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氷翼の天使  作者: 物部 妖狐
第一章 目覚めたらそこは……
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薬草の採取と街での出来事

 街に戻るついでに薬草の採取をして感じるのだが思ったよりも面倒くさい。

種類によっては根から全部抜かなければいけないし、根本の少し上の当たりを刈り取るようにしなければ枯れてしまうという物もある。


「……手伝って貰いたいのだが」

「疲れてるから無理、ごめんね兄貴」

「……そうか」

(んー、リーゼちゃん採取した薬草少しだけ貰うね?、少しだけ魔力が戻ったから手伝ってあげる)


 セツナが私の手から薬草を取ると優しく両手で包み込み意識を集中すると、何も無い空間から複数の種類の薬草が現れ地面へと落ちて行く。


(……これで数は充分?)

「……気持ちは嬉しいが顔色が悪いぞ、無理をするな」

(でもリーゼちゃん一人だと大変でしょ?、お姉ちゃんは下の子の面倒を見てあげるものだもの、頑張っちゃった)

「セツ姉大丈夫?、辛かったら兄貴が背中におぶってくれるから言ってね?」

(うん、大丈夫だよミコトちゃん、心配してくれてありがとう、でもおぶったりはしなくていいよ?えっとその、ほら私機械の翼のせいで重いから……、それよりも早く街に行こ?)


 セツナが両腕で抱きかかえるように薬草を持つと顔色が悪いのに小走りで街の方向へと走って行く。

ミコトが焦ったように姉を追いかけて行くが、先程の疲れた顔は何処へ……?


「……疲れたと言っていた割には元気ではないか」


 思わず小さく笑みをこぼすと遠くへと行きつつある二人の姿をゆっくりと歩いて追いかける。

まぁ、街からそこまで離れてはいないし、これ位の速度でも問題無いだろう。

そんな事を考えながら街の前に着くと入り口付近で二人が暇そうにしながら待っている姿が見えるが……、何故かミコトは何やら不機嫌な顔をしており、周囲の道を行く者達が何事かと振り返ったり立ち止まって様子を見ていて、何とも言えない不穏な雰囲気になっている。


「――でね?セツ姉、遅いから一回二人で注意した方がいいと思う、マイペースなのもいい加減にしてって、妹の私が言っても聞いてくれないと思うけど……セツ姉が相手なら素直に聞くと思うんだよね」

(マイペースなのはリーゼちゃんのいい所だと思うよ?、セスカやシュラちゃんは真面目な子だし、レイスちゃんは自分の意志が弱い子だけど周りに合わせられるでしょ?、ミコトちゃんが優しい子なのと同じで、皆が違うのは良い事だと思うよ)

「でもさぁ、悪い所は悪いとちゃんと言うのって大事だと私思うんだよね」

(気持ちは分かるけど、相手の悪い所や嫌な所ばっかり見ちゃダメだよ?誰にでも良い所があるから、そこを見て褒めて伸ばしてあげよう?)

「それだとお姉ちゃんじゃなくて、お母さんだよセツ姉……」


 話の内容的に二人の間に入りづらいのだが何時までも立っている訳にも行かないだろう。

とりあえず近づきながら声を掛ける事にしたが、予想が間違いで無いのなら私の顔を見た瞬間にミコトが怒りをぶつけて来る可能性がある。


「……待たせたか?」

「あ、セツ姉やっと兄貴が来たよっ!遅いっ!もう夕方なんだけど!?」

「貴様らが走って行くからだ、そこまで急ぐ必要は無いだろう」


 予想通りミコトが表情に怒りの感情を浮かべてこちらに寄って来る。

急いで行かなければいけない訳では無いのだからそんなに怒る必要も無いだろうに……、こういう時はとりあえず謝った方がいいのかもしれないが、経験上こういう時に平謝りすると更に怒らせてしまう事になるからな、黙っていた方が良いだろう。

……そうすればセツナが間を取り持ってくれる筈だ。


(……ん、確かにそうだけど急いで行けば直ぐに皆で休めるでしょ?)

「だからと言って顔色が悪くなる程に疲れているのだから無理をするな、無理をして倒れた時に周囲に私達が今はいるからいいが、もし一人の時に倒れたら何が起きるか分からないのだからな」

(ん、イフリーゼは優しいね、セツナお姉ちゃんが頭を撫でてあげるから屈んで?後ミコトちゃん薬草持って貰ってもいい?)

「……人前だぞ?」

(私がリーゼちゃんの頭を撫でてあげたいの、だから屈んで?)

 

 セツナはこうなると絶対に引かない、私が折れるまでずっと手を頭に乗せて撫でようと様々な手段を使って試そうとするだろう。

現に私が頭に伸びて来た手を避けると口に空気を溜めて頬を膨らませながら必死に私の肩を掴んで屈ませようとして来ている。

しょうがないから諦めて言われた通りにすると笑顔で頭に手を乗せて撫で始めると……


「……見ろよ、あの綺麗な黒髪の子、笑顔で水色の髪の子の頭を撫でてやがる」

「姉妹なのかな……、それに近くにいるのはミコト様でしょ?確かこの前街に来た時に怪我をした家族が目を覚ますのを待ってるって言ってたから、もしかしてだけどあの二人の女性がそうなのかも」

「その話をする時凄い辛そうな顔してたもんなぁ、って事は目を覚まして元気になったのかもな、良かったなぁ、うん」


……何やら周囲の人物が何やら言っているが残念な事は私は男性だ。

顔の見た目や声は確かに周囲の人物からしたら男性に見えないかもしれないが、それはあくまでそのように作られたからで肉体は男である事には変わらない。

そんな事を思いながら黙ってセツナが満足するまで撫でられると、私を見て面白そうに笑っているミコトの腕を掴み冒険者ギルドへと向かうのだった。

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