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人魚咲く  作者: 黒衛
15/21

十四、 呪い 3

※本話にはショッキングな描写が存在します。閲覧にはご注意下さい。



「おお、これが人魚の肉か」


不老不死だ、妙薬だと口々に喜ぶ村人の声が聞こえた。

男の前にも肉が回ってきたが、男は手に取らなかった。

きらきらと透明な身を見て、あの綺麗だった人魚を思い、涙が溢れてきた。


「さ、それではどうぞ」


庄屋が武士に勧める。

武士は箸を取って、摘み上げた切り身をゆっくりと口の中に運んだ。

それを見て、庄屋と村人もそれぞれに自分の肉を平らげた。


「如何でございますか?」


薬屋が武士に問う。


「ふむ、こりこりと新鮮な食感だがあまり旨みはないな。

 味がしなくてまるで水のよう――」


げえ。


武士の言葉を、湿った呻き声が遮った。

待ちきれずにこっそり先に食べたらしい男児が、血混じりの反吐を吐いて倒れたところだった。


その瞬間には何が起きたか分からなかった。

しかし、直後、同じように胃液をぶちまけて女子供が次々と倒れ出した時には、事態は明白だった。

幼い者や体力のない老人から順に、血と反吐を撒いて地に伏す。

妻子を助け起こそうとした男達も、胸を掻き毟ってもがきながら、同様に血を吐いて悶え始める。


「何だこげえええ」


驚いて立ち上がった武士の口から、噴水のように鮮血が噴出した。

背中からどうと畳に倒れた武士は、そのまま動かなくなった。

庄屋は鼻と口から反吐を垂れ流し、白目を向いて縁側から転げ落ちている。

さながら、辺りは地獄絵図に変わっていた。




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