皆が恐れる女子高生は陰キャ先生に甘えている
陰キャ新米教師×高2の怖い女子高生
「ダメだ…」
僕は口に出し、うなだれる。
生徒たちの名前を覚えることができない。
顔と名前が一致しない。
写真を見て名前を当てる、僕が勤務している高校の生徒全員の名前を完璧にしたい。なのに、ある2年生の少女以外、全くダメ。
僕は、今年から先生。
しかも、通う高校は荒れている高校。
『偏差値はそれなりにあるけど、怖い生徒たちがいる』という奇妙で、けど先生の僕にとっては怖い高校。
と、
コンコンコン、
『お兄ちゃん、ご飯だよ』
「わ、わかった。ありがとう、今行くよ」
妹に返す。
名前を覚えないと、あわわ。
しかし、
「せんせー、名前違いますよー?」
「ご、ごめんっ」
やっぱり、次の日、名前を間違えてしまい。
3年生、女子高生。
「ダメな先生」
「本当に先生?」
「ただの変質者でしょ、女子高生たちに近付きたいだけの」
クスクスクス、と笑われてしまう。
ああ、だから覚えないといけないのに。
SNSに晒されちゃうんだあ…。
が、
なぜか、女子高生たちの笑いが止まる。
気になって、僕は思いきって少女たちに目をやる。
すると、僕じゃなく、ある少女を見ていた。
「何? 喧嘩するか?」
静かに、だけど殺気が込められているような声で、その子は言う。
「そうか、喧嘩するか。3対1、少しは楽しませろよ? おい」
「「「ヤクザの妹だ、逃げろー!」」」
3人はダッシュで逃げていった。
「ふん、下らん奴らが」
その子、2年生の少女はそう言う。
そして、歩いて僕に近付いてくる。
「あ、あの」
何か言わないと、と僕。
すると、その子は僕の胸に頬を当て、スリスリしながら、
「妹の私がいる限りこの学校は平和だからね、お兄ちゃん」
甘い声で言ってくる。
バッ、と僕は周りを見る。
誰もいない。
だからか。
「ヤクザの妹、ね」
僕は呟く。
荒れている高校で最も恐れられている、2年生の少女。
彼女は、新米教師の僕の妹で、重度のブラコンだったりする。
僕の住んでいる所に無理矢理越して来たし。毎日ご飯を作ってくれるのは嬉しいけどさ。
「ほら、私を名前で呼んで」
「いや、遠慮しておくよ」
もっと重くなったら困るから。
ありがとうございました!




