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異世界町工房の少年商会主

作者:tomo@tomo
最新エピソード掲載日:2026/01/18
魔法が生活の中心にある異世界―ルメル王国。
王都の外れ、職人と貧民がひしめく下町「ブリキ坂」で、十歳の少年レンは生き延びていた。

ある冬の朝、レンは路地で暴走しかけた魔導具を“修理”して止めてしまう。
その一件で、腕利きだが口の悪い鍛冶工房の少女ミア・ボルツ(17)に拾われ、工房に住み込みで働くことに。だが、魔導ギルド監査局は「安全」を盾に、子どもの手による“勝手な改造”を危険視し始める。

レンの夢は、魔法が使えなくても誰でも同じ品質で使える“便利”を広めること。
この世界には存在しない革新的な家電―冷蔵庫やテレビを作り、売り、直し続けられる「商会」を立ち上げるのだ。

まず狙うのは、腐る薬、捨てられる肉、冬の病を前に「保存=命」を変える装置。
レンは“冷える箱”―保冷庫の試作を始めるが、結露で木が腐り、金具は錆び、冷えは足りず、さらに魔石から漏れ出す「漏魔(ろうま)」が体を蝕む。
理想だけでは作れない。現場の限界も、金の現実も、安全の壁もある。

そこに現れたのが、魔導学院の上級生セラ・リンデ(19)。
彼女は漏魔や暴走熱を“測定”し、危険を数値で突きつける。「便利は願いではなく条件―安全を作れ」と。
レンの発想、ミアの加工、セラの測定。三人は衝突しながらも、魔石と機構を組み合わせた複合具(ハイブリッド)として、保冷庫を“商品”へ引き上げていく。

しかし、普及の兆しは利権を揺らす。
模倣品が出回り事故が起き、レンの信用は崩れかける。監査官イングリッド・クロウ(32)は「危険器具指定」をちらつかせ、合法的に工房を潰しに来る。
さらに、契約も保証もない下町では、作っても金が入らず、次の材料すら買えない。

少年は気づく。
発明は“作る”だけでは終わらない。守るには、紙(契約)と規格(安全)と修理網(保守)が要る。

やがて訪れる品評会―公開実演の場。
レンは冷えるだけの装置ではなく、「危ない時に止まる」安全設計と、検査票、保証、修理体制を示し、技術ではなく“仕組み”で逆転を狙う。

勝てば、商会は始まる。
だが勝った瞬間、第二王子アルベルト(18)が告げる―「君の技術は国が欲しい」。

冷蔵庫は生活を変える。
テレビは情報を変える。
便利は人を救い、同時に権力にもなる。

十歳の少年商会主の「家電革命」は、下町の火床から、王国の秩序そのものへ燃え広がっていく。
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