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狂禍四魂  作者: 発戸あいす
第1章
18/77

17.到着

 翌日の朝、客船は予定通りに木霊こだまじまに到着した。そこは面積の大半を森林が占める土地。しかし、島の中央部には明らかな人工物として高層ホテルが建設されている。


 元々は、海などの自然を体験できる行楽地として、無人島を開拓した場所であるらしい。もちろん、現在はオークションの開催のために、島は貸し切り状態である。


 船の停泊後、オークション参加者が続々と島の中に入っていく。島内には多数の警備員が待機しているようだ。参加者はその視線の間を歩きながら、会場であるホテルを目指すことになる。


 また、道を外れた森林の中では、船内の監視担当を含むオークション関係者が集まっていた。


「よし、客船の監視担当は全員いるな。ほら、お前の考え過ぎだっただろう?」


 人数を確認した後、おおは勝ち誇るように、龍宮たつみやに言葉を投げた。


「あ? 警戒するに越したことはないだろうが。何もないなら、それで良い。私は先にホテルに戻るからな」


 直後、龍宮は苛ついているのか、早足でその場を去っていった。


「それで、船内に不審な輩はいなかったのだな?」

「はい。怪しい会話や行動をしている人物はいませんでした」


 大和田に対して、船内の監視担当の一人が答えた。


「良かった、良かった。今日のオークションは無事に遂行できそうだな」


 大和田は高らかに笑っている。


「大和田さん、そろそろオークション始まりますよ。会場に戻りましょう」


 スタッフが大和田に声をかけた。


「先に行って良いぞ。俺は少し喫煙所寄ってから向かう」

「わかりました」


 そして、スタッフもホテルの方に戻っていく。一方で、大和田は上機嫌でホテル外にある喫煙所の方にゆっくりと歩いていった。







 同時刻、はいたちも他の参加者に紛れるように、ホテルへの道程を歩いていた。


「あのホテル、何階建てなのでしょうか……」

「うーん。二十階以上はありそうだね」


 前方に聳え立つ巨大な建物に、灰音たちは目を奪われていた。


「……あの中から、神器を見つけるのは骨が折れそうだな」


 ななも少し溜息を零している。


「普通のオークションだったら、わざわざ商品を探す必要もないのに……」


 今回のオークションの場合、闇商品が表向きには別の商品として進行する。つまり、闇商品の現物がオークションの舞台に登場しないと考えられる。このため、灰音たちはオークションの最中に、闇商品の保管場所を探し出し、神器を奪い去ろうとしているのである。


 また、闇商品の保管場所を発見できなかった場合は、オークション関係者が落札者に神器を渡す瞬間を狙うことになる。このときには、骨董品鑑定士という肩書が役に立つ可能性があるだろう。


「後は、昨日の夜に出会った二人組も警戒する必要がありますよね?」

「ああ、もちろんだ。しかし、今のところは姿が見当たらないな」


 七瀬は長身を活かして周囲を見渡している。


 会場であるホテルに入るためには、この道を通るしかない。よって、あの二人組も群衆と一緒に進行していると考えられるのだが、それらしき人物は発見できない。服装が変化していたとしても、若い女性は珍しいので、群衆の中で目立つはずだ。それでも見つからないのは、そもそも群衆の中にいないということなのだろうか。

 

「最悪、衝突することになったとしても、私とほむらで足止めしますので。七瀬さんは神器捜索の方に集中していただいて大丈夫ですよ」

「……すまないな。いつも戦闘の役割を押し付けてしまって」


 七瀬は申し訳なさそうな表情をしている。


「気にしないでください。だって、私たちには神器を見つける手段ありませんから」


 その後、三人はホテル内へと足を踏み入れるのだった。







「ご案内いたします。本日のオークションは当ホテル一階のメインホールでまもなく開催となります。会場は既に入場できますので、席にお座りいただき、今しばらくお待ちください。また、当ホテルは全館禁煙となっております。ご理解のほど、よろしくお願いいたします」


 ホテル内では、アナウンスが繰り返されている。会場にも、続々と人が集まり始めているようだ。


「大和田さん、遅いですよ。もうオークション始まってしまいます」

「……すまない。それで、龍宮はもう配置についているのか?」

「はい。先ほど電話で話しましたが、問題ないと思います」


 ホテル内会場に隣接するスタッフルームには、少し息を切らした大和田の姿があった。オークションの開始に間に合うように、慌てて走ってきたのだろう。


「念のため、俺が龍宮のところへ確認に行こう」

「自分が代わりに行きましょうか?」

「いや、俺は自分の目で見たものしか信じない性格だ。俺が行く」


 会話を強引に切り上げるように、大和田はエレベーターの方へ向かっていった。スタッフは一人取り残されて、呆然と立っている。


 その後、会場から司会と思わしき声が聞こえてきた。オークションが幕を開けたのだ。しかし、それは表の戦いと言えるだろう。その裏で生じる神器を巡る争いは、既に始まっている。

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