第二十一部最終回 感想!
※ギャグ回です。
余談ですが今作は様々な方面に配慮をしており、テロで死ぬのはテロを企てる側の人間のみとなっています。
ここは伊勢海町のとある地下室!
そこに入ってきたのは――
「やあ高田。君から借りてたゲームを売り払った帰りに、暇だったんで遊びに来たよ」
主人公の親友二藤新人!
「あ、そうだ。冷蔵庫にプリンをしまっておかないとね」
そして二藤新人!
「うーん。まさか誰も居ないなんて……」
さらに二藤新人!
要するに、ここにいるのは二藤新人!
「おかしいな。高田達は何処に行ってしまったんだろう?」
そう呟いて、ソファーの下に変異型クロイツフェルト・ヤコブ病感染者の血液を塗布した剃刀かみそりを仕込もうとする二藤新人!
そこでソファーの下にある謎の異物に気づく!
「あれ、何だ? なんでソファーの下に高田のミイラが入っているんだろう……」
「………………ヵヵヵヵヵヵ…………」
そこにいたのは乾燥してミイラとなった高田浩二!
呆れながらも、二藤は異物を超えて遺物となりつつある高田を引っ張り出す!
「に……とう………み……みずを………………」
「はいはい。しょうがないなあ、もう」
そう言ってポケットからミミズ(モンゴリアンデスワーム)を取り出して高田に食べさせる二藤!
水分を得て元通りになる高田!
「それで高田、一体何があったのさ?」
「………………実は……俺の作品――何万字も書いているのに感想らしい感想がつかなくてな! ノ〇ルアップで投稿している方も狂気じみたスタンプが大量に貼られ続けていて読者とろくに意思疎通が取れん! いや、もちろん嬉しいがな!?」
「ああ、そこはひよるんだね」
「とにかく! 俺は読者の声が聞こえぬ怒りの余り、炎天下の中、伊勢海町をフルマラソンしていたら体中の水分が無くなってしまってな。なんとか地下室にはたどり着けたんだが、ソファーの下に着いたところで力尽きてしまったんだ!」
「いや……高田の作品に感想がつかないなんて地球が回っているのと同じくらい自然な自然の摂理だよ…………そもそも感想がつかないからって、高田がフルマラソン完走して乾燥する必要ないよね」
「クソッ! 言われてみれば確かにそうだッ! しかし俺も一応分類としては人間なんだッ! 宣伝なり感想なりしてくれないと筆が進まんッ!!」
高田が先程まで潜っていたソファーを蹴っ飛ばすと、その下にいたのは金髪騎士鎧美女テンプレのヤス!
「――お困りのようですね、高田さん!」
「ああ、困っている! ヤス! どうすれば俺の作品に多くの読者や感想がつくようになるのか教えてくれ!」
「そうですね……とにかく最初はT〇itterを使いましょう!」
そう! T〇itterを使えばどんなカス作品でも誰かしら見てくれるのである!
(しかし……どいつもこいつも自作の宣伝しかしていないが……こんなことをやって何か意味があるのかッ!?)
高田は心配しているが心配はいらない!
“お互いが自分の作品を押しつけがましく紹介しあうだけで、他人の作品はRTするだけで全く読まない奴らしかいない”――なんて事は無いので安心して欲しい!
何のプラスにもならないということはないので安心して欲しい!
安心して欲しい!
安心して欲しい!
安心して欲しい!
安心して欲しい!
安心して欲しい!
(まあ! 俺自身も執筆に忙しくて他人の作品など読む時間は無いんだがな!!)
「なるほど、要はSNSで発信力のある人間をフォローすればいいわけか!」
「そうです! 力強い発言をしている人でもいいですよ! それと外部掲示板でインパクトのある書き込みをして自薦してみるのも良いかもしれません!」
「なるほど……掲示板でインパクトを――か!」
ヤスの言葉を忘れないように床にメモする高田!
「後はそうだね……。宣伝用に作品のプロモーションビデオでも作ってみたらどうだい? ペイントの開き方もわからない高田には無理そうだけれど」
「なるほどな! まあ俺には無理そうだが! とにかく、宣伝のためにやれるだけやってみる!」
そう言ってから冷蔵庫からプリンを掠め取って外に出ていく高田!
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一方こちらは高田の地下室の、隣にある地下室!
そこにいたのはお馴染み! 準レギュラーと化しつつあるイスラム国人達!
