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氷翼の天使  作者: 物部 妖狐
第一章 目覚めたらそこは……
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冒険者ギルド

 あの後不機嫌な顔をしたミコトを宥めた私達は再び冒険者ギルドに向かう道中で、妹にどうして翼の消し方を教えてくれなかったのかと聞いて見ると……街の人達に合わせた方がいいかなぁって思って色々と試してる内に出来たけど……、天族がそんな事になってるなんて知らなかった、という言葉が返って来た。

こういう感覚的な事に関して最も秀でているのがミコトの長所ではあるが、何分自分が出来る事は兄姉も当然出来る物だと思い込んでいる時が昔からある。

今回も言葉には出さなかったがそんな感じだろう。


「――皆ここが冒険者ギルドだよっ!この前怪我を治してあげた人が教えてくれたから間違いない筈」

「俺を迎えるのに適した立派な屋敷だな、特別に褒めてやる」

「シュラ、貴様の為に作られた物ではないだろう、その全てを自分中心に考える悪癖を治したらどうだ?」

「イフリーゼ……、貴様兄に対してその言い方は教育が必要なようだな」

(……喧嘩は止めよ?、それよりも建物の前に居るのは迷惑になるから入ろう)


 セツナは扉を開けると冒険者ギルドへと入って行く。

入口付近で言い争いをする必要は無いだろう、それにシュラの悪癖に一々付き合う必要は無いだろう。

再びこの世に生を受けたとはいえ、この時代に馴染む事が出来ないのなら淘汰され孤立するだけだ。


「あ、セツ姉待って!……って行っちゃった」

「セツナは僕達が喧嘩するのを見るのを嫌がるから、シュラとイフリーゼが喧嘩を始めたから怒ったんだろうね」

「あなた達の仲が悪いのは目覚めても変わらないのね」

「イフリーゼが一々俺に突っ掛かって来なければこんな事にはならん、弟の癖に生意気過ぎる、レイスを見習え」

「……せめて尊敬できる兄になってから言うのだな」


 鋭い目つきで睨みつけて来るシュラを一人その場に残して冒険者ギルドの中に順番に入って行くとそこには、獣の耳が生えた魔族やこの世界の様々な種族の人間がいる。

そして略全員が入って来た私達に注目しているようで不快な視線を感じるが……、背中に機械の翼を生やした少女が来たと思ったら、今度は外で言い争いをする声が聞こえ、その後に見慣れぬ集団が入って来たら見るなという方が無理があるだろう。


(……皆魔族がいる)

(セツ姉、今の時代は魔族じゃなくて獣人族って言うらしいよ?、この前街に一人で降りた時に冒険者達の傷を治してたら魔族の人もいて、反応に困ってたら獣人族を見るのは初めてか?って言われたから間違いないと思う)

(ふん、くだらんな、魔族だろうが獣人族だかどうでもいいが、気に入らないなら滅ぼせばいいだけだ……、違うか?)

(シュラ、今はもう気に入らないなら滅ぼせばいいという時代ではないって事分かってる?、悪いけど私達のような存在は現代では異物のようなもの、自覚した方がいいんじゃない?)

(……くっ、まぁいいそこまで言うなら従ってやる)


 この時代では魔族の事を獣人族というのか……、それにこの感じはなるほど人間社会に溶け込みやすい種族だけが生き残ったという事だろうか。

獣の耳と尻尾を持っていう奴等は確かに、この世界に存在する獣達に近い特徴がある。

つまりは獣と同じ特徴を持つから獣人と呼ばれ親しまれるようになったという事か……、だがそれならゴブリンと呼ばれた緑肌の種族やコボルトという獣の頭部を持った者達は他種族を使って繁殖したり、自分以外の種族を食料とみなしていたからな、長い歴史の中でやはり淘汰されたと見た方がいいだろう。


「……あの当冒険者ギルド・スメラギ支部に何の御用でしょうか」


 ここの職員だろうか、受付と思われる場所から老齢の男性が杖を歩いて出て来たと思ったら、態々近くに来て話しかけて来る。

それにスメラギという名前、栄花と呼ばれるこの世界の中心にある国の首都だった筈だが……


「ん?君強いね」

「レイ兄、変な事言わないで……」

「ふふそう見えますかな?、元Aランク冒険者でしたが今では冒険者を引退し、余生をこの冒険者ギルド内で働いて過ごしている身でしてな、もう戦う事は出来ませんよ、このように杖が無ければ歩く事も出来ませぬ」

「……その杖に仕込まれている刃が無ければ説得力があったのだがな」

「おや、そこの水色の髪の方は目が良いようですな……」


 老齢の男性が丸いハンドルのような形をした持ち手部分をひねると、杖が変形し片刃の鉈のような剣になる

そして先程とは違い、私達には及ばないとはいえ確かな強者の気配、これはレイスが感じたように実力があるのは確かなようだ。


「おいあいつら、ギルド長のカフスを怒らせたみたいだぜ?」

「死んだわまじで、老いたとはいえ元Aランク冒険者【杖鉈】のカフスだぞ?なにやってんだよ」


……どうやらこの人物は杖鉈のカフスというらしい。

なるほどあれは剣ではなく鉈だったか……、それにしても老いて尚強さを維持する才能と能力、これはめんどくさい事になりそうだな。

そしてカフスと呼ばれたギルドの長は私達を睨み『あなた達のような強い力を持った方達が何をしに来たのですかな?返答次第ではギルド長として実力を行使せねばならなくなるのですが……、答えて頂けますか?』と問いかけて来るのだった。

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