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第二十四部最終回 女達!

「オポピャアアアアアアアアアアアアアア!!」


地下室にとどろく叫び声!

声の主は高田浩二!

この物語の主人公である!


「高田さん、最近調子が良くないみたいですね! いつも執筆を始めてから中盤あたりでだれている気がします!」


的確に高田を指導するテンプレのヤス!


「中盤は一番やる気が萎える所だから仕方ないさ。この作品も作者にとって何のプラスにもならない上に異世界好きの友人にジョークを理解してもらえずに現実で警察を呼ばれたからって一年近く放置していたしね」


「クソ……ハーレム物の執筆が滞って冷や汗が出る……喉も渇いたな!」


高田の呟きに気づいて、懐からいつもの青酸カリを取り出す二藤新人!


「何か飲むかい高田? 冷蔵庫には、色んなメーカーの飲み物が入っているよ。サントリーにアサヒにサッポロにキリンにライオンにゾウにカバにバカだね。あ、バカは高田だったごめん」


(ライオンは飲み物のメーカーじゃない気がするが……!)


そう心の中でツッコミを入れてから、執筆がめんどくさくなったのか冷凍庫にノートパソコンをしまって冷蔵庫からカバを取り出す高田浩二!


(クソ……リフレッシュをしても駄目だ……ハーレムものが受けるというのはよくわかるのに……上手に書くことができないッ!)


「ヤス! 教えてくれ! ハーレム描写を上手く書くにはどうすればいいんだ!」


「実際に作ってみましょう!」


「ああ、そうだな!」


こうして! 高田はハーレムを作るためにメンバーを集めることになったのである!


「まず手始めに二藤! 俺のハーレムメンバーになってくれ!」


「合点承知さ……僕に任せてよ」


「高田さん! 私も志願します!」


「何を言っているんだヤス! お前の本来の性別は男だろ! 無理をするんじゃあ無いッ!」


「……! わかりました! 今回はサポートに回らせてもらいます!」


ヤスのセクシャリティに対して無駄な気遣いをする高田! じゃあ二藤がハーレムに入ったのは一体何なのだ!?


「代わりと言っちゃあなんだが、ハーレムメンバーを募集するためにハローワークに求人を出す! 事務処理を頼んだぞヤス!」


「任せてください! 助成金も出ますからね!!」







そこから30秒の月日が流れ、ハーレムメンバー面接の手はずが整った!






「よし……志望者が集まったな! それじゃあハーレムメンバーの面接を始める! 一人目のヤツ、入ってこいッ!」


高田のかけ声と同時に面接室のドアがノックで粉砕される!


「………………」


「随分とデカいな! まず年齢と経歴を教えてくれ!」


「……俺の名はハヤト。コードナンバーは【8810】。これは偽名だ。年齢は34歳。細かい経歴は、守秘義務で言うことができないがとある特殊部隊に所属していた。某過激派組織のトップをこの手で殺害したこともある。これがその時の戦利品だ」


そう言ってチープな腕時計を机の上に放り投げるハヤト!


(これは……チープカシオのF91Wかッ!)


「面接者として質問させて貰うが、何故覆面を被って偽名を使っているんだ!?」


「それは俺がプロのスナイパーだからだ。スナイパーの身元が分かればプライベートでも命の保証は無いからな」


「なるほど……身元が分かれば隙を見て殺せる――と。次にハーレムメンバーの一ヒロインとして事故アピールをしてみてくれ!」


「俺なら頭を撫でられた途端に、照れ隠しで相手の首をへし折ることができる。その他にも、難聴の主人公がいた時などはハンドサインで思いを伝えることが可能だ。そして、俺のこの魅力的な拳を顔面に喰らえば、どんな男も赤面すること間違い無しだ。何なら、今お前にやってやろうか?」


「床が汚れるからまた今度頼む! もしもハーレムメンバーに入ったら何がやりたい!?」


「俺の部隊をたった一人で壊滅させた裏切り者――コードナンバー【56】に対する復讐がしたい。チームメンバーを一人残らず殺してしまったあの男を斃すまで、俺は絶対に死なない」


「よくわかった。次!」

――――――――――――――――――――――――――――――――




「私は科学の徒。羅月助平(らつきすけべい)と言う者だ。趣味は宇宙人の研究だ……」


「科学……研究者だと……!」


「どうかしたかね?」


「いや、何でも無い! 貴様の特技は何だッ!? 男のくせに妙に細い所を見るに、戦闘タイプではないな?」


「ああ、私は宇宙の分野以外にも様々な科学に精通している。物理学や統計学に基づいて、意図的に“ラッキースケベ”を起こすことができるのだ……」


「それは凄いな! 試しにやってみてくれ!」


「いいだろう……机の上にある電卓を貸してくれ……」


高田から受け取った電卓を、頭の上に乗せて天に祈りつつ演算を始める羅月助平!


