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妻は小説家、夫は主夫  作者: マリーミチコ
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道夫の心のモヤモヤと洗濯機

毎日暑いが、洗濯物はよく乾く。

さて、今日はシーツやらクッションカバーやらマット類も洗濯しよう。

僕はいつものように洗濯機をまわした。

その間、未央の夏休みの宿題をみるか。

「パパー、算数のワークできたから見といてくれる?未央は工作やりかけるから」

「わかった。工作は何にするんだ?」

「お料理図鑑を折り紙で作るの」

「お料理図鑑?」

「そう。パパが主夫になってから作ってくれたたくさんの料理を折り紙で作るの」

「未央、ありがとう。パパは嬉しいよ」

「ねぇ、パパはお仕事しないの?」

「え‥」

「ママは働いてるけどパパはお仕事辞めちゃったんでしょ?これからまた働くの?」

「う、うん‥そのうち仕事を探して、また前みたいに働こうと思ってるよ。それまでは家のことをやろうと思うんだ。ママも今はすごく忙しそうだから」

「ふぅ〜ん」


未央はどう思っているんだろうか。父親が働かず家事をし、母親だけ働いていること‥

僕は商社で働いていたが、パソコンを上手く扱えず、すぐ誰かに聞いたり、後輩にまで影でバカにされていたことを知っていた。退社する数年前からは窓際社員だった。

失業して珠美には稼いでもらっているけど、このままでいいわけがないと思う。

要領が悪い僕は、家事すら上手くできないし今は再就職するにも何だか自信がない。

珠美は、まず育児と家事をこなせ!そして身近な家電も使いこなせるようになれ!と言ってるわけだから、僕にはそういう身の回りのことからできるようにならなきゃ社会には通用しないってことなのかな‥ 情けない。


〝ピーピーピー″

洗濯機が終わったようだ。

まただ‥時間がいつもよりかかっている。

ちゃんと洗えて脱水もできているが何でこんなに時間がかかるようになったんだろう。

説明書をもう一度読んでみよう。

〝洗濯時間が長引く″のは〝フィルターにゴミがたまっていませんか″

そういえば、この前から〝フィルター掃除″のランプが点滅していたけど、これは自動でフィルターを掃除してくれている意味じゃなかったのか?

そうか!ゴミがたまっているからフィルターを掃除しなさいってことだったんだ。

僕は蓋を開けてフィルターを取り出した。

それはそれは糸くずなどが山のように絡まっていた。こんなんじゃ洗濯機も正常に動いてくれないよな。

僕はゴミを取り除き水垢もとった。

ちゃんときれいに手入れをしてあげないと不具合が起きるんだ。僕は洗濯機の他の箇所も磨いた。そして洗濯機がピカピカになった。

何だか、初めて洗濯機と心を通わせることができたような気がする。少し涙ぐんでしまった。


「あら、あなた。洗濯機の前で何泣いてるの?」

「た、珠美?いや何でもないよ‥」

「そう?おかしな人ね。でも洗濯機がピカピカね」

「そうだろ?僕は洗濯機のこと、もっと大切にするよ」

「は?」


僕は正常に戻った洗濯機を見て微笑んだ。

今、僕にできることをしっかりやっていこうと思った。


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