表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
煙の旅人  作者: さい
1章 忘れた世界
6/17

6.始まりの装備



 買い取り受付で先ほど倒した魔獣の素材を渡す。もちろん、亜空間を繋げ直した巾着から。


「魔狼四体分と灰色魔狼が三体分か、検品するからそのまま待っててくれ」

 

 そう言うとその場で検品を始める。

 

「首を一太刀か、随分と腕がいいな。毛皮は全部で小金貨一枚、爪と牙は銀貨八枚、肉はどうする? 少しブロックにして持ち帰るかい?」

「灰色魔狼を一体分ブロックにしてくれ」

「あいよ。手数料分引いとくぞ」


 解体は手慣れたもので、すぐにブロック肉と金を渡される。


 次は依頼書の確認に向かう。


 確かにEランクの依頼は採集が多いようだ。見慣れない薬草名もある事だし、今度試しに受けてみよう。

 

 Bランクまでの討伐依頼は、知っている魔物が殆どだ。しかし、Aランクからは、知らない魔物がちらほらと増える。


 

 依頼を確認していると、先ほど絡んで来た青年に声をかけられる。


「さっきは悪かったな。俺はティネル、登録できたのか?」

「ああ、俺はシガーだ。そうだティネル、この後暇か?」

「俺? 今日は休息日だから、暇だぞ」

「ちょっと付き合え。さっきの詫びだ」

 

 街の案内が欲しかったから、ちょうどいい。

 ティネルは「おう」と言うと仲間に声をかけて、こちらに戻ってくる。


「街に来たばかりなんだ。案内を頼みたい」

「よし、それなら任せとけ! 宿はもうとったか?」

「ああ、北の春風って宿だ」

「あー、あそこなら安心だな。なら大丈夫だ」


 

――

 


 ティネルは本来、人懐っこい性格のようだ。

 先ほどの仲間たちとパーティを組み、彼は主に斥候を担当しているらしい。二年前に冒険者となり、今はCランクだそうだ。

 

 ティネルの案内で、日用品や地図を購入していく。


 手っ取り早く情報を集めるなら、本屋もいいが情報量が多すぎて取捨選択が難しい。なにより、少しずつ知る方が脳に優しい。



 途中、神官服の男が手を井戸に向けて、祈祷をしているのを見かける。

 

「あれは何をやってるんだ?」

「シガーは王都から来たのか? まあそれなら、あっちは水道が通ってるから見る機会はないか。あれは、水の浄化だよ。この地域だと、だいたい昼だな。昼前は瘴気が多いから気をつけろよ?」


 水源は多少なりとも瘴気汚染があるようだ。この国では、水は神官が祈ってからじゃないと飲めないらしい。

 

 浄化が終わると、街の住人が井戸に集まり、手慣れた動きで桶を満たしている。どうやらここの住人にとって、家族分の水を確保するのが、昼の仕事らしい。


 ティネルは当たり前の顔で通り過ぎ、次の目的地へと向かった。

 



 防具屋は年期を感じさせる、石造りの建物だった。

 

「ここが、俺のパーティがよく行く防具屋だ。頑固なじーさんで、こっちの要望が通らない時もあるけど、最終的にはなんか良くなるぜ」

「それは安心だな。ティネルは防具屋に用はあるか?だいぶ連れ回したから、もうここでいいぞ。今度飯でも奢ってやる」

「やりい! じゃあ俺は帰るなー、忘れんなよ!」


 正直な所かなり助かった。

 ここで生活する人間が行く店が、一番安全だからな。

 

 手をぶんぶんと振り、走って帰るティネルを見送り、防具屋に入る。

 最低限の胸当てやらが、無造作に棚に置かれている。あまり、既製品は置かないようだ。


「なんだ、新顔だな」


 店主は初老の小柄な男で、分厚い眉と腕の毛に覆われた肌。ドワーフ族だ。

 そりゃあ頑固な訳だ。

 

「ああ、今日この街に来たシガーだ。素材はある程度持ってるから、一式頼めるか?」

「ランドルだ。剣士か? 戦闘スタイルは?」

「剣をメインに、補助的に魔法ってとこだな。防御力よりも、動きやすさを重視したい」


 魔法にばかりに頼ると、剣の腕が鈍る。積極的に剣は使って行く方針だ。

 

「値段は?」

「小金貨一枚程度ってとこだな。たぶん、すぐに新調する」


 無愛想だが、話は早い。


「なら、アラクネの魔糸、リザードマンの鱗皮、大猿の皮、トレントの樹液、魔石二個。あるもんは?」

「アラクネの魔糸は量がないな。それ以外は、持ってる分で足りるだろう」

 リザードマンはCランク。アラクネ、大猿、トレントはBランクの魔物だ。


 必要な素材をカウンターの上に並べた。


「足りそうか?」

「なんだ、溜め込む質か。……ふん、悪くないな。足りない魔糸はこっちで出す」

 ランドルは、初めて表情を崩して言った。


「いざ必要な時に、取り行くのは面倒だしな」

「いい心がけだ。それだけ素材があれば、こっちは製作だけで済む。銀貨八枚でいい、この素材なら明日の昼頃には仕上がるだろう」


 銀貨八枚は防具一式としては、明らかに安い。

 持ち込みが効いたか。

 

「ああ、わかった。明日また来る」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