「現在…………演算中だ……。よし、立ち上がってみてくれ」


言われたままに立ち上がる高田!

しかし気圧などの条件の元、立ち上がり方を忘れてしまった高田は、足を滑らせ吸い込まれるように部屋の扉に近づいていく!

そこに偶然入ってきたのはヤスと二藤!


「高田さん! 助成金目的で、求人出しっ放しにしておきました!」


「高田。面接中に申し訳ないけど履歴書を作るために必要なA4用紙を作るために必要な木材を作るために必要なユーカリの木の苗を植えるために必要な新聞紙をコンビニで買ってきたよ」


「流石二藤だ! 手際がいいぜッ!!!! できたら後で面接者の自宅に送りつけるぞ!」


「演算終了……見えた」


そうつぶやいてから圧倒的演算力で高田に足払いをする羅月助平!

バランスを崩して倒れ込む高田!

巻き込まれた二藤の股間に、高田の頭部が直撃!!

轟く破裂音!


「あいッてててッ! ごめん二藤ッ! 怪我は無いッ!?」


「んぐあぁぇぇぇぇえええええええええええええええええええええああぁぁぁぁ……っぁっぁぁ!!」


口から泡を吹く二藤!!

青ざめて、既に何もないはずの股間をついつい押さえてしまうヤス!


「なッ!? 二藤! どうしたんだ二藤! おい羅月! これのどこがスケベなんだッ!!」


「しまったな……。私としたことが……男性同士のラッキースケベであるということをすっかり忘れていた……局部の体積を計算するのを忘れていた……」


「心配するなッ! 俺にだって演算はできるッ! こうなったらマイナスとマイナスをかければプラスになる理論だッ! 今助けてやるぞ二藤!」


今度は高田の蹴りが二藤の股間に炸裂!

再び劈く破裂音と共に、高田の足に何か柔らかい物がひきちぎれたような感触が伝わる!


「あ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――」


痛みを超越してついに、“無”になる二藤!


「ひっ……!」


そして見ているだけで痛みが伝播したのか、ついにヤスが股間を押さえたまま座り込む!


「これで大丈夫だ! おい二藤! しっかりしろ! し――死んでいる!!! に…………二藤! 二藤ウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥ!!」


二藤の原因不明の死に、高田浩二の慟哭が虚しく地下室に鳴り響いた!!


「おい! 二藤が少しだけ完全に死んでしまったぞ! これのどこがラッキースケベなんだッ!?」


「心配は要らない……。アフターケアは完璧だ……。これで彼の葬式に登場した彼の姉が君に一目ぼれしてもう一度会いたいという理由で定期的に君の知人に対する殺人事件を起こすことになる。ラッキースケベは伝播する。私は何から何まで計算づくなのだ……」


「サイコパスかッ!!!! まあ良い! 面白いから採用だ!」


「なんということでしょう! 高田さんに就職したせいで羅月さんの経歴が汚れてしまいました!」


「やかましいッ! 次ッ!!!!」


――――――――――――――――――――――――――――――――


次に登場したのは左前和服の美女である!

だが、和服の着こなしの作法なんて作者はよくわからないので細かい描写はカットさせてもらう!


「私の名前は八木持矢木子やきもちやきこですわ! 高田様! はあれむを作るなどやめてくださいまし!」


「なんだ君は! 初登場しておいて何を言っているんだッ!?」


「実は第一部の最終回から、あなた様のことをお慕いしてずーっと後ろから見つめていましたの!」


今まで作者も知らなかった衝撃の事実に、高田が驚愕する!!


「要するに高田様――私、あなたを愛しているのでござあます! だからこそはあれむなど作らないでほしいのです!」


「ならば俺はハーレムという概念を愛するッ! 何せ発祥はイスラムだからな! やはり異世界転生の起源はアラーにあるのだ!」


「ならばいたし方ありませんことね! 私がはあれむに入って、正妻の地位を手に入れて見せますわ! そして高田様を監視いたします! 他の悪い虫を、近づけませんことよ!」


「やめろッ! 我がハーレムメンバーの企業理念に反することだッ!」


「企業理念なんてまやかしですわ! 個人の想いの方が絶対に強いのでござあます!」


「やかましいぞ! そもそも俺のハーレムメンバーにお前のようなメインヒロインみたいな女はいらねえんだよッ!」





???????????????????????????


