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7話 たちこめる暗雲!!

近日中に修正します!


 フワフワと宙に浮かぶ正宗を、目ざとく見つけた『煉獄』状態のサギ丸。

 彼がとった驚くべき行動とは。

 

 ―――なんと馴れ馴れしく、親友のような笑顔を正宗に向けたのである!


「商売同志の正宗よ!! そんなところにってはイカン!! 

 この俺様の必殺奥義、灼激しゃくげき顔面がんめん大太火砲だいたいかほうの巻きえになるわ!!

 死にたくなければ、今すぐここから距離をとれィ!!」


 彼の口から飛び散るつばすら、炎をまとって大気をがす。

 もはやサギ丸は顔面マグマ人間なのである。


「いやぁ。 に足つかねぇ生きざまってのは、中々どうして嫌いじゃなくてねぇ。

 事の次第となりゆきは、この場でちょっくら寝て待つかねぇ。 

 火砲かほうは寝て待てと言うやつよ」


 言い終わると狂犬は、ふわぁと欠伸あくびを一発かまして微睡まどろみはじめてしまった。

 自身の体が宙に浮かび始めた事や煉獄同盟、驚異の2大奥義は気にもめない様子である。


「なんと凄まじい態度よ! 同志とはいえ、もはや情けをかける余地も無し!

 ふざけた惰眠だみんが二度と覚めない眠りとなって、せいぜい後悔するがいい!!」


 自身の切り札をぼうとくされ激昂げっこうするサギ丸。

 さらに燃え上がる『煉獄』の到達温度は2000度を超える。

 そして、彼が二度も口にした同志という言葉。


 もはや言うまでもなく決定的だった。


 公安の余瀬よぜにらんだ通り正宗は自衛隊、最高位である陸将りくしょうの密命を受け、皆口殺害を楽しむためにS市へと降り立っていたのである。

 だが、この瞬間この場所に余瀬よぜの姿は見当たらない。


 肝心の余瀬よぜはというと『流れ』と離れた場所で立ち往生していた。

 誇り高き男でもある彼は重症の丸井を捨て置けず、やむなく足を止めていたのだ。


「・・・・・・頼むから、さっさと行って、手柄を立てろよぉ」


「仲間を見捨てて立てる手柄に、価値や意味など存在しないさ」


「うう。 お前はいっつもそうだ。 もう頼むから俺をみじめにしないでくれぇ」


「次は気を付けるよ」


「その『次』をやめろって話をしてんだ。 俺のことなど捨て置けや余瀬よぜ!」


 身じろき一つできない丸井と、やむなく足を止めた余瀬よぜ

 往生おうじょうする公安二人の果てなく続く押し問答もんどうは完全に平行線だった。

 だが何度繰り返してもなお、余瀬よぜと丸井はたがいの主張を譲らないのだ。


「ま、丸井さん!! あと少しだけ頑張って!!」


 そんな二人にパタパタ走り寄ってきたのは、美人教師の七瀬サヤ子である。

 息をはずませ近づいてくる、彼女の顔がすこぶる明るい。

 彼女は上空を飛ぶ、公安本隊の巨大なヘリを視認していたのである。

 

「丸井さんっ!! あそこが見えますか!? 

 公安のヘリコプターが救助に来てくださいましたよ!!」


 二人の意地の張り合いは余瀬よぜの粘り勝ちになった。 

 彼が、丸井だけに内緒で救援を要請していた本部のヘリが到着したのだ。


「丸井さんっ!! 助かりますよ!! しっかり!!」


 だがサヤ子の懸命けんめいの呼びかけに丸井の返事はない。

 いよいよ限界に来ていた丸井は、口を開くことすら出来なくなっていたのだ。

 そのでっぷりとした腹を仰向あおむけにして、ぐったりと横たわる丸井。

 憎たらしげに余瀬よぜとサヤ子を視線でなでるあたり、彼はまだ意識だけはあるようだった。

 だが急激に悪化していく丸井の容態は、もはや一刻の猶予ゆうよも許してくれそうにもないのだ。


 「なんとか間に合いましたね!!」


 ほっ、と胸をなでおろすサヤ子は重い空気を変えようと、ヘリのサイズに話題を変えた。


「それにしても本当に大きいですね。 あんなに遠くなのに、しっかり確認できるわ」


 確かに凄まじい大きさのヘリだった。

 遠目からでも警察300人は収容できそうなのが容易よういに見て取れる。


「警察庁の秘密航空機『国丸本土くにまるほんど』です。 

 確かにアレであるならば、丸井にも高度な治療が期待できるでしょう。

 ・・・・・・・しかし」

 

