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14.双子でも似ていない姉妹

ブクマ&評価ありがとうございます!

 私達がいるのは外交課の部屋のすぐ近くにあった応接室。今は誰もいないためそこで安倍川餅を食べながらお茶をしている。桜さんは旦那さんからヘルプ要請がきてお店に戻っていった。後で雷人さんが送ってくれるらしい。


「ごめんなさいねえ。あのままだとまた喧嘩が始まってしまうと思ったらつい矢を放ってしまって。怪我はなかった?」


 雷人さんと桜さんの喧嘩が!と思ったときに矢をこちらに放つという独特なやり方で2人の喧嘩を止めた女の人はとても申し訳なさそうに謝ってきた。


『はい、ギリギリ大丈夫でした。』


 ちょっとでも動けば当たりそうだったけどね。それにしても凄く綺麗な人だな…。髪の毛は綺麗だし肌の色も白くて絶世の美女って感じがする。それに服装も天女みたいなのを着ているし。


「姉上、喧嘩をしようとしたのは謝りますが矢を放つのはいくら弓の達人と言われる姉上でもいかがなものかと思いますよ。」


 『ら、雷人さんのお姉さん!?』


 言われれば似てるかなって思うけど雰囲気が全然違うからわからなかった。それに目だって青いし…。


「はい、雷人の双子の姉の翡翠(ひすい)と申します。」


 翡翠さんはニコッと笑った。うわぁ美女の笑顔ってこんなにキラキラしているの?後光まで見える気がする……。


『お姉さんは天国で働いているんですか?格好がなんか天女みたいだなって……。』


「ええそうよ。私は天照大神様の補佐のようなことをしているの。妹の雷人は地獄で働いているのだけど血なまぐさいのは小さい頃から苦手で……。」


 天照大神……?聞いたことあるけどどんな神様だろう。多分偉い神様なのはわかるんだけど……。


「あ、そうだわ雷人。父上は元気?また変なことしてない?」


 自分の父親をまるで問題児のように言わなくても……。


「そう心配しなくても大丈夫ですよ。むしろかなり大人しいので生きているか心配です。」


『あの、雷人さんと翡翠さんのお父さんって問題児かなんかですか?』


「問題児では収まりませんよ。みのりさんは菅原道真さんをご存じですか?」


 えーと名前は聞いたことあるけど……。


『すみません。学問の神様ということしかわからないです。』


「菅原道真さんは今は学問の神様として崇められていますが元々は怨霊となってしまった道真さんを鎮めるために人間達が祀ったのがきっかけです。これは有名な話しなのでなぜ怨霊となったのかは省きますが、怨霊となった道真さんは雷神の力を借りて落雷を起こし人間達を苦しめます。」

 

 もしかして、その力を貸した雷神って……。


「私達の父親であり雷神、大雷(おおいかづち)です。当時の怪異の事務処理をしていた人にはご迷惑をお掛けしましたよ。」


 そう言って雷人さんは溜息をついた。こんなに美形な2人のお父さんはさぞかしイケメンなんだろうな。


『当時は雷人さんは地獄にいなかったんですか?』


「その頃は色々あって私は現世にいました。噂を聞いたときは頭を抱えましたよ。」


「でも父上もあまり悪くないと思うわ。だって当時の父上は人間にとても強い恨みを持っていたんだもの。」


 そう言って翡翠さんは安倍川餅を一口食べ美味しかったのか頬に手を当てとても幸せそうに食べていた。美女はなにをやっても絵になるな。


『そういえば、さっき怪異が子供関係って言っていましたけどそうなんですか?』


「はい。近頃あの世に来るはずの子供の亡者が行方不明になっているんです。子供と言っても産まれてすらない中絶や流産などによって死んだ赤子ですが。」


 そんなに小さい子供達が被害にあっているんだ。


「それで地蔵菩薩様や鬼子母神様がいらっしゃったのね。ということはその子供達が被害にあっているのかしら?」


 翡翠さんはとても悲しそうな顔をした。翡翠さんは雷人さんと違って表情が変わるので双子でも違うんだなって思う。


「いえ、逆です。子供達が害を与える方です。」


『え!?小さいのにどうやって!?』


「わかりませんが先ほど被害にあった女性の子供の記憶を見てみるとどうやったかは知りませんが4歳くらいの大きさになり人間の魂をさらっていました。体は行方不明となった場所から離れた山中で見つかったようです。」


『子供ってさっきお地蔵様が抱っこしていた赤ちゃんですか?記憶を見るってどうやって……。』


「秘密です。」


「体が山の中ということは怪異も山の中にいるんじゃないかしら。」


「木の精霊である木霊(こだま)さんに協力してもらってもう居場所は突き止めています。後はどうやって解決するかですが地蔵菩薩様に協力して貰おうと思ってます。」


『じゃあ、もう解決の目処は立っているってことですか?』


 そう聞くと雷人さんは頷いた。


「ということは、雷人には急ぎの仕事はないって事ね?じゃあ、帰りましょ!どうせ貴女全然寝ていないんでしょう?」


 確かに雷人さんの顔色悪いし隈もすごい。よく起きていられるなって感じ。


「いや、まだ外交課の仕事が残ってます。」


 まだ仕事するの!?雷人さんって社畜かなにか!?


「いいえ!雷人様は寝てください!後は我々がやります!」


 そう言ってドアを開けたのは外交課の人達。


「ほら、部下の方達もこう言っていることだしお言葉に甘えれば?」


「……そうですね。皆さんありがとうございます。」


 この後こっそり部屋で仕事をしていた雷斗さんが様子を見に行った翡翠さんに仕事を取り上げられたと外交課の人に教えて貰ったのはまた別の話。

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