09.地獄の閻魔様
前の話しでもしたように
伊邪那美命=イザナミノミコトとカタカナ表記させていただきます。
ブクマ&評価ありがとうございます!
雷人さんって表情ほとんど変えないから何を考えているのかわからないけど結構いい人なのかも…。
そう思いながらいつの間にか置いてあった[素人でもわかる!1人での着物の着方!帯の結び方!]という本を参考にしながら着物を脱いだ。着物をよくよく見るとキラキラしてる。
着物の仕立てをしている母が以前「キラキラしている着物はね金糸が入っているから高いのよね。しかも縫いづらいし。」と言っていたのを思い出しそんな高価なものをよく自分に渡せたなと思う。
そういえば、ここってあの世なんだからお婆ちゃんいるよね?雷人さんに頼めば会わせてくれるかな……。でも亡者なんていっぱいいるんだからお婆ちゃんがどこにいるのかなんて覚えてないよね…。
みのりは溜息をつき部屋を見てみると意外とあの世の生活は現世と変わりがないと気がついた。しかも電気スタンドやテレビなどがあるのを見ると電気もあるらしい。
明日は閻魔様に会うんだっけ。絶対怖い人だよね。雷人さんの知り合いの人(人間じゃ無いと思うけど)もいい人だと思うけど凄く心配。あー、私が見たあの化け物みたいな人だったらどうしよう。食事する度に頭がぱっくり割れたりするのかな……。夢にでてきそう。
『結局寝られなかった……。眠い……。』
本を見てもやっぱり着物には不慣れなので雷人さんに手伝って貰った。
「だらしないなぁ。主様ー。本当にこの人間を働かせて大丈夫ー?」
そう言いながら蒼藤は馬鹿にしたようにみのりを見ていた。
『あの、閻魔大王様って怖い人ですか?』
「私的には全くですよ。そんなに心配する必要ないです。」
ですよね。雷人さんにとってはそうでしょうね。でも人間の私的には怖いんですよ。今までみた閻魔像とか凄く怖いし。
【裁きの間(閻魔がいるところ)】
「君が本田みのりくん?可愛らしいお嬢さんだねえ。私は閻魔、一応地獄のトップだよ。あ、自分で言うのも変か!はは!」
実際に会うと閻魔大王は体は大きいがとても優しそうなおじさんだった。みのりは固まってしまった。
「ほらね、全く怖くないでしょう。これで地獄のトップってとても心配なんです。」
『確かに………、じゃなかった。初めまして!本田みのりです!これからお世話になります!よろしくお願いします!』
勢いよく頭を下げた。すると閻魔大王は
「そんなにかしこまらなくて大丈夫だよ。」
とニコニコと言った。本当にこの人が閻魔大王なのか疑いたいほどいい人そうだ。
『あの、ずっと気になっていたんですけど。そもそもあの世に生きている人がいて大丈夫なんですか?』
「ああ、何度か生者があの世に来ることあるしそんなに心配することも無いよ。長い間地獄に通っていた人間もいたし。」
『そ、そうなんですか。所でその地獄に通っていた人は……。』
「小野篁という平安時代の方です。生前に地獄で仕事を手伝って貰っていたんですよ。こちらに来た今も働いていらっしゃいますよ。」
『そうなんですね。いつか会るかな。』
「そうだねえ。彼も結構忙しいみたいだけど甘いものとか好きだし君が働いている所で会えるかもねえ。」
「閻魔大王、そろそろ裁判の亡者が来る頃では?」
「ああ!本当だ!じゃ、みのりくん、頑張ってね。」
そう言って閻魔大王はバタバタと支度を始めた。
『はい!ありがとうございます!そういえばイザナミノミコト様?には挨拶をしなくてもいいんですか?』
すると時が止まったように静まり返った。え?何かまずいこと言った?
「イザナミ様は普段どこにいるのかわからないので会えないんですよ。それより、行きますよ。」
そう言って雷人さんはそそくさと歩き出してしまった。




