いよいよ第二の世界<イザルーク>へ!
やっぱり、さすがに本編に入るまでに一ヶ月すぎるのはどうかと思ったので二話連続で投稿してみました!
それにしても一個一個の話の文字数が少ない気が…
まぁ、これ以上量を多くなんて出来なんですけどねw
一応前回のあらすじ書いておきますね。
気付いたら全く覚えのない場所にいた主人公。そこにいたのは神を名乗る老人。そしてその老人から今の状況を聞くことに!
ではでは、お楽しみください!
「━━━と言うわけじゃ、ここまではわかったか?」
「ああ、つまり俺は一度死んでいてその理由が地震でトンネルに閉じ込められていた人たちを助けたからで、それを見ていた神であるあんたが俺に感動して転生させてやろうと思ったってことだよな」
ここに至るまでの状況を説明してくれた自称神の老人に確認を取る。
あまり驚きはしなかった。ついさっき心を読まれたことに加えて俺が覚えている記憶が神の言っていることと一致しているせいかもしれない。
「あまり驚きはせんのじゃな。普通は慌てたりするものじゃろうに」
俺の落ち着きようを見て逆に神が驚いていた。
確かに普通だったら先ほどの俺のように混乱するところなのだろう。しかし、俺は違う。
さっきも言ったと思うが俺の記憶と神の言っていることが一致していることも理由の一つだ、でもこんな非常識を簡単に受け入れられる理由は他にある。
「まぁ、普通ならそうするべきなんだるうけど…今までこれくらいの非常識には何回も遭遇してきてるから、大体俺自身が端から見たら非常識的な人外だったんだし」
そう生前の俺は、俺自身が人としてはありえない存在だったのだ。
小学校四年生にして百メートルで九秒を叩き出したり、中学校の駅伝大会では最終区画を最下位から一位になったり、冬の雪山に遭難した人たちを一人で助けたこともあった。それ以外にもいろいろとあったが、そのたびに言われるのは感謝の言葉ではなく、畏怖や暴言だった。
高校に入ってからは自重してあまり騒ぎを起こさなかったが周りから敬遠されてボッチだった。
(…あれ?思い出したら涙出てきた。)
そんな俺の身中を察したように神はうんうんとうなずく。
「ずいぶんと大変だったようじゃな。しかし安心せい次に童が行く世界は童のような力を持つものでも楽しく暮らせるはずじゃ」
神はそう言うと次に俺が転生する世界の説明を始めた。
要約するとこんなかんじだ。
まず、世界の名前はイザルーク、ひとつの大陸とその南東に諸島があるだけの世界で、国によっては地球より科学が進んでいるところや、中世ぐらいのところがあったりと文明程度はバラバラ。エルフや獣人、巨人といった人種も存在し、何よりも魔法や魔獣といったものまで実在するという。
「ふむ、大方の説明は以上じゃ、何か質問はあるか?」
再び自分の髭で遊び始めた神は説明に対して何か質問がないか俺に聞いてきた。
特にその世界のことに関して質問するようなことは無い。それほどまでに神の説明は丁寧なものだった。なので俺はイザルークのことではなく、もっと前から気になっていたことを聞いてみることにする。
「イザルークに関しての質問じゃないけどひとつ良い?」
「なんじゃ?言ってみよ」
俺の断りに神は軽く頷いた。
(それじゃあ遠慮無く)
心の中でそうつぶやいてから神に質問を投げつけた。
「なんで俺が転生すること前提になってるの?俺、まだやるなんて一言も言ってないよね」
「「………」」
俺がその言葉を言ってから数秒間、この白い空間の空気が固まったのを俺はしっかりと体感した。まぁ当然だろう。むしろこうなることは想定済みで言っている。しかし、この時俺は事前に予想していたはずの空気とは少し異なる違和感を感じていた。その違和感を見つけるためにあたりを見回そうとした。そしてその答えはすぐにわかった。神の顔だった。その顔は俺が予想していたのとは少し違っていた。
「何を言っておるのじゃ?童が望んだから儂は転生してやろうとしているんじゃぞ」
そう、この顔は相手が何を言っているかわからない時の顔だ。
「儂は言ったはずじゃぞ?童の行動に感動したから願いを叶えてやるとな」
なるほど、俺は神の言葉で納得した。
神は最初に会った時から必要に俺の心を読んでいた。おそらくあれはバシップスキル(常時使用しているもの)なのだろう。だから死ぬ寸前の俺の願いも聞きとることができたのだ。
「みんなと一緒に楽しく生きてみたかった」と言う俺の願いを。
「…ふっ、そういうことか。ならお礼を言うべきだった訳だ」
俺は静かに頭を下げた。今までの非礼を謝るため、そして願いを聞いてくれた礼の意味も込めて。
そんな俺に神は自分の髭を触っていた手を俺の頭の上にポンポンと乗せてくる。
「いいんじゃよ。童に悪意がなかったことは分かっておる」
その後、俺にとても暖かい微笑みを見せてくれる。
「さてと、そろそろ時間じゃ。次の世界イザルークでは楽しく過すんじゃぞ!」
神が俺の前から一歩後ろに下がると足元から明るい光が発光し始めた。
神の言う通りそろそろイザルークへの転送が始まったのだろう。俺は神に笑顔で手を振った。
不思議な感じがする。つい数時間前に会ったばかりの彼が俺には何かもっと昔から知っていたように感じたのだ。それこそ生まれた時から知っていたような、自分の父親のような感じだ。それが神の持つ神秘性なのだと勝手に自己完結させながら体を包む光に身を預ける。そして、体が完全に光に包まれた時俺、八神空也はイザルークの世界へと転生した。
ということで今回はここまでです!
次回は、間幕をひとつ挟んでついに本編、イザルークの世界へ行きます。
来週までには投稿したいです。
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