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一個人として

トーラに何を言われても仕方がないと覚悟していた。

トーラとの間に秘密は無い、なのにゲドナ族だった事を隠していたみたいだったから。

トーラはこっちをはっきり見て口を開く。

「ねぇガーマー、君がゲドナ族だとかはどうでもいいの。私以外にその...瞳の事バレてない...?」

「分からない...でも俺の瞳の事について話し合ったのは俺らだけだ。それより、俺がゲドナ族だったって事に不快感とかは無かったりしないのか...」

トーラは少し安心した表情をした。

「無いよ。だってガーマーはガーマーだもん。」

びっくりした、トーラは差別をせず一個人として俺を見てくれている。

トーラの純粋な所に申し訳なさを感じながらも話を進める。

「トーラは...仲間達とは大丈夫なのか?」

「君が心配で何も考えずに抜け出してきちゃった。」

え。

「それは...大丈夫なの?」

「うーん...大丈夫じゃないけど、君が心配でさ、君が大丈夫じゃなかったらもっと大丈夫じゃないよ。」

どうして真っ直ぐにそんな事を言えるんだ。

そんな事を言ったらトーラが大丈夫じゃなかったら俺も大丈夫じゃないよ。

「皆にはヴェルズニルスに落とし物しちゃったからバレないようにパパッと行ってきたとか言い訳すれば良いからさ。」

「そうか...ありがとう...」

トーラは照れくさそうで誇らしげな顔をしていた。

「俺の荷物はまとめてあるからこのまま旅に出るよ。」

「だと思ってさ、手を出して。」

疑問に思いつつ片手を差し出す、トーラは両手で俺の片手を包む。

トーラが祈りの言葉を唱えるとこの手は光に包まれた。

「これで安心!トーラ印の守護魔法完成です!」

不安で冷えた心がとても暖かくなった。

「ありがとうトーラ。」

「全然だよ、神のご加護がありますように。本当はもっとずっと一緒に居たいけど、今は一旦お別れだね、またね!」

そう言ってトーラと手を振って別れた。


外に出られて本当に助かった、迷惑かけずに生きようとしていたのにまた迷惑をかけてしまった。

そして自分には返す事は出来ないんだろう。

トーラは守護魔法をくれたけど、本当は遠く遠くへ行って死ぬつもりだったんだ。

でも、死ねない理由が出来た。

守護魔法は戦いに向かう者達へ死なないように祈りをかける魔法だ。

トーラを裏切らないようにしなければ。

何処へ向かおうか、遠くへ行く事には変わりない。

ヴェルズニルスから離れなければ。

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