1/1
プロローグ
暗い、暗い部屋。
寒い、寒い部屋。
ここには私しかいない。誰もいない。
一日に三度、冷めたパンとスープを置きに来る神官と言葉を交わしたことは無い。目を交えた事もない。
私だけで使うなんて勿体ないほどの広い部屋はベッドと聖魔法に関する書物、それから全て同じ服がクローゼットにあるくらい。
君を守るためだと渡されたブレスレットは私の位置情報や脈拍の計測を常に管理している。
いいかいシルフィ。この世界では魔王と呼ばれる存在がいる。
魔王はこの世界で暴虐の限りを尽くすとても恐ろしい存在なのだ。
いいかいシルフィ。君の力はこの世界を守る結界を張るために使っている。
だからね、この聖杯に毎日注ぐんだ。君の力を。
そう教えられた。毎朝8時きっかりに聖杯と呼ばれる美しい銀のグラスに力をこめる。その聖杯は昼ごはんを持ってきた神官と共に持っていかれる。
私は、いつまでここにいればいいのだろう。
この息が詰まりそうな暗い部屋で私は今日も、一人______