「そ……そんなご無体な!」


「冷静に考えてみろッ! これは面接だッ! そもそも職場で恋愛なんて認められるかッってんだ! お前は女だろッ!? じゃあお前、恋愛して結婚してハーレムメンバーに入った後産休に入られたらどうするんだ! 雇っているこちらとしては困るんだよッ!! その間代理の非正規のハーレムメンバーを雇わなきゃならねえだろがッ!! それにお前顔写真誤魔化してたろ! ブ女かと思って選考通したら美女じゃねえか! 美女が職場に入ると、人間関係がめんどくさいんだよッ!!!!」


「それは女性差別ですわ! そもそも面接の際に顔写真を貼ること自体が前時代的すぎますわよ!」


「しょうがねえだろ! 未だにどこもかしこも顔写真使ってるんだから!! ここは日本なんだよッ!! そもそも今の時代男主人公のハーレムメンバーに男が入るのだって結構大変なんだッ! 俺はそういう不平等を是正したくてこの面接を始めたんだ! お前のような女などいらんッ!」


二行で完成されし矛盾を八木持矢木子の体ごと面接室から放り投げる高田浩二!


「あーれ~」


「全く! 嫁ぐ前に労働条件くらい確認しておけッ!! 次ッ!」





――――――――――――――――――――――――――――――――



「うう…………胸が張り裂けそうですわ……。高田様……私こんなにお慕いしているというのに…………なんとしてもはあれむをやめていただかないと……」










「駄目じゃあないカ……ボクの邪魔をするなんテ…………」







――――――――――――――――――――――――――――――――


――――――――――――――――――――――――――――――――



高田の声でノックが鳴り響く!


「入っていいカナ?」


「ああ、お入りくださいッ!」


「やぁ。これはどうモ……」


ノックということで金属バットを持って入ってきたのはなんと男のピエロ!

――なので、単純なイメージに基づきおそらく殺人鬼に違いないと推測できる可能性がないこともないのかもしれない!


「ボクの名前は音魔野平おとまのへい。ノペって呼んでくれヨ」


「よしノぺ! お前の経歴を話してみろ!」


「ボクは生まれつき他人に対する共感が欠けているらしくてネ。ま、この性格は父の遺伝みたいなんだガ。ボクの父はねえ……異世界でハーレムを作った男だったんダ。だけどネ、結局、異世界に残ったままずーっと別の女達と生活していタ」


「なるほど、立派な経営者だな!」


「ボクは父に力の使い方を教わっタ。父と同じようにむかつくヤツは誰一人許さずに殺しタサ。だけどネ。他の女を選んで父はいなくナッタ。母は泣いていたヨ。他人に共感できないボクが、人の為に人を殺したいと思ったのはあれが最初で最後だった」


「それで、結局お前はどうしたんだッ!?」


「その後、ボクの父をボクは殺したノサ。こんな風にナ」


そう言ってノペが取り出したのはなんと――さっき登場した八木持矢木子の頭部!

おそらく、首を切断されているということは脳に血が回らなくなっているということなので、意識を失っている可能性が高い!


「さっきねエ。君の“ハーレム”を憤慨していたから……殺しちゃったヨ……。邪魔者は、いらなイ」


突然の事態にあわてて立ち上がる高田!


「おい――床が汚れるからやめてくれ!!」


「心配はいらないヨ。心臓を強く押して、体全体の血流を止めてから首を斬ったんダ。こうすれば、切断面から流れる血はとても少なイ。これはボクなりの殺しのマナーサ。他人の家の玄関に入る前に、上着を脱いで埃を落とすのと同じレベルの気遣いだと思ってくレ……」


(なるほど……冷静に考えると先ほどのノックといい。面接のマナーをきっちり守っているのはこいつくらいなものだ……。これは見込みがあるな! 現代の面接において中身の無いマナーは何にも勝る!)