「あ、もしもしぃ? オレだけどぉ。ああ……ごめん。明日の飲み会ドタキャンするわ。悪ぃ~。オレ明日、テロなんだわ~」
そう大学の友人に伝えてから電話を切るのは明日のテロ首謀者、馬具田出井!
「同志。そろそろシャフィームがパソコンごと犯行声明のPVを持ってくる頃です」
「よぉし、完成には何とか間に合ったかぁ! 編集を頑張った甲斐があった! あの出来なら、明日の朝刊には確実に載ったな俺ら!」
喜ぶ馬具田出井と部下!
「ええ、ぎりぎり滑り込みセーフです。しかし、予告通りテロってこそのテロリストですからね。大事なのはこれからです」
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「ふー! ようやく到着したーネ! これを届ければ皆、ニコニコ笑顔ヨー! 覆面で顔わからないけどきっとソーヨ!」
デスクトップパソコンを周辺機器ごと慎重に持ち運ぶイスラム系外国人留学生シャフィーム!
「おい、気をつけろッ!」
そう言ってからシャフィームに激突する高田浩二!
高田のノートパソコンの液晶が割れ、シャフィームのデスクトップパソコンと偶然入れ替わってしまった!
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地下に戻ってから、器物破損で怒られるシャフィーム!
「全く……我々は仕事でテロをやっているのですよ! なのにパソコンを落として壊すだなんて、同志シャフィーム……こんなことを続けていると職を失いますよ! あなたはクビになりたいんですか!?」
「アララー……返す言葉もないデース……」
「おぉいおい、首を切るのは人質だけにしておけよ! シャフィーム、気にするなって。失敗してもやり直せばいいのさ。自爆テロみたいに!」
部下を諫める理想の上司、馬具田出井!
「全く……次はありませんよ同志シャフィーム……ごめんなさいで済んだら、テロはいらないんですからね」
「うう……すみませんデース…………」
「お、電話だ。もしもしぃ? 俺だけどぉ―――――――――――何ィ!! 俺たちのテロのPVが既に世界中にながされてるだぁとぁ!?」
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「ただいま帰ったぞ!」
「た……高田……君は一体を何をしたのさ!」
「見てください高田さん! 今、ニュースのワイドショーがとんでもないことになっていますよ!」
『続報が入りましたので改めて最初からお伝えいたします。この度、先日のテロ事件首謀者が、この国、ひいてはこの世界全体に対して大規模なテロの予告を行った模様です。これがその声明の映像です。黒装束の男が声明文を公開しているシーンのようです』
《我々は、我らが神の御名において、我々の信仰を知らしめるべくこの声明を行う物である。これは我らと我らの神が示した総意である。
もしもこの声明を理解せず、破るようなことがあれば、この国の民に恐ろしい量の血の雨が降り続けることであろう》
『ふーむ。私は有識者ですが、この無駄に手の込んだ編集は、間違いなくイスラムの過激派によるものでしょうな。問題はその内容ですね』
《愚かな家畜たちよ。見るが良い。これが、我々の意志である。我々に対するやり取りは全てこの場所を通じて行うことだ。さもなくば先日のように多くの家畜が屠殺されることであろう→ttp://ncode.syosetu.com/n4331ef/》
「お! 俺のなろう作品じゃないか!」
「“なろう作品じゃないか”じゃないよ!」
「じゃあ、“なろう作品じゃないかじゃない”じゃないかッ!!!!!!」
「落ち着いてください! ええと、高田さんは一体何をしたらこんなことになったんです?」
「偶然入れ替わったパソコンの中に、丁度良いプロモーションビデオが入っていたからな! 俺の自信作のURLを入力して動画サイトに投稿しただけだッ!!」
「な……なんてことを……」
かくして高田の作品が、テロの犯行声明と勘違いされて全世界に放送ッ!!
