、先生がテストのプリントを配り始めた。指先がジンジンする。テストでこんなに緊張するのは初めてだ。
山かけしたところは、何とかカスってるか、頑張れば書けそうな気がしないでも無い!!!
とにかく書けるだけ書いた。一心不乱だった。周りを一瞥もせず、全力で書き続けた。すべて書き終えても最初に戻りまた見直しを始めた。こんなに集中して試験を受けたのも初めてだ。2回見直してやっと一息ついた。残り時間あと10分!
そのとき教室のドアが開き、教室中にドスの効いたダミ声が響き渡った。
「ちくしょう、クッソー、なんてこった!」タケコの声だ!?
「もう、何よ、どういうこと?」ヒサコの声が続く。
改めて周りを見渡して、私はようやく気付いた。あの2人は最初から教室に居なかったのだ。テストに夢中で気が付かなかった。そして今きた。2人とも服がドロドロに汚れている。2人は先生に誘導され汚れた服のまま自席に付いた。残り時間あと7分。もう間に合わないだろう。採点しなくても分かる。形はどうあれ、私は今回のテスト勝負に勝った。そう思うと緊張の糸がぷっつりと切れた。急に睡魔が襲ってきて意識を保っているのが難しい。
私は答案を提出し、そのまま先生に一言告げた後、家に向かって駆け出した。頭がクラクラする。昨日の薬の粉が舞い上がったのを吸い込んでしまったか、疲れないし眠くもならないんじゃ無かったの?、またはその後遺症?、とにかく眠くて意識が飛びそうだ。
帰る途中、通学路に人だかりが出来ていた。サイレンやパトランプ、救急車の音も聞こえる。注意して見てみたいが集中力がもたない。私は家に向かって走り続けた。




