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19.私も何かしたい

ブクマ&評価ありがとうございます!

「閻魔大王、今回の怪異についての報告書です。」


 この日最後の亡者の裁判が終わった頃、雷人は閻魔大王のいる裁きの間に来ていた。


「おや、雷人くん。もう体は大丈夫なの?地蔵菩薩殿から聞いたよ。かなり大変だったんだって?」


 閻魔大王は渡された書類に目を通しながら雷人に尋ねた。


「今回はかなり油断してしまいました。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。」


「いやいや、聞いた話によると子供達がいたから力を出せなかったんだろう?本当に優しいねえ。」


「人を襲っていますが彼等だけが悪いというわけではないので傷つけたくなかっただけですよ。人間全てに優しい訳じゃありません。」


 今回はどう考えてもあの子供達だけではあんなことは不可能だとずっと思っていた。まさかあのような物が絡んでくるとは思いもしなかったが…。


「地蔵菩薩殿からも聞いたけど報告書にあるこの正体不明の女の子と黒い影は気になるね。神気を感じたってことは神様関係だろうけどこんなに人間に干渉している神様っていたっけ…?」


 神と人間が近かった神代は除くが神は滅多に人間には干渉しない。力を貸し人間を襲わせる神など高天原で問題になっているはずだ。それなのに全くそのような情報がない。


「もしかすると、私のような神と人間の間のような存在かもしれません。」


「確かに、神の眷属とかだと寿命とか長いし神気もあるよね。それにしてもこの女の子ってもしかして…。」


「おそらく、みのりさんの友人で行方不明になっている春さんだと思います。何故そちらにいるかわかりませんが…。」


 一緒にいた女の子事前に聞いていた春の特徴にとてもよく当てはまっていたのでこれは確かだと思うがいったいなぜ…。


「あ、そういえば。噂を聞いたよ。みのりちゃんが雷人くんの婚約者だって?多分みのりちゃんを守るためだと思うけどやり過ぎじゃない?」


 流石は閻魔大王。よくわかっていらっしゃる。


「やり過ぎなほうがいいじゃありませんか。」


 これくらいしておけばみのりさんに手を出す者などよっぽどの馬鹿だ。まあ、本当に手を出せば阿鼻地獄並みの拷問ですけどね。


「そんなに君がみのりちゃんを守りたいのって、やっぱりみのりちゃんの前世に関係あるの?結婚しないのもそうだよね?」


 その言葉を聞いて雷人が珍しく眉をひそめ不快そうな顔をした。


「閻魔大王、それはわかっていても言わない約束の筈ですよ。また雷を落としましょうか?」


「ごめんごめん。そんなに怖い顔しないで。君、私が亡者ですぐに再生するからって容赦ないんだから。」




 このままじゃ駄目な気がする。もうあの世に来て1ヶ月経っても全然私を襲った怪異は解決しなさそう。だって現世では1ヶ月意識不明ってことでしょ?それはやばくない?雷人さんに任せてけば大丈夫だとは思うけどこのままずっと親に迷惑をかけたくないし、春ちゃんも早く探さなきゃだしこのままずっとこうしてバイトだけだと駄目な気がする。でも何をしたらいいかわからないし…。葵さんに聞いてみようかな…。


「何かしてくれるってのはとてもありがたいんだけどみのりちゃんは行動が制限されているじゃない?しかも私達は貴女を守るためにこんなことをしているんだから貴女は何もしなくていいわ。」


 葵さんはよく甘味処に来るので来る度に話をしている。現世にいる家族や友達の様子なども全部葵さんから聞いていたりする。そうだよね、ただの人間である私には何も出来ないんだよね。そうしょんぼりしていると


「もう、そんなに悲しい顔をしないでちょうだい。そうねえ、貴女にも出来ること…。あ、閻魔殿にある図書室で調べてみるのはどうかしら?かなり資料があったはずよ。主様は貴女を襲った怪異は神様関係かもって言っていたからその辺を調べてみたらどう?」


 確かに図書室での調べ物なら私でも出来るかも。


「あ、そうそう。お藤ちゃんのことなんだけど、あの子真面目だからなかなか一緒に来てくれないのよね。貴女の体を守るのが最優先だって聞かないのよ。ごめんなさいねえ。そのうち無理矢理でも連れてくるから!」


『現世で私のことを守ってくれているだけでとてもありがたいので大丈夫ですよ。いつもありがとうございますって伝えてください。』


 本当は直接会って伝えたいけど我が儘言えないよね。


「あ、そうだわ。はいこれ私からのプレゼント。」


 そう渡されたのはとても綺麗な装飾のされたブレスレット。レースのような金属の細工に中心には青い石がはめ込まれている。見るからに凄く高そう。


『え!こんなに高そうな物いいんですか!?』


「いいのよ。自作だし材料費とかはそんなにかからなかったわ。それに、これはお守りのような物ね。貴女を守る術もかけてあるから肌身離さずつけてなさい。」


 自作でこのレベル!?どう見ても職人技だよ!?


『あの、私を守る術って具体的にどんな…。』


「確か……貴女に危害を加えようとする者が近づいただけでその者は青い炎で真っ黒焦げにされるとかかしら?その方が貴女も一人で行動とかできるでしょ?」


 な、なんと物騒な術を…。これから調べ物とかするから一人になるとは思うけどこれはやり過ぎじゃ…。


「まあ、閻魔殿はかなりセキュリティもしっかりしているしその術は発動する機会はないと思うけどね。」


『わ、私もそう思います…。』

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