プリンターは試し刷りが大切よ
さぁ今日は年賀状の印刷をしようか。
珠美は出版社に出かけているからプリンターでわからないことがあっても聞けないが、早く取りかからないと遅くなるから、とにかくやってみるか。
パソコンを立ち上げ、保存している年賀状を呼び出した。そしてプリンターの電源を入れた。
裏面から印刷してみよう。これで印刷をクリックすればいいのかな。
あ、ハガキをプリンターにセットしないと‥肝心なことを忘れるとこだった。
僕は印刷をクリックし、プリンターが動き出したことを確認した。
そして出てきたのはハガキではなく、A4のコピー用紙に印刷されていた。
「なんでハガキに印刷されていないんだ?」
僕はもう一度画面を確かめた。
そして気づいた。印刷用紙がハガキではなくA4紙設定になっていることを。
ハガキ設定に変えて、よくよく見てみると印刷を1枚ずつじゃなくて、部数を設定することもできると気づいた。
これは便利だな。このデザインは40枚印刷するから40の設定でいいな。
僕は印刷をクリックした。
そしてまず1枚目が出てきたが、なんとハガキの表面の方に裏面が印刷されていた。ハガキの裏表を間違えてセットしまっていた。
どうしよう‥どんどん次から次へと印刷されて出てくる。
僕はプリンターに中止ボタンがあることに気づき、慌ててそのボタンを押した。
止まったようだが、8枚が無駄になってしまった‥
僕はハガキの裏表をセットし直し、今度は慎重にまず1枚、印刷をした。
無事成功したのを確認し、そして続けて39枚を部数設定してまとめて印刷することにした。
順調に印刷されていく。やっぱり最初の1枚目は試し刷りをしたほうがいいな。
少し時間がかかるようだからコーヒーでも入れて休憩しよう。
10分後、プリンターを見に行くと20枚目までしかできていない。よく見てみるとインクのひとつがなくなったようで交換する必要がある。そして20枚目がうまく印刷されてなかったから、またハガキが1枚無駄になってしまった。
インクカートリッジのストックがあったので説明書を見ながら交換した。
そして印刷を続行したが、95枚分の年賀状を出すのに9枚を駄目にしてしまったから年賀ハガキは4枚足りない。僕は郵便局に走り、多めにハガキを買い足した。
印刷するのに結構時間がかかるもんだな。失敗もするし、プリンターはパソコンに続いて僕にとって苦手な部類かも。
家に帰り、裏面の印刷の続きをやり始めた。
70枚目が終わったところで、ふと気づくと真菜のお迎えの時間が近づいていた。
お昼ご飯を食べ損ねてしまった。
リビングが年賀ハガキで散乱しているが、ひとまず真菜を迎えに行った。
家に帰ると、真菜はリビングの散らかりを見て驚いた様子だった。
「パパ、何これ?こんなに散らかしてたらママに怒られちゃうよ?」
「うん‥年賀状を印刷してたらこんなになっちゃったんだ。ママは出版社でお仕事だから今はいないよ」
「あ、真菜とお姉ちゃんの写真もあるね。真菜、年賀状作るの手伝ってあげるよ」
「ありがとう。じゃあ、仕上がってるのをここに置いていってくれるかな」
未央も学校から帰ってきた。そして未央も手伝ってくれることになり、3人で年賀状作りをした。
95枚分の裏面の印刷を終え、あとは宛名印刷のみとなった。
インクカートリッジの交換も何度かやり、順調に仕上がっていくのが嬉しくなった。
そして、ついに95枚目の宛名印刷が終わった。
「やったー」
「パパ、おめでとう。ママもきっと褒めてくれるよ」
「うん。未央と真菜が手伝ってくれたおかげで早く仕上げることができた。助かったよ、ありがとう」
「真菜、お腹すいたー」
夕方5時を過ぎていた。
「しまった!夕飯の支度してなかった。急いでやるから待ってて」
珠美が帰ってくる前に散らかっている物を片付けないと。
僕は失敗した9枚のハガキをシュレッダーにかけて処分をし、パソコンとプリンターの片付けを素早くやり、夕飯の支度を始めた。
「ただいまー」
「ママ、おかえりー。年賀状できてるよ」
「意外と早くできたのね」
「未央と真菜が手伝ってあげたからパパが助かったんだって」
「そう。パパをお手伝いしてあげたのね。偉いわ。食後に確認するわね」
「少し遅くなったけど、さぁ食べようか」
「あなた、1日で年賀状を印刷できるなんてすごいわね」
「最初は失敗もしたけど設定さえ間違わなければあとはプリンターがやってくれるしね。朝から夕方までずっとやってたからお昼は食べ損ねたけど、子供達が手伝ってくれて早くできたんだ」
「失敗したってハガキ自体を?」
「そうなんだ。足らない分は郵便局へ買いに行ったよ。無駄にしてしまって勿体なかったけどね」
「その失敗したハガキはどうしたの?」
「さっきシュレッダーにかけたよ」
「あなた!なんて勿体ないことを!書き損じのハガキや印刷ミスは郵便局へ持って行ったら官製はがきに交換してくれるのよ。何円かの手数料はいるけど。まさかシュレッダーにかけるとはね!」
「そうだったのか‥ごめん。覚えておくよ」
珠美は年賀状の仕上がりをチェックした。
「これでいいわ。なかなかやるわね」
「よかった。僕がポストに出しておくよ」
「来年もあなたに年賀作成頼もー」




