04.黒い影
やっと本編に入れそうです!
『え……?春ちゃんが帰ってきてない?』
春ちゃんが家に帰ってきてないと春ちゃんのお母さんから私の家に連絡がきたのはそろそろ寝ようとしていたときだった。
「でも、春ちゃんから連絡あったんでしょ?」
『うん。メッセージ見てみる?』
そう言って私はお母さんに見せようとスマホのメッセージ画面を開くと。
え、なにこれ。スマホ壊れた?
春ちゃんのメッセージが映し出される所だけ凄い文字化けだった。とてもじゃないけど読めるような状態じゃない。
「ん?どうしたの?早く見せなさい。」
『いや、間違えて消しちゃったみたい。』
「ちょっと!なにやってるの!しっかりしなさいよ!」
それから2週間。春ちゃんは見つからない。捜索願も出したけど目撃情報も何も出てこなかった。
保健室の先生に何でちゃんと家に送らなかったのか文句を言うと、あの日春ちゃんは具合が悪い筈なのに急に走り出してしまい先生はあっけにとられ見失ってしまったと先生は言った。先生は少し仮病を疑っていたけど先生達の間でも評判の良い春ちゃんにはそんなことはあり得ないと他の先生に言われたらしい。
確かに春ちゃんは成績も良いし一度も学校を休んだことなんて無かった。春ちゃん、どうか無事に戻ってきて。
『って思っても全然情報も無いんだよね…。帰りに神社に寄ってお願いしてこよっかなー。』
その神社が祀っているのは水神様なんだけどね。あー、早く春ちゃんに会いたい!
「みのりちゃん。」
え、とうとう春ちゃんの声の幻聴まで聞こえ始めた?
「みのりちゃん、助けて…。苦しいよ。」
『幻聴じゃない!春ちゃん!?どこにいるの!?』
「みのりちゃん、タスケテ。」
どこ?どこにいるの?春ちゃん!
『痛!!』
急に足を引っ張られたような感じがして思いっきり顔から転んだ。
鼻血まででてきた。もう!こんなことしてる場合じゃないのに!
「みのりちゃん…。タ…ス…ケ…。」
『春ちゃん!今行くよ!』
思いっきり何かに後ろへ引っ張られるような感じがするけどそれどころじゃない。行けばきっと危険だって知っているけど大切な春ちゃんを助けるためだ!
『春ちゃん!………………………………え?なに、あれ………。』
目の前に見えるのはどす黒い大きな化け物が大きな女の人に乗っかっている光景。春ちゃんの姿なんて何処にもない。化け物は大きな手や足で女の人を押さえている。エイリアンに似ているかな…。でも、この世のものじゃない。絶対に関わってはいけない奴らだ。
「ア………ガッ……………。ダズ…………ゲ………デ………。」
女の人と目が合った。目が血走ってる。身動きが取れない。
コワイ……。
「ダズ、ゲデ………。ジニダグナイ………。」
女の人が私に手を伸ばす。
急に化け物が真っ赤な大きな口を開けた。口って言うより頭がぱっくり割れた。一瞬クリオネの食事シーンを思い出したけどあんなもんじゃない。もっと恐ろしい。中学生の頃に見たものよりおぞましい。
「ギャァァァァァァ!!!イヤ!タスケテ!イヤァァァァ!!!!」
女の人が長い髪を振り乱しながら叫んでる。
女の人の口から白いもやのような物がでてきた。女の人はもう叫んでないずっとピクピクしているだけ。だんだん女の人の手がまるで枯れ木みたいになってきた。手だけじゃない、顔もだんだんミイラみたいになってもう目があった場所は穴しかない。
この化け物が事件の犯人…。こんなの人間に勝てる訳がない。
どれくらい経ったろう。数分も経っていないはずなのに何時間も経ったような感じがする。化け物が急に私の方を向いた。
化け物の下には女の人だったものがあるだけ。
次は私の番だ………。
『嫌だ!助けて!誰かぁぁぁぁ!!!』
叫んだ。いや、叫びたかった。でも声が出なかった。
目の前には真っ赤で何かが腐ったにおいのする口。
お父さん、お母さん。親不孝な娘でごめんなさい。
お婆ちゃん、今からそっちに行くよ。
化け物さんの口の開く様子がうまく表現できませんでした。イメージ的にはクリオネの食事シーンのようなガバッと頭が割れる感じです。
どうか伝わりますように