《いち》
やってしまった、今まで大人しくしてたのに。
ヒサコが私をからかってきたこと、いつもなら苦笑いで返すのに、今回はどうにも我慢ならなかったんだ。
私はノン子、12才。冴えないメガネチビだけど、勉強下から数えた方が早いけど、自分では小柄でカワイイって思ってるし、でもってバカなのも愛嬌だろって前向きに捉えてたのに。
ヒサコだって決して頭良い方じゃないのに。タケコと一緒に私の事バカにして、クスクスやな感じ、どうにもこうにも許せなかったんだ。
『そんなに言うなら次のテストで勝負よ!』唖然とした二人の顔が面白かったけど、言った直後に後悔したんだ。
「いいよ、んじゃーノン子、次のテストで私とタケコを超えてみてよ。出来なかったら、分かってるんでしょうね?」
言ってしまったものは仕方が無い。でも私あの2人にテストで勝ったことあったかな。あの二人もけっこうバカな筈だけど、勝ったことがあるかどうかすら思い出せない。
しまった〜(TдT)
でも前々からヒサコには嫌気が差してたんだ。いつも金持ち自慢してるし、厭味ったらしいし。おまけに骨張ってブスなのに自信だけはあるみたい。
タケコはレスラーみたいな体格でいつもみんなを威圧してる。仲良く遊ぶことも多かったけど、いつからだろう、二人共私の事をバカにし出したのは。なんかもう許せない。自我の目覚め?、反抗期?、何でもいい、次のテストであの子らを見返してやる!!!
……そう思って学校から帰るなり机に齧りついてるんだけど、教科書が全然頭に入ってこない。
ご飯とお風呂以外はずっと勉強してるのに、もうすぐ夜中の12時だよー、眠い。
ウトウト意識を失いかけた時、背後で不意にドアが開いたんだ。
『な、な、何何?、何よ、入ってこないでよ!!!』