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第五部最終回 拒絶!

『えー、まもなく予選が始まる! ルールは先程の物で短編30分勝負よ! 準備はいい?』


若い女のアナウンスを聞いて、チート能力でノートパソコンの予備を鞄から取り出す高田浩二!


(今回はきちんと起動しておかねばッ!)


そこで高田の前にカウガールが登場ッ!

無駄に胸と尻がデカいのと透き通るような金髪である以外、特徴が無いごく普通のホットパンツ履いてるどこにでもいるカウガールである!

故に彼女にはメインヒロインの適性があった!


「あなた……あの黒鼠に目を付けられているのね?」


「ああ、そうだ。名指しで指名されたくらいだからな! 奴は必ず俺が倒す!」


「私の名前は安院(やすいん)・ヴァイ。黒鼠は私の仇敵なの! ……お互い頑張りましょう」


「ああ――どっちが勝っても恨みっこ無しだ!」


安院ヴァイ!

名前からしておそらく安院人とヴァイ人のハーフである!

彼女は父か弟あたりを黒鼠に殺されたかどうにかされて、心がささくれ立っているのかもしれないし、別にそんなことはないのかもしれない!


『三、二、一! なろうファイト!! レディー、――――――ゴー!』


(仕方在るまい……なろうファイトの特訓の意味が無いが……今回は軽めの超大作スペースオペラでも書くか!)


何の変哲も無く普通にアイデアを湧かせて執筆をする高田浩二!

他のファイター達も異世界物では無い為か、全員総じて遅筆である!


そして30分が経過した!


『そこまで! 貴様達の作品は執筆終了と同時に既に評価を受けている状態となっているわ。今、読者達が一斉に評価を行っている所よ!』


(頼む……誰でも良い! ブクマとポイントを付けてくれッ!)


全身全霊をかけて願う高田浩二!


『………………』


『………………』


『………………これは!』


アナウンスの女の声に会場に緊張が走る!!


『――――――――――うぐぐぅ…………全員0PTなので――全員予選突破だ! 想定外だった! 読者が匿名のお前達の個性溢れる作品をこれっぽっちも評価しないとはッ! ちょっと流石に同情する……! 後で私が全作品を読んで――レビューと感想を書かせてもらうわ!』


「「「よっしゃああああああああああ!」」」


会場は悲しみでは無く――喜びと安堵に包まれた!


『ちょ……ちょっと! どういうこと!? 少しは悲しんだらどうなの?』


「なぁ~に! 心配はいらへん! ワイらにとってはこんなん日常茶飯事や!」


善光路のかけ声に同意するファイター達!


「当たり前の事よね!」


「馬鹿馬鹿しいし、適当に書いて正解だったな!」


「俺なんて面倒臭くなって200字『あ』だけで埋めちまったよ!」


(なるほど……善光路の“書かなくても良い”ということは――つまり名声も何も無いのに異世界関連以外の物を書いても意味が無い――どうやっても0PTになるという意味だったのかッ!)


『あ、いや待って! 一人だけ作品を投稿していない者がいたわ! 善光路良光をリタイアとする!』




「なんでや!」




こうして善光路――不戦敗! 哀れ大作家人(おおさっかじん)! ざまあみやがれバーカ!






「ぐ……うぐっはあ――ッッ! ゲホッ……ゲホッ」


そこに突然の吐血!

カウガール――安院ヴァイが倒れた!


「どうしたんだ! 安院ッ!」


慌てて倒れ行く彼女を受け止める高田浩二!


「待て! 彼女を揺らすんやない! ワイに見せい! これは――なんてことや……」


倒れる安院に一人だけ予選落ちした無様な大作家人――善光路が駆け寄った!


「この金髪の姉ちゃん――物凄くおっぱいが柔らかい! ついでにアナフィラキシーショックを起こしとる!」


「アナフィラキシーショック……なぜそんな症状が!」


「普段書き慣れていない現実味溢れる物語をゼロから無理に書こうとしたせいで体が拒絶反応をおこしたんや!」


「そんな……そんな馬鹿なッ!」


気がつけば会場は死屍累々!

アナフィラキシーショックが大蔓延!

首にスキーのストックが刺さっている者――

喉を掻き毟っている者――

十七個の肉片になっている者――

普段執筆している作品とは違って死に方が無駄に個性的である!


(なんということだ……これがアナフィラキシーショックの恐ろしさか!)


無事なのは高田と善光路――そして、先程斬りかかってきた怪しげな浪人風の男だけであった!


「善光路。なぜ俺とあの浪人は無事なんだ!」


「それは“後天性ファイター”だからや! 他の話を書き慣れていて後からなろうファイターになったモンをそう言うんや! 今となっては絶滅危惧種! ちなみにワイも本来はノクターンの18禁小説畑の人間や!」


(小説って畑で取れる物なのか!?)


