不死身のホタテ
※ホタテは滅多に真珠を作りません。
むかーし、むかし、あるところに、欲張りな王様と魔女がおりました。
王様も魔女もお金が大好きです。
二人は協力してせっせと働き、悪事にまみれて儲けていました。
しかし、それぞれが所有する土地にある宝石も金銀も限りある存在。
ある日この最悪な二人は考えました。
海の宝石真珠。それを生み出すホタテを大量に養殖しようと。
王様の権力と、魔女の魔術があればそれは不可能ではありませんでした。
けれど、あまりに大量に真珠が出回ると、その価値は下がってしまいます。それでは儲けになりません。
そこで二人は考えました。
大きなダイヤに価値があるように、世界一大きな真珠を作ってやろうと。
王様は自分の領地で取れる中で、最も大きく上質なホタテを用意しました。
魔女はそのホタテに魔法をかけて、そのホタテを不死身にしてしまいました。
二人はいびつに笑います。
とてもとても楽しそうに笑って二人は言いました。
これは生長する生きた宝石だと。ホタテが生長する限り、中で作られる真珠もまた大きく育っていきます。まさに生長するお金です。
二人はひがな一日そのホタテを眺めて過ごしました。
二人はいつしか悪事を働く事を止めました。
ですが、それによって王様は政治に関心が無くなり、王国は滅んでしまいました。
王様と親しかった魔女も、悪政を行っていた彼と親しかったという理由からとばっちりを受けて、国民によって火あぶりにされてしまいました。
やがて残されたホタテは、様々な人の手に渡り、そしてある時、海を運ばれる途中で事故に合い海に帰りました。
そこは人類の手の届かない深海で、その存在は何時しか忘れられていきました。その存在を示すのは、古い伝承のみとなったのです。
ホタテは暗い深海の底で人知れずじわじわと生長していきました。
水圧に押しつぶされ、他の生物に食べられても、何度でも再生しては生長を続けました。
やがて人類が宇宙に足を踏み出した頃、ホタテは島になっていました。
更に時が経ち、人類がその存在が大きなホタテであると認識した時、その領有権をめぐって争いが起こりました。
人類の争いをよそに、ホタテはすくすくと成長していきました。
やがてその成長速度に人類が恐怖を覚え、ある時壊してしまおうとしました。
しかし、人類がどんなに頑張っても、ホタテは無くなりませんでした。
ホタテの甲羅は、もはや人類の科学でどうこうできる範疇を超えていたのです。
ホタテは周りの物質を取り込み続け、やがて人類ごと地球を飲み込んでしまいました。
やがて地球を飲み込んだホタテは、新たな星となり、かつての地球のように、その身体には様々な生物の息吹が、芽生えていったのです。




