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妻は小説家、夫は主夫  作者: マリーミチコ
9/16

裁縫も家事のひとつよ

明日から2学期が始まる。またバタバタの朝がやってくる。


未央は明日の持ち物を準備していた。

「パパー、体操服に付けてる名札が剥がれちゃってるんだけど縫っといて。今気付いちゃったの」

「え?裁縫苦手なんだけどなぁー。できるかな‥ママに頼もうかな」

「でも今日、ママはお仕事の人と急遽打ち合わせでもうすぐ出かけるって言ってたよ」

「そうなのよ!あなた」

珠美が急いで仕事部屋から出てきた。

「出版社にすぐに行かなきゃならなくて、夜は遅くなるかもしれないのよ。だからあとのことはよろしくね」

「そうなのか‥わかった」


僕は今までまともに裁縫なんかやったことなかったが、これも家事のひとつなんだな。

でも今はインターネットという便利なものがあるから縫い方ぐらい検索すれば大丈夫だろう。

裁縫箱はどこだっけ?僕はまず裁縫箱を探すところから始めた。


30分後、時間がかかったがやっと見つけた。

よし、これを縫いつけたらいいんだな。

僕はネットを見て、縫い方を確認した。

そんなに難しくないかもな。

まず、まち針でズレないように名札をとめた。縫い針に糸を通して、例のように縫っていった。最後は玉止めをして終わり。


「未央ー、名札付けといたから体操服ここに置いておくよ」

「パパありがとう。やればできるね」

「ハハ‥」


翌日、未央は学校へ、真菜を幼稚園へ送って行った。


珠美が起きてきた。

「昨日は帰るの遅くなっちゃって、寝坊してしまったわ。子供達、ちゃんと行った?」

「大丈夫だよ。昨日はおつかれさま。何か食べる?」

「そうね‥濃いめのコーヒーとサンドイッチでもいただこうかしら」

「了解」


「おいしいわ。あなた、コーヒーメーカーも扱えるようになったし、随分テキパキと家事もこなせるようになったわね」

「まぁね。未央の体操服の名札付けも昨日できたしね。君はいつも執筆しながらいろんな家事をこなしてきたんだね。尊敬するよ」

「あら、ありがとう。まっ、当たり前のことだけどね」


午後になり、真菜を迎えに行き、未央も学校から帰ってきた。

「おかえり」

「‥」

「未央、新学期はどうだった?友達と久しぶりに会えるのはうれしかっただろ?」

「パパなんか嫌い」

「え、どうしたんだ?」

「この体操服見てよ」

「見てって‥何も変わったところはないと思うけど‥あっ!」

僕はとんでもない失敗をしていた。

背中側の生地まで縫いつけてしまっていた。

最後に確認をしなくて気づかなかった。

「キャハハハハ。お姉ちゃんの体操服すごいね」

真菜が大笑いをしている。


「未央‥ごめん。今日はこの体操服必要だったのか?」

「運動会の練習があったから。着ようと思ったら着れなかったのよ。恥ずかしくて体操服忘れてきたって先生に言ったの」

「本当にごめん」

「パパのせいでクラスの子にからかわれたの。学校の体操服を職員室で借りたけど、あの体操服、何年も前に使っていた古くて超ダサいデザインのだから」

「今すぐにやり直すから。今度はちゃんと!」

「いや。ママにやってもらう」


「ちょっとちょっとあなた達、何言い合ってるの?」

「ママー、体操服が‥」

「あら大変!パパはあんなに得意げに裁縫できたって言ってたけど、これじゃあ着れないわね」

「ねぇ、ママやり直して。明日も持って行かなくちゃならないから」

「未央、パパにもう一度チャンスをあげて」

「やだ。ママの方が上手だもん」

「パパは苦手なことをやろうと頑張っているの。失敗だらけだけど、パパなりに一生懸命やっているわ。ママがちゃんと監督しとくから」

「‥わかった」


僕は珠美に縫い方を教えてもらいながら名札を付けた。

「できたわね。ちゃんと確認して」

「今度は大丈夫だ。ありがとう」

「それにしても背中側の生地まで縫いつけてるなんておかしくて笑っちゃうわ」


そのあと、真菜がブラウスのボタンが取れたから僕に縫いつけてほしいと言ってきた。

「今度はボタン付けか‥よし、やってみるか」


「パパできた?」

「うーん。一応できたけど。着てみてくれる?」

「パパ、ボタンがはまらないよ」

「え?ズレちゃってる?もう!珠美〜助けて」


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