「倒れているのは“先天性ファイター”! 最初からなろうファイトで執筆している連中で基本、読む物もなろうファイトの人気作っていうサラブレットや! 天才型故に……テンプレ以外の話に対して全くといって良いほど耐性が無い!」


「クソ! 何て惨い事をするんだ暗黒なろうファイター……陸に上がった魚は……窒息死するしかないじゃないかあああああああああああああああ!!」


『ア……アレルギーの定義がもうさっぱりだけど――とにかく今救急車を呼んだわ!』


「なにがどうさっぱりなんだ! さっぱりなのはお前の頭だ!」





「高田――――浩二。あなたに……お願いがあるわ……私の代わりに黒鼠を――――倒して頂……戴! 奴が執筆で使う能力は――――――」


「もういい! これ以上喋るな!」


「………………………………」


高田の指示に素直に従って黙り込む安院!







「馬鹿野郎――――――――――――言われて本当に黙るヤツがあるかあああああああああああッッッッッッッ!」






しかし時既に遅し――アナフィラキシーショックの致死性は凄まじく、彼女の体は一部分を残して突然霧散した!


「チクショオオオオオオオオオオオ!!」


高田の無念の拳が振り下ろされる!

ノートパソコンと一緒にコンクリートの床に穴が空く!


「とりあえず。胸と尻だけでも無事でよかったで……この二つさえ残れば問題はないんや……」


安院の体の残骸をゴミ袋に詰め込む善光路!


「言っている意味がよくわからんが――不幸中の幸いというやつか……。しかし……残ったのは俺と脱落した善光路を含めてたったの三人! 他は全員蒸発して消滅してしまった!」


『そっ――そんな馬鹿な事が! 何故……アレルギーで消滅するの!?』


(この女……ふざけるのもいい加減にしろッ!)


目の前の事実を受け入れられず意味不明な現実逃避を続けるアナウンスの女に、高田の正義の怒りがついに爆発する!


「残酷な事をする暗黒なろうファイター……この人殺しめ! 俺は貴様を絶対に許さん! お前のせいで皆が苦しんで死んだんだぞ!

どういう育ち方をしたんだ! 親の顔が見てみたい! 生きていて恥ずかしくないのか! お前に子どもが生まれてこの事実を知ったらその子がどんな気持ちで一生を歩んでいくと思っているんだ! いや――むしろ貴様のようなヤツに子どもを産み育てる資格などあるものか!」


『そっ……そ――そんなっ! そんなこといぎなり言われでもぉおっ……。いぎなりみんなに、しなれでぇ……わだじだっでどうずればいいがわがらないわよお゛お゛っ!』


高田のラノベ主人公並みに熱い説教を受けてアナウンスの若い女性が声を押し殺して泣き始めた!


「甘ったれたヤツめ! 女だからって泣いて許されるとでも思っているのか!? 今死んだ人間達の怨念はお前の呪われた肉体と魂に永遠につきまとうからな! シャワーを浴びている時も、寝ている間もずーっとだ! 死んで償おうとしても無駄だ! 地獄でしばき倒されるから覚悟しておけ!! 未来永劫輪廻転生――この世にもあの世にもお前が許される場所はどこにも無いッ!」


『うぐっ……ひぐっ……ごべんな゛ざい……ごめんなざぁあ゛あ゛あ゛あいいい……ごめんなざいごめんなざいごめんなざいごめんなざい゛い゛い゛い゛…………うっ……う゛う゛う゛う゛……!!」


「見ろ! お前のやったことを! 目をそらすな! このグチャグチャに混ぜ合わさった死体の残骸を見ろ! 監視カメラに近づけてやる! ほら! ホォォォオオオラ!」


「高田はん。そのくらいにしときや。もしかしたら胸とか尻が大きいかもしれんし。そいつがいなくなったら大会が中止になるかもしれんで!」


「たしかにそうだ! 大会中止は俺が一番困るし、何より飽きた! このくらいで許してやる!」





「ククク……お主も生き残るとは流石でござるな……」


話しかけるタイミングを逃し続けていた浪人が、ついに高田に話しかけた!


「決勝はお前との戦いか!」


「左様! 拙者の名は純文学の文文文文(ふみあやもんぶん)。略して純文ぶ文でござる!」


(恐ろしい男だ……自己紹介で噛むとは……)


正しくは純文の文である!




『『クククク……流石の執筆力だな。高田浩二!』』




そしてアナウンスから聞こえてくる仇敵の声!

音量調整を間違えているのか、何故か今までより無駄に大音量だった!!


「その伊勢海町全体に響く程の巨大な声は――黒鼠!」


『『アナウンスのバイトの若い女が失禁して茫然自失状態になったので交代したのだ! お前達の為に最上階の110階に最高の決勝舞台を用意した! 勝った者には勝利を与える! エレベーターで上がって来るが良い! 高田浩二!』』


「やかましいッ! 大音量で言わなくてもそのくらいのことは理解できるッ! 必ず行ってやる! そして……お前を必ず倒す!」


「決戦の地にいざゆかん――でござるな!」


「ここまで来たら! ワイも付いていくで!」









こうして――非常階段を駆け上る浪人、高田、善光路の三人!

彼等の運命や如何に!?

皇帝を打ち倒すのはいつも力なき奴隷!

その圧倒的執筆力で、四天王を打ち倒せ高田浩二!

次回「もうどうにもならないので異世界転移! なろうファイターになろうッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!」


第六部最終回 革命!

なろうファイト! レディーGO!

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