二回目の昨日
アメリカに行く飛行機で客室乗務員のお薦めのお酒は?
「そろそろ日付変更線か……」
元刑事のAは飛行機でアメリカに向かっていた。Aは何回も渡米しているが日付変更線を越える時は毎回興奮する。昨日に戻るというある意味タイムマシンのワクワク感。
「Aさん、日付変更線越えの一杯は如何ですか。」
Aの知人Bは客室乗務員をしており、Aが乗っている便に乗務していた。
「これを楽しみにしとったんですわ。日付変更線を越えながら飲むのは格別です。Bさん、今日はお薦めとかないんですか。」
「ハイボールはどうでしょうか。ウイスキーはジャックダニエル、アメリカ先取り気分にピッタリです。お酒の注ぎ方は半人前ですが、そこは御了承下さい。」
Aはハイボールを飲み終えた後もBは機内を巡回していたが、Bの動きに違和感を得た。Bが客室乗務員用休憩室に向かったのでAも後追った。
「うっ…!」
客室乗務員休憩室内に銃を持った男がおり、Aはその男を気絶さえた。AはBと他の客室乗務員と一緒にコックピットに入った。バン!バン!機長の横には銃を持った男がおり、Aに気付いた瞬間銃を乱射した。Aは銃を払いのけてその男を捕らえた。
着陸後、銃を持っていた男達はアメリカの警察に逮捕された。
「Aさん有難うございます。流石、元刑事ですね。」
「Bさんがハイボールをジャックダニエルで作ってくれたお陰ですよ。お酒の注ぎ方も全然半人前ではありません。それにしても、日本で一日無事に終わったのに昨日に戻って事件に遭遇するとは……」
ハイジャックされた機内で乗り合わせた知人の元刑事の勘に託す客室乗員のSOSメッセージ。