 しかし、だ。

 警察の空の旗艦きかんともいえるこの空母は、ケガ人の治療や犯罪者の鎮圧ちんあつが目的ではない。

 長きにわたり対立してきた自衛隊の駐屯ちゅうとん基地を、一度の飛行で一つ残さず空爆するために作られた対自衛隊用の代物しろものなのである。

 つまりは警察のタカ派による、航空『兵器』だった。

 

「・・・・・・余瀬よぜさん?」


 サヤ子は思わず息をのむ。

 余瀬よぜの表情が、驚くほどけわしくなっていたからだ。

 余瀬よぜは頭の中で去来きょらいする、まがまが々しい予感と戦っていた。


「・・・・・・丸井の救援を要請してから、まだ1分も経ってないんですよ。

 いくら公安のヘリが最新鋭だからといって、これは余りにも早すぎる」


余瀬よぜさん、同僚の方が救助に来てくださったのですよね?」


 不安にさいなまれ、余瀬よぜに質問するサヤ子。

 言われてみればサヤ子から見ても、ヘリの様子は確かに可笑おかしかった。

 いつまでたっても大きくならないのを見るに、姿を現してから全く近づいてないのである。


「いや。 救助というよりも、これは・・・・・・」


 余瀬よぜの中で嫌な予感が、むくむくと膨れ上がっていく。


 依然いぜんとしてヘリは、3人とは遠く離れた場所で上空待機しているのだ。

 つまりは明確な意図をもって待機し、救助以外の何かをしようとしているのである。


余瀬よぜさん!! どういう事ですか!? 大丈夫なんですよね!?」


「安心してください。 敵ではないです。 それは間違い無いですから」


 しかし「敵ではないです」 と口にした余瀬よぜの指先は、その言葉に反して腰の拳銃へと伸びていた。

 あの時、みずからが操縦してS市へとたどり着いたヘリコプターのレーダーには、なにも機影は映っていなかった。

 だとすれば間違いなく、あの『国丸本土くにまるほんど』に搭載されたステルス機能を使い、自分たちに隠れて今の今まで尾行していたのだ。

 その息をひそめていた何者かが救援要請を盗み聞き、ついにその姿を現したのである。

 今がまさに絶好の機会である『その時』だと確信して。


「・・・・・・なるほどな」


 東大を首席で卒業した余瀬よぜの鋭い頭脳が、ある人物とその目的をはじきだした。

 『国丸本土くにまるほんど』での出撃は、並みの警察には不可能だ。

 そびえ立つ書類の山をクリアし、さらに各警察機関の幹部の承認、そして自身にもかなりの立場を要する。

 それにだ。

 地獄絵図と化したS市を認知しているにも関わらず、救助活動はおろか煉獄同盟の鎮圧すらも放棄する、冷徹な性格。


 もう思い当たる人物は一人だけだった。 

 そして、これから彼女がやる事も一つだけだろう。


 いよいよ拳銃に手をかけ、臨戦態勢に移る余瀬よぜ


「つまりは時間切れ、というやつか・・・・・・」


「誰なの? あのヘリコプターに居る人は誰なの!?

 そして、何が起きようとしているの!?」


 グオン!! ゴゴゴゴゴーーーッ。


 サヤ子の疑問に答えるように、ヘリのハッチが開いてゆく。

 その口の中に潜んでいた『ある物』を見た瞬間、衝撃のあまり叫ぶサヤ子。


「う、嘘でしょ!?」



頑張ります!!


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