「しかしだ! リクルートスーツを着ていないのはいただけないな! 君の経歴もいまいちだ! たかだか連続殺人くらいで偉そうな面をするんじゃあない! ここは伊勢海町! 殺人くらい誰でもやっているッ!! 俺も数分前に殺した! だからバイトリーダーの経験を捏造しまくってくるくらいのことはしてこい!」


そう! なろうファイターは愚か書籍化しているラノベ作者ですら今時犯罪は当たり前!

しかし、そのおかげで読者は面白い作品が読めるのである!


余談だが、なろう作者の平均的な見た目なら町を歩くだけで警察が寄ってくる!

事実、この作品の作者は刃物を持って夜中歩き回っていただけで職質をされたのだから間違いないッ!


「アピールか……ボクはこの町で唯一、たった一人の暗殺者ダ。たった一人だが、おそらく職業単位で見ても自分より人を殺すような存在は無いだろウ……」


「じゃあ貴様の殺傷能力をアピールしてみせろ! もし俺を殺すことができたらその後雇ってやる!」


かくして、どう転んでも不採用になる戦いが始まる!


「いいだロウ……ボクが殺そうと思った瞬間に君は死んでいル。それがボクが父から受け継いだ能力サ。ホラ――死ん…………………………!!」


気がつけば地下室に入る扉の前に立っていたノペ!


「……………………………………………………」


再び普通に部屋をノックしてから入室する!


「俺の名は高田浩二だ! よろしく頼む!」


何事も無かったように鎮座する高田! 圧倒的強キャラ感!


「……なるほどネ。キミはとても強いみたいダ。いいだろう、キミのハーレムに入ってあげヨウ。あのときの母の感情を僕が知るまでの間だけどネ」


というわけで三人目の採用!

退出しようとするノペに声をかける高田!


「ところで、お前、さっき“自分より人を殺している職業なんて無い”と断言をしたよな!」


「ああ、そうだけド」


「残念ながら暗殺者以上に人を殺している職業が一つだけあるぞ!」


「ほほウ? それは一体なんだイ?」
















「――――――――産婦人科だ!」


「………………面白いネ。そして笑えナイ。――気に入ったヨ、高田浩二クン」







不適な笑みを浮かべながら、机の上で手を組み、ノペを見つめることなく送り出す高田浩二!

部屋を出て行くノペ!

スローモーションの3カメラを使った圧倒的緊迫感!


まるで映画のワンシーン!!



――――――――――――――――――――――――――――――――





「よし、次で面接は最後だな!」


「途中ですが高田さん! 今のところ誰と誰と誰を採用するんです? 内定出しておいてぎりぎりで取り消してみるのも面白くないですか?」


「いやもうさっぱりわからん! そもそも10分15分。長くても一時間くらいの面接で人の成りがわかるわけがない! なんだこの面接とか言う無駄な選考方法は!? 最初に考えたヤツは頭がおかしいッ!」


「それでも募集してしまっているわけですし! ハロワから補助金も貰っているので、形式だけでも面接はしておかないと駄目ですね!」


「チッ! しょうがねえな!」


そして最後の志望者!

部屋の真ん中で亀甲縛りで目隠しとギャグボールをつけて椅子に座らされている身動き取れない状態の女の名前は悪嬢令子! 何故か読者の趣味でスク水まで着せられている!!

そう! 令子はテロリストとして逮捕され(※二十二部最終回参照)出所後さらに追い詰められ、求人が見つからずに売春をするか高田の元で働くかの地獄の二択を迫られていたのである!

そして、仕方なしにこっちにきたらいきなり二藤に拘束されて放置!

今に至る!

いつも通り絶体絶命!


「んぐあぁんがぁんぐぐぐぐぅぅ……」


「ああ! 俺の名は高田浩二!」


「もがぁんがぁあんぐぐ……」


「よし! ならお前も今日から高田浩二だ!」


なぜか高田を見て涙目になって暴れる令子!

そして、令子を見ていようがいなかろうが常に暴れている高田!


「おい汚いぞ! 面接中に唾液を垂らすんじゃない! 床と、貸し出したスク水が汚れるだろうが!」


仕方なしにギャグボールを外す高田! えづく令子!


