10.甘味処の桜さん
ブクマ&評価ありがとうございます!
『ちょっと待ってください!歩くスピードが速いです!』
私と雷人さんとではかなりの身長差がある。雷人さんは身長が大きいし足だって長い。大股で早足で歩かれるとこっちは走らないと追いつけない。
「ああ、すみません。ちょっと時間が無かったので急いでいました。」
『そ、そうなんですか。あの、さっき何かまずいこと私言っちゃいました?』
「いいえ、気にしないでください。もう少しで貴女が働く甘味処に着きますよ。」
それにしても閻魔殿って広すぎ!さっきの所から結構歩いたのにもう少しって。
「あ!師匠!また早足で歩いているんですか?後ろの女の子疲れていますよ!」
そう言ってでてきたのは……
『え!?春ちゃん!?………………あ、すみません。人違いでした。』
一瞬だけど春ちゃんと間違えるほど春ちゃんにとても似た女の人だった。そうだよね。春ちゃんがあの世にいたら私はもう生きる気力無くす……。
「…………?私、その春ちゃんって子に似ていたのかな?私は桜。ここの甘味処の店長の様な感じね。」
『いきなりすみません。私は本田みのりです。所でさっき雷人さんを師匠って呼んでましたけど……。』
「私はまだ戦が絶えなかった頃今の現世で言うと戦国時代かしら?その生まれでね。師匠はみなしごだった私を1人でも生きていけるようにって剣術を教えてくれたの。」
『と言うことは桜さんは人間ですか?それに結構昔の人なんですね!しかも1人でも生きていけるようにって雷人さん優しい!』
「いや、たまたまですよ。それに桜の両親はとある怪異で亡くなられていたのでせめてものの償いです。」
あ、ちょっと気になることがあるんだよね
『あの、ちょっと失礼かもしれないんですけど、桜さんは女の人ですよね?』
見た目で雷人さんを男の人と間違えてから、見た目が綺麗で可愛い女の人の桜さんももしかしたらって考えるともう何も信じられない。
「ええ、私は女よ。あ、もしかして師匠を男と間違えたの?私も最初は間違えたの!この前も衆合地獄の鬼女の方に告白されてましたよね!」
やっぱり皆間違えるんだ。そりゃあこんなにカッコイイから無理もないよね。
「その話しはもういいでしょう。そろそろ私も仕事があるので後は任せましたよ。」
雷人さんは行ってしまった。
「あ、そうそう!貴女が今日から住む女子寮なんだけど、私と相部屋よ!その方が安心でしょ?着がえとかも私のお古だったらいっぱいあるし。」
桜さんって雷人さんと真反対なんだな…。テンションの差が凄いある。
『ずっと思っていたんですけど、雷人さんの家って女子寮にあるんですか?閻魔殿には住んでなさそうですけど。』
まあ、最近は私が昨日使わせて貰った徹夜専用部屋に寝泊まりしているって言っていたけどね。
「いいえ、確か持ち家があるって前に聞いたわ。でも、最近は忙しいみたいだし帰って無いと思うけど……。あ、それより。はいこれ!その着物だと動きにくいでしょ?」
そう渡されたのは可愛い袴。なんか大正ロマンって感じな柄で凄く可愛いし1人でも着やすそう。
「早速今日から働いて貰いたいんだけど大丈夫?仕事が終わったら一緒に寮へ行きましょ。」
『はい!今日からよろしくお願いします!』