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死駅  作者: 京介
5/5

5.終

 私は女性と別れた後、電車に乗り続けている。

 というよりも降りることができないでいる。

 駅の名前、つまりは死に方だが、ひどい苦痛を伴うのではないかと思われる死に方が多くなっている。

 絞殺の次は銃殺だった。

 銃殺の次は斬首だった。

 斬首の次は……思い出せない。

 どうもその辺りから頭がぼうっとしてしまって、ひどく記憶が曖昧だった。

 しかし記憶を辿ってみると、「電気椅子」「生き埋め」「釜茹で」「火あぶり」「車裂き」などは聞こえてきたような気もする。

 いずれにせよ降りるわけがなかった。

 もう、どのくらい時間が経っただろう。

 時間間隔がひどく曖昧だった。

 いっそ次の駅で降りてしまおうか、などと考えることもあった。

 しかし駅名を聞くと、そして駅のホームに設置されているモノを見ると、降りようなどという気はすっかりなくなってしまうのだ。

 もう、降りるに降りられない。

 私は電車の中で永遠のときを過ごすのだろうか。

 それとも終着駅があるのだろうか。

 終着駅があるとすれば、そこで下車したら私はどのような死に方をするのだろうか。

 最後の駅なのだから、降りないなどという選択肢はないに違いなかった。

 そこで死ぬ自分の姿など想像したくもない。

 というよりも想像することができなかった。

 私には一つだけ希望があった。

 最後の希望だ。

 首吊りで死んだ女性は、この電車をネットの噂で知ったと言っていた。

 ということは噂を流した者、要するに生き残った者がいるはずなのだ。

 あの女性の知識はかなり正確だった。

 この電車に乗り、複数の駅を経て、そのうえで現実世界に戻ってきた者が絶対にいる。

 どうすれば現実の世界に戻れるのかは分からないが、私に残された希望はもうそれ以外なかった。

 終着駅につかないことを祈りつつ、いまも私は電車に揺られている。

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