05.あの世へようこそ
「……………え。………き………よ。」
え?何か聞こえる?
「ね………え、お……てよ!」
あ……。なんかふわふわしたのが毛がある。ペロペロされてる…。あの子みたい…家の近所にいるあのふわふわでモコモコの…。
『ふふふ、くすぐったいよ。からあげ…。』
「は!?からあげ!?どんな夢見てんの!?ちょっと起きてよ!」
『ふぇ………。ん………?は?!でか!え?犬!?でか!』
目の前にはあの国民的アニメーション映画にでてきそうな大きな白い犬…。
「犬じゃない!狼!オイラは狼だ!主様!この人間オイラのこと犬って言った!」
『狼だってイヌ科でしょ!犬と変わりないじゃない!でかいけど!』
「でかいとか言うな!狼のほうが強いんだぞ!カッコイイんだぞ!」
「だったら今度、地獄犬の琥珀殿と勝負してみてはどうですか?」
え?誰?
「主様!無理ですよ!琥珀様は地獄犬のボスですよ!勝てません!」
現れたのはえ?乙女ゲームからでてきたの?ってくらい凄いイケメン。艶のある黒い髪の毛に赤い目。ちょっと女の人よりの中性的な顔立ち……。はい!好みです!ドストライクです!
「地獄犬も犬ですよ。狼のほうが犬より強いんでしょう。それはさておき。」
チラッとイケメンは私を見た。目が覚めた時にこんなイケメンと見たこともない人すら乗れそうな大きな喋る犬(狼)……。
これはもしかして、あの……。
「違いますよ。」
『え?なにが?』
「どうせ、自分は異世界転生でもしたと思っているんでしょう。だから違うと言ったのですよ。」
この人エスパー?それより、ここは異世界では無いと言うことは…。
「あの世です。」
『あ、あの世!?』
「そう簡単に異世界転生などあり得ませんよ。あるとしたら全力で阻止します。異世界転生されると今までとり続けていたその人間の記録やらなんやら全て無駄になります。この世界にあるはずのの魂が無くなるなんてあの世にとっては大問題なんですよ。」
『へー、そうなんだ。と言うことはやっぱり私は死んだの?』
そうだよね。あんな化け物に襲われたら無事じゃないよね。
「いえ、生きてます。」
『はい!?え!今なんて!』
「だから、貴女は生きてます。まあ、ほとんど死んでいるに近いですが…。今の貴女は臨死体験をしているような状態です。」
『じゃ、じゃあ早く元に戻してください!生者があの世にいたらまずいでしょ!』
絶対、皆心配している!早く戻らないと!
「無理です。貴女は自分に起きたこ事の重大さをわかっていないですね。こちらに来る前に何が起きたか覚えてないとかないでしょう。確かに生者がこちらにいるのはまずいですが、貴女は現世に戻っても今度こそ死にます。そして二度とこちらに来ることすら出来なくなります。」
え?あの世に来ることすら出来なくなるってどういうこと?すぐに死ぬって?
「まあ、これからは話しが長くなるのでこんな所ではなんですから移動しますよ。」
『そういえば、ここってあの世のど「ギャァァァァァァ!!助けてくれぇぇぇ!!」ひ、ひぃぃぃぃ!』
遠くだけど鬼が金棒を持ちながら血だらけの人を殴っているのが見えた。よく見ればそういうのがあちこちにある!
「等活地獄のすぐそばです。」
じ、地獄……。あ、また意識が遠く………。