01.日常
『帰りたい。』
思わず声に出てしまうのも理由がある。私、本田みのりは漢字テスト、英単テストが大の苦手である。それはもう一度も再試験や課題提出回避なんて無いほどに。
そして、その嫌いな漢字テストが今日ある。
「え、まだ朝練すら終わってないのに?」
高校で初めて出来た友達の春ちゃんは大きな可愛い目がより一層大きくして驚いていた。
『だってさー、今日漢字テストだよ!またあの鬼畜なプリントやるんだよー。部活だけやって帰りたい。』
「みのりちゃん、漢字とか嫌いだもんね。あ、次の所のテンポ120でもいい?」
『いいよー。早く上達しないとまた怒られるし。』
ちなみに、今いるのは音楽室。私は吹奏楽部でホルン(よく言われるけどカタツムリみたいなやつ)を担当している。
「そういえばさ、みのりちゃん今朝のニュース見た?」
『あー、また変死体がでたんでしょ?確かカラッカラに干からびたやつだっけ?物騒だよね。』
珍しいな春ちゃんからこういう話題が出るなんて。
「あれって、人間がやったのかな…。それとも…」
『人間以外の何かって?まさか~。この日本で干からびるなんて無理だと思うけどさー。』
「そうだけど…。なんか怖いな」
『あ、練習時間無くなっちゃうよ!ほら、やろう!』
妖怪とか幽霊とか小さい頃はそんなの気にしなかった。というより信じていなかった。でも、小学校の修学旅行で暴走した車に引かれそうになったときに視えるようになった。そのときは誰かに前へ突き飛ばされてギリギリの所で助かった。後ろを振り返ると綺麗な女の人が立っていた。でもすぐにいなくなってしまった。
それからはたまに視えるときがある。お婆ちゃんに相談すると私が7歳の時に貰った数珠をいつも持っていなさい、黒い影には近づくなって言われた。私的にも無視するのが1番だと思った。
放課後
『先生ー、今回は頑張ったんです。いけると思ったんです。』
今回は本当に頑張った前回のテストから毎日勉強したし、手応えもあった。けど…
「確かに今回の本田さんは今までよりいい点数だけどねぇ。でも合格点にいかなかったし。今回も課題提出頑張りなさい。」
先生は苦笑いしながらプリントを2枚渡してきた。これが他にも勉強がある私にはキツい。
『はーい。先生さようなら。』
「はい。さようなら。帰り道気をつけてね。今物騒だから。」
『あ、干からびた死体の事件ですか?』
「そうね、この辺じゃないけどすぐ近くでも事件があったし。危険を感じたらすぐに逃げること!」
先生も知ってるんだ。そりゃ、そうだよね 。もう5件も同じような事件があるんだから。
『はーい。気をつけまーす。』
私は知っているこの後に絶対事件に巻き込まれるって。