表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
外見チート男の冒険譚  作者: よしお
2/5

名剣術士、パーティに入る


レイラとパーティを組んで、3カ月が過ぎた。


彼らはいまだに一度もモンスターに出会わなかった。そして、隣接する町のいくつかの地理に少しだけ詳しくなった。お気に入りの喫茶店、町をめぐる楽しみが増えたので、仕事は楽しかった。なにより、2人で一緒にいるだけで楽しかった。


ある日、届け物が終わって、隣町の喫茶店で話題になった。


「ところで、モンスターが出てきたら、どうやって戦うの?」


甘そうなクリームが乗ったコーヒーのストローに口を付けながら、レイラが言った。


「御覧の通り、僕は武器持ってない。」と、笑った。


「この前、ギルドの人も言ってたよ、この前、冒険者が襲われたんだって。」


タルキは全く聞いておらず、その整った顔をずっと眺めてた。


「レイラは、僕が傷ついたら治せるの?」


「すり傷、切り傷の止血はできるよ。ただ、深い傷はやったことが無い。」


タルキは、突然、ナイフで自分の指に傷を入れた。赤い血が勢いよく飛び出た。


「いきなり、何してんのよ!」


彼女は、すぐに”手”をかざした。なにやら、つぶやいているようだった。気づくと、アッという間に傷がふさがった。


(えっ?すごい。本物なんだ。。)


「本当なんですね??」、間抜けな物言いである。


逆に戦闘の準備もしないタルキは、詐欺のようなもんだ。


「何だと思っていたのよ?」、彼女は、ぷくっと、顔を膨らました。


長い脚は組んだままだった。


(まだ、全然精いっぱいじゃない。すごい能力だ。。このまま、僕と付き合わせるだけでは勿体ない。。)


「ぶつぶつ言って、どうしたの?」


しばしの沈黙。。。


「パーティを増やそう!強い人を仲間にしようよ!」、タルキ。


レイラは、怪訝だった。


「さっき、レイラが言ってたことは本当だと思う。パーティとして、世の中の役に立ちたいよね。」


「私は”タルキ”が戦うんだと思ってたよ。練習すればいいじゃない?」


「人生は短い。鍛えたって、二束三文。素質がある奴を仲間にした方が、パーティとしては正しいんだよ。」


レイアは微妙な表情をした。


+++

その会話の後日。


ギルドのスタッフに聞いてみると、若い冒険者がパーティを探しているとのことだった。剣はつかえそうで、若い、ということだった。


ギルドの会議室で、待っていると、コンコン、失礼します、と若者が入ってきた。身長160cm程度の小柄でがっちりしたドワーフだった。僕は、人種差別が無いので、全く抵抗はなかったが、レイラは何ていうだろう。


「今日はよろしくお願いします。」


「よろしくお願いします。」


オーラから疑念が見えた。会議室と呼ばれている部屋は、机、椅子、扉、壁などすべてが濃いこげ茶色の木材でできていた。机の表面は、年輪模様が浮かんでいて、きれいに磨かれていた。電球は、白色の明るいタイプの蛍光灯がだった。


「年齢はいくつですか?」


経歴書をギルドに出す習慣はないため、自分で基本スペックを確認する必要があった。


「19です」


彼は以下のように語った。

「1人で冒険者をしています。先日、戦闘で傷を負ったのです。オークの不意打ちです。普段、オークなどは敵ではありませんが、不意打ちで右肩に斧が掠ったのです。致命傷ではありませんでした。しかし、クレリックがいないので、止血できなくて、結局、逃げて町まで帰りました。そして、医者で治してもらいました。」


話は続いた。

「私は、剣の腕には覚えがあって、わざとパーティを組まずにおりました。タルキさんもご存知の通り、パーティの人数が増えると、収入は人数割りになります。そのため、仕事も増やさないといけないって、その忙しさから、パーティ内で喧嘩になるなどトラブルもよく聞くので、面倒だったんです。しかし駄目です。一人だと限界があるし、やっぱり寂しい。」


「剣の腕について、証明はありますか?」


「ご存知かもしれませんが、”一本流”という剣術の流派があります。私は師範代の免状を師範から受けています。」


(これってかなり凄いクラスなのかも。)


彼をパーティに入れなくてはいけない気がした。


「私たちは、あなたのような剣の腕を必要としています。しかし、パーティで一番大事なのは、人格と思っています。」


タルキは、リーダでパーティ管理者、人間の女性のクレリックの2名で構成していることを伝えた。さらに、タルキは全く戦えない事、世の中の役に立ちたいけど、自分ではどうしようもないこと、仲間のクレリックはかなりの能力がある事を伝えた。


「是非、入れさせていただきたいと思っています。」


彼は何に魅力を感じたのか、わからなかったが、オーラから、疑念が消えていた。


(なんでだろう。。)


オーラから、彼が誠実であることが解った。ただ、レイラとうまくやれるか気になった。レイラが美しすぎるのが気になった。下世話な話だが、好きになられると面倒、と思った。


+++

レイラとのRINEでの会話。


タルキ:面接終わったよ


レイラ:どうだった?


タルキ:ドワーフ、男、若い。


レイラ:!?、ドワーフ?


タルキ:抵抗あるかな。


レイラ:大丈夫だと思う。あまり知り合いにはいないんだけどね。私、波風立てないタイプだし。


タルキ:すごいんだよ。一本流師範代なんだって。知ってる?


レイラ:えっ。知ってるよ。割と有名な流派だと思う。でも、そんな腕前なのに1人って、性格的に問題があるんじゃないの?


タルキ :ある意味、僕はそれしか見てないんだけど、多分大丈夫。


レイラ:タルキが良いなら、多分大丈夫だね。他に何か気になるのかしら?


タルキ:いや。


レイラ:何よ。


タルキ:男だからさ。なんていうか。大丈夫かなって。


レイラ:いい人そうなんでしょ?


タルキ:うん、そこは根拠のない自信がある。


レイラ:タルキの根拠のない自信を信じるよ。気にしてくれてありがとね。


こうして、なんの苦労もなく、腕利き剣士が仲間となった。


(つづく)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