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外見チート男の冒険譚  作者: よしお
4/5

タルキのルーツと能力

パーティの目標が決まった。”名声を得る。”それから、三人の距離は前よりかなり近くなった。


「決起会しませんか。」、タルキが提案した。


レイア「賛成!」、ドム「賛成です。」


***

母は、私が客を連れてきたことに、目を丸くして驚いた。そして、こう言った。


母「裏庭に桃の木があります。そこで、3人で食事を召し上がっていってください。私が、豚を屠ってきます。」


タルキ「かあさん、大げさだよ!冗談でしょ?」


母はいつになく、まじめな顔をして、静かにこう言った。

「タルキ。あなたがたが本当に冒険者として生きていくという、決心、わかりました。」


言い返せない、その迫力にそれ以上何も言えなかった。その後、豚の丸焼きを食べて、たらふく食事をした。ドムは酒を大量に飲んでいた。レイラも歌など歌っていた。タルキは、なんだか、ぼやっとしていた。当たり前だが、桃の木は緑の葉が茂っており、花などは咲いてなかった。


ドム「リーダ、ここで誓いの言葉を言ってください。」

レイラ「お願いします!」


タルキ「名声を得るって言っても、悪名高いじゃ意味がない。僕らは人(すべての種族を含む)の幸せに生きること、に正義を置こう。そして、壮大な目標のために小さなことは目をつむるときもあるかもしれないが、その判断は僕に任せてほしい。どうせなら、国王を目指そう。」


大きく出たもんだ。でも、他のふたりは、まんざらでもなく、まじめに聞いていた。そして、母は桃の木の後ろで泣いていた。


***

その夜、みんなが帰った後、母は私に父の話を聞かせてくれた。初めてのことだった。あなたの父は、冒険者だったこと、かなりの強者だったこと、邪悪に立ち向かって未だ帰ってこないこと、そして、なにより、特殊な能力があったことを語ってくれた。その能力というのは、母も詳しくは知らなかったそうだ。その夜は、母とともに寝た。


***

次の朝、ギルドで待ち合わせをしていた。例のカフェテリアに集まった。スタッフはコーヒーを持ってきてくれた。ギルドのスタッフに、なるべく難易度が高く、名声が上がりそうな、仕事はないかと聞くと、スタッフリーダが奥のカウンタであれこれ見てくれた。


暫くして、「これなんか、どうだい。」、と仕事依頼書をテーブルに置いた。


***

・依頼人:マリーク-ルイス伯爵(@セントラルランド)

・依頼内容:書類の運搬(絶対になくすこと、漏洩することは許されない)

・届け先:イェーダ侯爵(@ミストフォーレスト)

・場所:地図を参照。


イェーダ侯爵家の地図が乗っていた。かなり大きな館だろう、ということは、敷地の縮尺で理解できた。また、ミストフォーレストはほとんどが森であり、モンスターが強敵であり、レベルの低い冒険者には任せられない、とギルドスタッフも続けた。この話は、国家間の政治的に関係しそうな話だったため、失敗が許されない。そして、”国に頼めない仕事”だった。


しかし、成功すると、侯爵家に名前が知れることになる。そこから、公的な仕事を受けられるようになるかもしれなかった。


タルキ「何故、これを僕らに?」


スタッフ「君らにしか任せられないよ。君らは既に私の中では一番信頼度が高いんだよ。」


スタッフは続けた。

「意識してないかもしれないけど、まず、タルキの報告書はレベルが高い。出てきたモンスターの数、特徴、オス・メスの区別、装備、出現時間、どこの方面から出てきたのか、そして、攻撃パターン、また、こちらのどの攻撃が有効だったかまで記録されている。さらに、モンスター達が何を目的としていたかの推測が必ず書かれている。少なくとも、私がギルドに来てから、こんな詳細な内容を報告してくる冒険者はいなかった。また、解りやすいのは、相手の強さを数値化しているところかな。これは他の冒険者への客観的な情報として、役に立たせてもらっているんだ。例えば、この前のコボルドいただろ。」


スタッフはタルキの書いた報告書を印刷してきた。2人に見せようというのだ。


***

▼出現:トドロキの森、南西部


▼時間:PM2時35分に遭遇


▼敵:

コボルドA:レベル3、攻撃力:15、賢さ:3

コボルドB:レベル1、攻撃力:12、賢さ:1

コボルドC:レベル1、攻撃力:11、賢さ:1

主な装備:レザーアーマー、シミター、小盾、ブーツ


▼詳細報告:

ほぼ同時に気付いた。コボルドは隠れずに走って近寄ってきた。私とレイラは逆の方向に逃げ、ドムが前に出た。私は小陰に隠れて戦闘を見ている。レイラも同様に見ていた。彼女は癒しの呪文をいつでも使えるように、身構えているように見えた。真ん中のコボルドをAとすると彼はドムに向かって来た。そして、B、Cは両手に分かれた。Aが一番動きが早く、戦闘慣れしている。ドムが剣を構えると、いったん下がった。戦闘の感は、3人の中では鋭いようだった。ただ、ドムが早すぎるために、後ろに下がる距離が足りず、切っ先を受け、ダメージとなった。レザーアーマーの切れた隙間から、緑の血が飛んだからだ。B、Cは、ドムの攻撃に合わせて、上段からシミターを降り下ろした。ただ、一歩遅かった。Bは、左から横一閃で切られ、その切っ先でCの剣を弾いて、今度は右一閃で切られた。Aは、分が悪いと悟り、逃げようとしている。ある程度、知能がある。しかし、逡巡が命取り。実力が違いすぎたため、次の一閃で切られた。たまたま、食料調達中に私たちに出くわしたため、逆に不運だったのかもしれない。私たちにとって価値ある所有品はなかった。ただ、近くに集落があるはずである。遠くまで出かけるのであれば、大きなバックパック程度は、持っているからだ。強さはB、Cが平均的とみるが、明らかにパーティを組んでいた。Aとドムが対峙している間にBとCが同時攻撃する、は、かなり有効な作戦であった。つまり、コボルドA相当は、ある程度の訓練をしていたし、確実に陣を組んでいた。コボルドの知性からは、到底難しいはずである。何者かが組織的な動きを教育していることが疑われる。悪意のヒントは、他のモンスターの動向からも読み解く必要があるだろう。今後、この近辺で運搬業務を行う場合(風力発電所への道など)、コボルドに警戒は必要だが、彼らに悪意が無い場合、気づかない場合は、やり過ごしたほうが、余計なリスクが無いだろう。 

***


ドム「ここまで書いてたんですか!あと、剣の動きまで見えてたのですね。一瞬の出来事のはずなんですが。」


タルキ「ドムさん、すみません、内容あってますか?特に細かいことなので、確認とってなくて申し訳ありません。」


ドム「いえ、私だって細かくは覚えてないです。ただ、この時は確かに正面の奴を切ろうとしたら、左右から来たのでドキッとした覚えがありました。」


レイラ「ただ、逃げてただけじゃなかったのね。」


「先ほどの依頼、成功させてくださいね。そして、きっと、有名になってください。」


スタッフリーダはさわやかに笑った。


(つづく)

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