『新しい情報が入りました。現在、アメリカのオックスフォード大学の専門家達の手により、この怪文書を一部解読することに成功した模様です。これが、その文章になります。この後は、緊急特番としてこの文章の真意を究明していきたいと思います』
「よし二藤! 何はともあれ、俺の異世界転生作品が世に知れ渡ったぞ!」
「多分、これが最初で最後だろうね」
『なるほど、どうやら高校生である主人公が突然命を落とし、異世界で美少女に囲まれながら無双するという内容のようです……。識者さん。これは一体どのような解釈をすれば良いのでしょうか?』
『私個人としては、この物語に、テロリストが何らかのメッセージを込めた可能性はかなり高いのではないかと思われます。実際、イスラム教における天国の概念の中に“死後72人の処女の天使に囲まれる”というものがあります。この概念に対して、“テロを行う過激派の原動力になっている”という専門家の痛烈な批判もあるくらいです。“異世界=天国”であると考察すると、そこで美女に囲まれるというのは間違いなくこのイスラム過激派の発想と同義であると考えて差し支えない』
『なるほど。過去も今も、人の根幹にある神の教えは滅多に揺らがないという主張であると取れるんですね』
『ええ、そうです。しかし、腑に落ちない点があります。イスラム教は、“神の偶像化”は禁止されていたはずなんですよ。なのにこの作品は可愛らしい女神が主人公に追従してきている。こんなことは前代未聞だ』
「そういえば高田さん書いてましたね。可愛らしい女神のキャラクター!」
「ああ! 丁度いいモデルがいたんでな! モデルは俺が殺してしまった〔※二十部最終回参照〕が!」
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一方焦っているのはイスラム国人達!
高田の異世界小説風怪文書のせいで大迷惑!!
「おいやべぇよ。この文章、教義に反しているから本部からの怒りの電話が止まらねえぞ! これ人質じゃなくてオレ達全員の首の方がやっべっぞ!」
「一応、人数分。オレンジの服は足りてるから大丈夫ネー! 自分最後まで首切り役やりマース! 早い者勝ちデース!」
「逃げる気満々じゃないですか同志シャフィーム!」
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『あ、続報が入りました! どうやらこの女神、主人公の殴打によって死に至る展開となっているようです!』
「高田さ。何も、そこまで再現しなくてもいいんじゃないかな?」
「チキンラーメンの恨みは深いんだよ!」
『女神が殺される――なるほど、それならしっくりきますね。この女神は他宗教を暗喩しているんだ! ははぁ、実に考えられた文章ですよこれは! “女神”を殺すことでキリスト教の神と聖母であるマリアの両方を同時に殺しているわけです! ……しかし、イスラム教の神とキリスト教の神は本来同じ存在であるはずです――なるほど。これは、キリスト教を憎む原理主義的では無い“過激派特有の思想”を完璧に満たしていると言える。過激派は総じて女性蔑視が酷いので、“他宗教の女神”を殺すことでキリスト教の全てを否定したということか! これは数え役満でしょうね!』
『なるほど。識者様の結論として、ヒロインの一人を殴殺するのは過激であるという可能性があるということですね』
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「なんかさぁ。俺昇級決まったわ。他宗教の決別として完璧な文章だってさぁ! やったぜオイ! 今日は鍋パだ鍋パ!」
「シャフィーム。後で買い出しに行きなさい!」
「任せてーネ! 豚肉一杯買って来まース!」
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『識者様。この次のシーンはどうでしょうか。主人公高校生が、顔立ちの整った騎士相手に無双をしているようですが』
『少年が無双する――という事に関しても、貧困等が取り巻いている環境で育った少年がテロリストに生長しのし上がるという、“諸外国におけるテロリストの悲しい現況”を暗喩しているのかも知れません。イケメン騎士というのは“権力者や高額納税者”達を暗喩しているのでしょう。彼ら権力者達にとって、社会的地位の低い人間によるテロや犯罪などはまさに脅威ですからね』
『なるほど、つまりテロを無双と例えているのですね』
「物は言い様だね」
「まあ、貧民のテロも、一種の成り上がり系みたいな物なのかもですね!」
『というわけで、識者である私の考察により総括すると、これは間違いなくテロリストが書いた物であると言えるでしょう。間違いなくこれは彼等の過激な教義の押しつけです!』
『なるほど、この“異世界転生”は彼等の間違った信仰のそのものである。と言うことですね……ハハァ、流石識者さんです』
「何が識者だ! 専門家の癖に無根拠に公共の電波使って適当言いやがって! 馬鹿なんじゃ無いのか?」
「本当に馬鹿なのはね、こんなのに振り回される大衆だよ高田」
「まぁ、教え然り人間然り、大切なのは何を――誰を信じるかですよ高田さん!」
『ただいま、このサイトの運営会社であるヒ十プロジェクトに報道陣がつめかけている状態です。現場の状況を教えてください――現場のアナウンサーさん! 聞こえていますか?』
