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妻は小説家、夫は主夫  作者: マリーミチコ
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授業参観での暴露

「ただいまー」

未央が学校から帰ってきた。

「パパー、聞いてよ!未央が作った夏休みの宿題の工作がクラスで金賞だったの!」

「工作ってお料理図鑑だよね?すごいじゃないか、未央」

「うん。パパが毎日おいしい料理を作ってくれたからだよ。ママはお菓子やパン作りね」

「未央が折り紙で上手に作った成果だね。おめでとう」

「それでね、しばらく学校に飾ってくれることになったから今度の授業参観の時にでも見てね」


そういえば未央がお料理図鑑を完成させたのを見てなかったな。楽しみだ。


1週間後。

僕は珠美と一緒に学校へ授業参観に行った。

「あなた、1年生は作文発表だったわよね?

なんのテーマか聞いてる?」

「確か、生活作文だったような‥家で書いてたのは知ってたけど授業参観までお楽しみにって言ってたよ」

「そうなのね」


僕達は1年生の教室に入った。

まもなく授業が始まるので担任の岡村先生が教室に入ってきた。

「今日は授業参観です。みんなが書いてきた作文を発表してもらいます。テーマは日常生活において、自由に思ったことなどをお父さんやお母さん達に聞いてもらいましょう」



1年生だけどみんな上手に書いてるな。

兄弟喧嘩の話に夏休みの家族旅行の話に習い事の発表会の話など、いろいろ出てくるな。

未央はいったいどんなことを書いたのだろう。次は未央の番だ。


「お父さんが主夫になった


私のお父さんは会社を辞めてから働くお母さんに代わって主夫になりました。

でもお父さんは家のことは全くできなくて、身近な電化製品も上手く使えず失敗してばかりです。

いつもお母さんから怒られていますが、お母さんは陰ではお父さんのことを応援しています。

それからお父さんはお料理だけは上手に作れます。

お母さんもお父さんが作る料理をおいしいと言っています。

お父さんは苦手なことを毎日がんばっているのですごいと思います。

私も苦手なことでもどんどん挑戦していこうと思いました」


未央‥ちょっと恥ずかしいこと書かれてるけど、でもやっぱり嬉しい。僕は少し涙ぐんでしまった。

隣の珠美をふと見ると、赤面していた‥


授業が終わってから夏休みの宿題の工作や自由研究が展示している多目的ホールに移動した。

「未央のお料理図鑑は金賞だよ、珠美」

「すごいわね。あの子、一人でこんなの作っていたなんて。でも私が作った料理はないわね‥あなたのばかりじゃない?」

「え?ママが作ったのもあるって聞いたけど‥ほら!あるよ。お菓子やパン」

「あら、上手ね。すばらしいわ」



僕達は家に帰り、しばらくすると未央も学校から帰ってきた。

「未央、お料理図鑑よくできてたわね。ママのも作ってくれてたのね」

「うん。作文はどうだった?」

「そ、そうね‥ママがパパのことを怒るってところは少し恥ずかしかったかな」

「パパもタイトルを聞いた時はドキッとしたけどパパのようにいろいろなことに挑戦していこうと思うのはすばらしいことだな」

「でも未央、前にパパが未央の洗濯物を失敗した時にすごく怒ってなかった?この前はパパに裁縫してほしくないとか言ってなかったかしら?」

「言ったけど‥まぁ作文なんて建前よ」


ハハ‥建前だなんて難しいこと知ってるもんだな。


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