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9.カメレオン令嬢、仮面舞踏会の潜入捜査へ

ストーリーの都合上短いです。

「…とりあえずキャロライン嬢には元の姿に戻ってもらいましょうか。お菓子も用意しましたので、それからお話をしましょう」


 最初の取り決め通りパメラさんに同席してもらい、長官には目隠しをしてもらってから腕輪を外してもらった。すぐさま肩からローブを羽織らせてもらい衝立の奥へと移動する。それから長官に退室してもらい、着替えを済ませてから執務室に戻った。

 やっぱりいくら目を閉じているといっても男性がいる場所で裸になるのは恥ずかしい。カメレオンから人間に戻るこのひと時がなければカメレオンに変身するのもやぶさかではないのだけど。



「まず、先程はうちの魔法使いが大変失礼しました。疑心暗鬼になっているかもしれませんが、お見合いのために来てもらった訳ではありません。

 トードの腕輪の検証、そして検証結果を踏まえて別のことをお話しようかと思っていたのです。このまま説明を続けてもよろしいですか?」

「……お願いします」


 本当はもう帰りたい気持ちが強かったが、とりあえず目の前のファンダンショコラを堪能してからにしよう。今世で初めて口にする久しぶりのフォンダンショコラよ!

 次はトリュフとか生チョコレートとかチョコレートアイスもいいなぁ。あぁ久しぶりの濃厚なチョコレートの味が口いっぱいに広がる…


「これは協力依頼になるのですが、ある夜会に同行してもらいたいのです。トードの腕輪を着用の上で」

「…はい?」

「引き受けてもらえますか?あなたの認識阻害の能力を使って、是非潜入捜査に協力して欲しいのです。

 危険なことはありません。あなたに危害を加えようとする者はほぼゼロと言ってもいいですし、万が一危険がせまってもトードの腕輪には上級の保護魔法がかかっていますので怪我することはありません」


 肯定の意味ではなかったのだがいいように話を進められてしまう。そしてそれは怪我することはなくても恐い思いはするのでは?


「追跡魔法もかけますので、貴女を見失うこともありません」


 それって腕輪を強奪されるとともに連れ去られる可能性もあるってことでは?


「報酬は先程の二倍お支払いします。それと美味しい菓子も好きなだけ」


 もうその報酬だけで十分お店が開ける。それにお高いチョコレートがもっと食べられる。惹かれる気持ちを抑えられず詳細を聞いてみることにした。




 そうして今、わたしは仮面舞踏会の会場にいる。

 そう、素性を隠したお貴族様が一夜限りの恋に興じるあの仮面舞踏会だ。闇取引の隠れ蓑にももってこいのようだ。

 今回のわたしの相棒(パートナー)はパメラさん。彼女は夫である副長官のヒューバードさんと視覚と聴覚を同調させているので、生中継のようなことができるのですって。

 もちろん危険がないように彼女には保護魔法と追跡魔法がかかっているし、護衛も離れて会場にいる。


 なぜ長官やヒューバードさんが直接来ないのかというと、高位貴族であり役職持ちである二人は有名で顔が割れやすいから。それと一見で魔法使いとわかってしまう髪の持ち主だからだそう。

 髪が長すぎてかつらが不自然になってしまうし、かと言って魔道具を使ったり隠ぺい魔法を使ったりすると裏社会の人間がどうにか察知してしまうようで動かないのだと。なので潜入捜査があるときは短髪な魔法使いか、一般の職員が向かうことになっているのだとか。

 

 かくして、少し面白そうと思ってしまったわたしは協力を引き受けてしまった。

 

 周りを見渡すと皆受付でもらった同じ仮面をつけている。これでは本当に紛れこむのは簡単そうだ。

 飲み物は給仕されているけれど食べ物はフルーツや軽食ばかりで面白みがない。パーティーへの興味が一気に失せた。仮面舞踏会には一生来ることはないだろう。

 

 パメラさんは飲み物を片手に会場をうまく縦断する。声を掛けられる前に動いていた方がいいそうだ。


 事前にそれらしき人物の情報を得ていたようで、パメラさんと視覚と聴覚を共有しているヒューバードさんから合図がきた。ここからがわたしの出番。

 今日の潜入捜査のためにわたしもしぶしぶながら尊大長官様と視覚と聴覚を共有している。映像記録の魔道具だと気付かれる恐れがあるからだ。共有するのはもちろんこの捜査期間限定。

 その魔法をかけるのだって結構大変だった。わたしが長官様を受け入れないと魔法がかからないから、かかるまで何度も弾いてしまったのよ。だって仕方ないじゃない。信頼関係もない苦手な相手なんだから。

 そして何より、至近距離で美形の顔と見つめ合わないといけなかったから。そんなの前世だって経験がない。もう無理すぎの無理。カメレオンだったからまだマシだったけど、顔が赤くならないよう抑えるのにかなりの精神力を要した…


 とにかく!見つからないように後を追うぞ。

 裏社会の人物と取引相手らしき二人を追いかけて人気のない場所にきたとき、それは突然うしろから聞こえてきた。


「つかまえた♪」


 次の瞬間、わたしは誰かに抱えられ見知らぬ場所にいた。

 どうしよう!もしかして拉致された?!

読んでいただきありがとうございます。

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