プロローグ1
「あ~あ~……なんかガッカリだなぁ……」
時は12月27日の夕方5時ちょっと過ぎ。場所は天川の河川敷。
ぼくはそこの芝生に仰向けに寝転がっていた。
川の表面を撫でるように吹き抜ける風が寒いけど、それすら気にならないぐらいぼくはショックを受けたからここに来た。
一昨日はクリスマスだった。小学1年生のぼくはサンタさんからクリスマスプレゼントを貰った……けど。
「サンタさんがお父さんだったなんてーー!!」
ぼくは川に向かって叫んだ。周りに人いなかったし。いても叫んだかも。それぐらいショックだった。
クリスマスイブの夜、サンタさんから貰えるプレゼントが楽しみで全然寝れなかった。
でも寝てないとサンタさんは来ないって聞いてたから、寝てるふりをした。
夜中の2時を過ぎた頃。サンタさんが来た。扉から。まぁうちに煙突ないし。
枕元にプレゼントをそっと置くサンタさん。そして部屋から出ていく後ろ姿を、薄目を開けて見た。
……明らかにお父さんの背中だった。しかもサンタ服着てないし。
ついでに、出ていく時に一回咳をその人はしたんだけど、咳の仕方や音がお父さんだった、完璧に。
「サンタってやっぱりいないんだ……」
ぼくは絶望に打ちひしがれていた。小1の分際で。
「魔法使いとかお化けとか超能力者とか宇宙人とかも……全部誰かが作ったウソなのかな……」
また寝っ転がって空を見上げる。
「神様とかも本当はいないのかな……」
冬というだけあって、空には星がいっぱい瞬いている。
空気が汚いと言われるトーキョーだけど、ここまで来れば割りと星は見える。
一筋の流れ星が流れた。
ぼくは偶然まばたきをしたのでそれに気づかず、なんとなくぼやいた。
「面白いこと起きないかなぁ……」