天界 6
次の繊月の当番日は何事もなく、淡々とお役目を果たした。
そして、その次の当番日も変わらず繊月の巫は役目を果たした。
繊月の覡は「もしかしたら気遣いが過ぎて読み違えたか?」と巫に対する注意を緩めそうになった9度目の当番日。
朔様から当番を引き継いだ時、繊月の巫が朔様の立ち去る背中に向かって僅かに頭を下げたのを目の端に捉えた。その瞬間、「今日なんだ」と悟って、覡の全身に緊張が走ったのだった。
心を込めて1体1体の光霊に祈りを捧げながら、巫に気付かれないようにちらちらと警戒の視線を向け続けた。
そして、ついにその瞬間が。
下界から3つの黄金色の光霊と1つの瑠璃色の光霊が昇ってきて、列にその順で並ぶ。
1つ目の光霊が門に導かれ、1番明るく輝いている2つ目の黄金色の光霊が門に入る直前、繊月の巫がそれを抱いて下界へ降りたのだ。
繊月の覡はその刹那、次の黄金色の光霊を抱いて巫に続くように下界へ向けて飛び降りる。
ところが何としたことか!
繊月の覡が飛び降りるために勢いよく身体を回転させた結果、その大きな尻尾が次に並んでいた瑠璃色の光霊をほんの少し擦ってしまった。それに気付かず、尻尾に美しい瑠璃色のカケラをつけたまま下界へ降りていった。
天界では、「繊月の巫が下界へ降りた!」という叫び声に続いて「繊月の覡も降りたぞ!」と歓声が沸き起こった。
完全な形ではなくなった瑠璃色の光霊が門に導かれることなく、門の手前でフワフワと浮かんでいる。行き場のない欠けた瑠璃色の光霊を朔様が「共に帰りを待ちましょう」と、自身の間に連れて行ったのだった。
こうして2体の神子が下界へ降り、それぞれ身体に戻ったのである。