「うっ……うう……本当にもう嫌……もう嫌ぁ…………」


「誰だって面接は嫌なもんだ! さて、質問を始めるぞ! 悪嬢令子と言ったな! お前、男がハーレムを集めることについてどう思っている!?」


「う……ど、どう思っているって――そうね。…………男らしくていいんじゃないかしら」


「――ここが面接の場じゃなかったらどう答える!? 正直に言え!」


「う……ちょっと女としては正直嫌よね。いくら好きな相手が居たとしても他に伴侶が居るっていうのはあんまり納得できないというか……。カリスマがあって天上人みたいな人でも私個人だったら正直認められないかも……。まあ、あくまでこれは現代社会で育った一人の女の主観的な意見なんだけれど……」


「なるほど! 客観的に、別の立場で見たらどう思う!」


「う、うーん……感情を抜きにすれば利には適っているとも言えるわ。生物的な観点で見たら、男は何人死んでしまっても一人いればいくらでも子どもは作れるようになっているわけだから……」


「つまり、多数の男が一人の女に群がっているのは生物としては不自然ということだな!?」


「う……うぐっ……」


過去異世界でハーレムを作っており痛いところをつかれたのか、黙り込んで縮こまる令子!


「ま、まあ私だって女なわけだし……イケメンに囲まれて女として結婚を迫られるっていうのは、悪い気はしないっていうか……仕方ないって言うか……」


「お前男のハーレムは駄目なくせに女のハーレムはいいのかよ! 都合いいなオイ!」


「し、仕方ないじゃ無い! ハーレムにも状況って物があるわ! 不幸になっていて助けたら惚れられたり依存されたりされたらあなたどうするのよ! 可哀想でばっさり見捨てられないわよ!」


「なるほどなるほど……男を依存させて駄目にする女っと……」


「変なこと書かないで頂戴!!」


「よし、質問を変えるぞ! 現代社会で一夫多妻制が導入されることがあるか否か――お前の意見を聞かせてくれ!」


「……難しい話だと思うわ。個人の感情的な問題だってあるし、社会的な視野で見れば一夫多妻制っていうものが存在してしまうと、あぶれて子孫を残せない男性だって出てくるわ。そうなるとほとんどの男性が割を食うことになるのよね……」


「しかし、生まれてくる子どものことを考えた場合はどうだ!? 裕福な家庭で生まれる子どもが増えるのは良いことなんじゃ無いか!? 金は幸福度を測る際に多少の指標にはなりうるからな!」


「まあそうね。現代社会における婚姻制度が果たして誰の為にあるべきなのかを考え直さない限り、ハーレムをはじめとする一夫多妻制に対する討論に結論はつかないのかもしれないわ……」


「なるほどな……よし。勉強になったぞ! 令子、お前はハーレム不採用だ!」


突然放たれた高田の通知に、肩を落とす令子!


「――そう。なんとなくわかっていたわ。不採用になるのは、もう慣れっこだもの……」


高田が拘束を解除して、令子を立たせる!


「ほら、これを持って行け!」


そこで……高田が渡したのはなんと封筒に入った金一封!


「えっ……何よこれ!?」


「お前の一個人としての“考える姿勢”は立派だ。俺のハーレムメンバーとして金魚の糞になるのはあまりにももったいない逸材だ! 何より、お前の周りには既にハーレムがいるだろう! その金できっちり養ってやれ!」


震える手で封筒を受け取る令子!


「こ……浩二……。そうね、ハーレムというより仲間というか……確かに私にはフランソワとアザトースがいてくれるから……。私は本当の意味でハーレムメンバーにはなれないわよね……」






「そうですよ。僕らの事を忘れないでください!」


そこに入ってくる男子生徒X!


「どんなときでも、俺達は運命共同体だぜ!」


男子生徒Xに同調するゴロー!


「あれ? え? ……あれ? あの、おかしくないかしら? どう見てもメンバーが増えている気がするのだけど……。まあ、でも今は気にしないことにするわ。食費も増えちゃったけど、このお金で当分、何とかなりそう……本当によかった。……浩二、あなた狂っているように見えるけど、結構いいところもあるのね……」


「フッ……よせやい!」


長い面接がついに終わった!!


「高田さんにしては、珍しく平和な終わり方ですね!」


「ああ……たまには、いいことをしてみるもんだな!」









かくして! 受け取ったこども銀行券十万円分の入った封筒を抱えて泣きながら喜ぶ令子を、高田は温かい目で見送るのであった!









めでたしめでたし!

女達(詐欺)


気まぐれに40分で完成させた力作です。


ちなみに、ハーレムのメンバー同士“だけ”で戦ったら、令子側の方が圧倒的に強いです。

手も足も出ません。


余談ですが主人公の好きな曲↓

ttps://www.youtube.com/watch?v=plWK_oaVJ8M

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