第三話 裏世界
ようやくしっかりしてきました。
今回も長いですが、最後までおねがいします。
神垣 トモヒロ=通称トモさんと協力することになったシンジ。
「Deleterを捕まえるって言っても具体的にどうする?」とトモさん。
シンジはこそこそ話す必要のない場所、つまり秘密基地のような場所が欲しかった。
そのことをトモさんに話すと、
「それならいい場所がある。」と言われた。
20分後。
そこはいたって普通の家アパートだった。1LDKの部屋を一つ借りているらしい。
「ここはオレと部下一人で使っている。放課後はここにきてくれ。」
「え?部下一人って・・・」
シンジは今あまり「人」が信用できなかったのだ。
トモさんはそれを察したのか、
「大丈夫。なんせオレの部下だからな。」
といってくれた。
ドアを開けると、そこには一人の男がいた。
シンジはそいつを見て、つい声がでてしまった。
「あっ!警察の部下!」
そう、そいつはあの時の「部下っぽい奴」だった。
「え!?トモさん、こいつ誰っすか?」と、警察部下。
「こいつはシンジ。死んだエトーの親友だ。ほら、覚えてるだろ?
あの時教師達におさえられてた・・・」と、トモさん。
「ああ!・・で、なんでここに?」と当然の質問をする警察部下。
「簡単だ。協力するからだよ。」と、トモさん。
「ええ!?いいんすか!?」と慌てる警察部下。
めんどくさくなったのか、トモさんは「いーんだよ」と軽くあしらった。
警察部下はまだ「いや、でも・・・!」とあたふたしている。
シンジにはその完全な上下関係がおもしろくなってきた。
「紹介するよ。こいつは多田 ツトム。検視官で、オレの部下でもある。」
ようやく落ち着いたツトムは「よろしくね」と言いながら頭を下げた。
それにあわせてシンジも頭を下げた。
そこでツトムが思い出したようにパソコンを開いた。
「これ、見てくださいよ!」
シンジとトモさんが画面をのぞくと、こんな文字がでていた。
『裏Deleter』
「なんだこれ?」とトモさんが聞く。
「月光高校の裏サイトみたいです。昨日開かれたみたいですけど。」
裏Deleter。それはDeleterについて自由に書き込めるサイトだった。
ツトムが実際に書きこまれているページを開いた。
そこには、適当に作られたペンネームでいろんなことがかかれていた。
〈マジこわいよねー〉〈逃げようとした人、みんな殺されたんだろ?〉
などの書き込みが多数続いていた。すると画面中央に〈LORDING〉という文字がでた。
「ほら、こうやってどんどん更新・・」
とツトムが説明しようとした瞬間に、全員の目が書き込まれた文に集まった。
〈3丁目の空き地に人が死んでるんだって!〉
「なに!?どういうことだよ!」
「落ち着いてください、トモさん!ガセの可能性も・・」
プルルルルル!
ツトムの声を掻き消すようにシンジの携帯が鳴った。
「もしもし?ああ、ケントか。どうした?」
「空き地で北宮が死んでんだよ!」
北宮 ナオ。それはシンジのクラスメートで、桜川の友達の名前だった。
「そんな・・・今いくよ!」
シンジは電話を切り、トモさんとツトムに説明した。
「そんな・・・」とツトム。ぼーぜんとしている。
「とにかくいこう!」
とトモさんが言ってすぐ、ツトムが車を準備した。
空き地につくと、人だかりができていた。するとトモさんが
「シンジ、お前はあまり目立たないほうがいい。野次馬にまじっとけ!」
とシンジに伝えた。シンジは了解し、野次馬に混じる。
ツトムが死体の検視をしたあと、トモさんにこう伝えた。
「死体に傷はありません。あるのは・・・丸い跡だけです。」
トモさんに怒りがこみあげた。
(くそっ・・!Deleter・・・!!)
シンジは、周りを見渡し、誰がいるのか確認していた。
すると野次馬の先頭で大泣きして、周りの人におさえられている女の人がいた。
北宮のお母さんなのだろう。それはエトーが死んだ時の自分の様に見えて、
シンジは胸がいたくなった。
そしてシンジはDeleter事件のあたえる悲しみを再び実感した。
毎度のことながら、読んでいただきありがとうございます。
次回に期待しててください。
あと感想もおねがいします。