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『はい! 今、こちらでヒ十プロジェクト取締役の“比良山幸氏”が現れました! え~比良山さん! 作品投稿者を特定することは警察にも不可能だったということですが、ヒ十プロジェクトの代表として何か一言! 何か一言でいいんで! 今回の事件についてお願いします!』
『ノーコメントだ! 今回は特別処置として、一般の読者からの感想は禁止とさせていただく! 作品内容も非公開とさせていただく。しかし作品自体は削除しない! これは警察の指示に基づくわが社の代表取締役の判断だ! 君達、離れたまえ!』
『おい! 他に何か言うことねえのかよ! もっとテレビウケするような面白い発言しろやゴラァ! お前の中学の頃の卒アルとか、家族の名前とか全部晒しちゃうぞ!』
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『え~映像が乱れました。現在、各国首脳が会談を行い。この作品の感想欄に国家元首としての意思表明を行う予定です。この作品の作者であるテロリストの首謀者はT〇itterなどで、“各国首脳のアカウントや日本の右翼団体”をフォローしていた模様です』
『ははぁ。なるほど、明確な宣戦布告ですね。敵対する相手に対して事前準備を怠らなかった。これは間違いなくプロのテロリストの手口だ』
「“各国首脳のアカウント”や“日本の右翼団体”って……SNSでフォローする相手がおかしいよ高田!」
「俺はヤスに言われた通り、“発信力のある人間”と“力強い発言”をしているヤツをフォローしただけだッ! 特に日の丸アイコンはなんか強そうだしな!!」
「力強さの意味が違いますよ高田さん!」
『尚、今回のテロリストの首謀者は外部掲示板サイト“8ちゃんねる”において多数の掲示板に今回の犯行声明を発表していたとのことです』
『なるほど。映像が公共の電波で規制されるであろうことを予期して、アングラ―な部分でも犯行声明をしてくるとは……まさに過激派のやり方ですねぇ。一度ネットに投稿された映像は国の法律でも完全に消すことは難しい……恐るべきテロリストのやり口です』
「聞かないほうがいい気もするけど、高田さ…………この作品、8ちゃんねるのどこの板に宣伝してきたの?」
「哲学板とメンタルヘルス板とゲハ板と市況2と生き物苦手板と801板と既婚女性板と嫌儲と昆虫節足動物板にだけ貼ってきたッ!」
「全部危ない板です! 高田さん! せめて宣伝するなら文芸板にしてください!!」
「高田!! そのチョイスは本ッッッッッッッ当にまずいよ!」
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「この掲示板の件はマジやべぇな………………。明日のテロ中止になったわ……いったん撤退しろってさぁ……説教フルコースだわこれぇ」
「やばすぎますね…………」
「…………やばいデース」
急なテロ中止によりテロリストは撤退!
そのドサクサに紛れ人質が脱走! 結局全員、無事だった!
ネット掲示板の圧力、恐るべし!
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そして、ついに!
「高田さん! ついにテロリストに対する声明という形で、各国首脳から高田さんの感想欄に感想が乗りましたよ!」
「俺はやったぞ! 努力の甲斐があったぜッ!!」
「やったね――やってしまったね――やらかしたね高田! どれどれ――」
『負け犬のテロリストによる攻撃がまた起きるのか?』
『spaghetti al pomodoro, spaghetti alla carbonara,spaghetti allevongole,』
『いつかいっしょにミサイルうちたいね。せかいのみんなへ! ミサイルうつからなーうっちゃうぞー! うっちゃってもしかたないんだからね!』
『朕ハ遺憾ノ意ヲ表セサルヲ得ス』
「なんだこの感想はッ!! 何故俺の混心こんしんの作品に、こんな意味不明な感想がつくんだ! 作品が非公開になって……俺は一体どうすればいいんだあああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! ちゃんとした感想をくれええええええええええええええええええええええええええええああああああああああああああああああああああ!!!!」
「ま、仕方ないよね。物語を本当にしっかり読んでくれる人なんてそうそういないものさ」
「気をしっかり持ってください高田さん! 私達の冒険はこれからですよ!」
「あと最後に、今更なんだけどさ高田」
「なんだ二藤?」
「――こんな大騒ぎになって作品が非公開になるよか、普通にツ〇ッターで高田の作品を広めまくっていた方が、別の意味でよっぽどテロになっていたと思うよ」
「やかましいッ!!」
かつて流行った学園モノを学ぶべく、高田浩二が入学試験!? 目指すは学園ハーレムだ!
自分の名前も書けないのに果たして大丈夫なのか、高田浩二!
『もうどうにもならないので異世界転移! なろうファイターになろうッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
次回『学園』!
なろうファイト、レディーGO!




