表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人魚咲く  作者: 黒衛
21/21

二十、 花開ク  完



女は笑っている。優しく、とても嬉しそうに。


「死ぬくらいなら、私が貰いたかったのさ。ずっと独りだったからね」


退屈だったのさ、一人ぼっちは。と女は呟いた。


「寂しかったんだよう。だからお前がお前を要らぬと言うなら、

 私が貰っても良かろうと思ったのさあ」


寂しかったという気持ちは、男にも分かった。

皆死んで、庄屋の息子とたった二人取り残されたと思った、あの時。

誰も居なくなって、自分だけが置いて行かれたと知った、あの瞬間。


あんな気持ちは、もう二度と味わいたくは無い。

女は、そんな風にたった一人で、長い時間を過ごしてきたのだろう。


「……お前のことを聞かせてくれ」

「そうだね、寝てる間に話してあげよう。気が遠くなるくらい昔のこともね」


長い長い夢を見られそうだと思った。


「目が覚めたら、お前は私の仲間だ。

 そうしたら、ずっと一緒にいておくれ」



“ずぅっと一緒にいておくれな”



耳元で囁く女の吐息と、髪を撫ぜる細い指。

柔らかな膝に頭を預けて、男はゆるゆると目を閉じた。

さわさわと真白い大きな花が揺れて、ふうわり甘い香りが漂う。

男は幸福な夢を見る。






――


小さな滝壺の隣で、満開の花が咲いている。

空は青く、日は暖かく、風と水は清らかな美しい日。

そうして、枝一面に白い花をつけた二本の大きな木が、寄り添うように並んでいる。


――








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