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妻は小説家、夫は主夫  作者: マリーミチコ
8/16

道夫、オーブンレンジを使いこなす

今日、僕はハローワークに行ってみた。

事務などパソコンを扱う仕事を避けるとサービス業などの接客が多い。それでも簡単なパソコン操作やレジ打ちなどもしなくてはいけない。

僕は料理が好きだから、飲食店はどうだろうと思った。

受付で話を聞くと調理師免許を持っている人を募集している店がいくつかあるとのことだったが僕は調理師免許を持っていないから料理人になるのは無理な話だった。

他にも求人誌や折り込み広告でも探すことにしよう。


咄嗟に出てしまった僕の暴言で珠美から

「仕事をすればいい」と言われてしまった。

まだまだ失敗は多いけど、家事にも少しずつ慣れ、何より子供達と一緒に過ごせる時間が増えたことは実は楽しかったりする。

一時の感情で家族を傷つけるような言い方をして僕は後悔していた。


家に帰ると、珠美がお昼ごはんを作ってくれていた。

「あなた、ハローワークどうだったの?」

「うん‥まぁぼちぼちかな」

「気長に探したら?自分に合いそうな仕事が見つかるまで主夫やってていいのよ」


珠美は僕に働いてほしいのか、主夫をやってほしいのか、いったいどっちなんだ?


「あの、珠美‥時間ある時でいいからオーブンレンジの使い方を教えてほしいんだけど」

「あら、積極的ね。今日は執筆は慌てなくてもいいし、この後大丈夫よ」


「温めと解凍はできるのよね?オーブンは天板を使って肉料理をする時とか便利よ。お菓子作りもできるし、料理のレパートリーが増えていいと思うわ。私は時間がない時はレンジ専用のスチームケースを使って蒸し料理なんかもやっていたし、時短メニューもいろいろあるわよ」

「ふぅーん。ボタンもたくさんあっていろんな機能が選べるんだね」

「これも慣れたら使いこなすのは簡単よ」


未央が夏休みの宿題で、僕の料理を図鑑にしてくれていることを知って、もっと子供達にいろんな料理を作ってあげたいと思った。

せっかく料理だけは得意なんだから調理家電を使えるようになれたらなと思う。


「あなた、だいたいわかったかしら?」

「うん。今日の夕飯はオーブン機能を使って何か作ってみるよ」

「え、大丈夫?‥まぁ失敗しても怒らないからやってみなさいよ」


よし、キッシュを作ってみよう。タルト型もうちにあるし。

オーブンの予熱を初めて操作する。さっき珠美が教えてくれたし、レシピもあるし。

温度設定もできたし、大丈夫そうだ。


生地を型に敷き、具材を流し込んでいると予熱が終わった。

これをオーブンに入れて焼くんだな。

あとは出来上がりを待つだけ。無事に焼けますように。


〝ピーピーピー″

僕はドキドキしながらオーブンの扉を開けた。天板ごと取り出し、キッシュの見た目はいい具合に焼けていた。

中まで火が通っているか少し見てみると、これは成功しているだろうという感じだった。

オーブン機能を失敗することなく使えて、僕は嬉しかった。


「あなた、キッシュ作ったのね?見た目は上手く焼けてるじゃない」

「そうだろ?失敗してないと思うよ」

「パパ、すごいね。早く食べよ」

僕達はキッシュを食べ始めた。

「パパ、これすごくおいしいね」

子供達が褒めてくれている。

「あなた、なかなかやるわね。私が作るよりおいしいわ」

珠美のやつ、僕が失敗すると思っていただろうが上手くオーブンを使えて驚いてるよ。


「パパー、真菜、ココア飲みたいんだけど。温かいのね」

「わかった。ちょっと待ってて」

「あなた、ココアを作るなら牛乳を鍋で沸かすよりレンジでやるほうが洗い物が少なくてラクよ」

「そっか!飲み物の温め機能を使えばできるんだったな」

オーブンレンジは使えるようになると楽しいな。賢い家電だな。


僕はココアと牛乳をマグカップにセットし、

飲み物のボタンを押した。

少しすると〝ボンッ″という音がレンジから聞こえて、扉を開けてみると庫内が牛乳まみれになっていた。

「珠美ー、庫内がすごいことになってるんだけど!」

「あなた!沸騰してこぼれちゃってるじゃない。牛乳入れすぎたんじゃない?」

「あぁーこんなことになるんだね。少し見張ってるぐらいがちょうどいいってことか」

「ちゃんと掃除しときなさいよ。牛乳は拭き忘れがあると臭くなっちゃうから!」

オーブンレンジはまだまだ奥深いなぁー。


「パパー!ココアまだー!?」


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