第4話 3vs1
岩垣から声が響いてきた。
(誰?新しい、私への供物かな?)
ニュキニュキと音をたて、牛若姫の頭から鋭く尖った白い二本の角が生えてくる。
《警告、人化の半解除状態により牛角が戻りました。》
「おいおい、あの嬢ちゃん、角が生えてきたぞ、妖怪じゃねぇか。 大将!滅するかい?」
赤髪に金色の目をした二メートル近くある大男がマサカリを担ぎながらこちらを覗きみている。
「討滅するなら、私がいきましょうか?主様」
青髪の長髪に琥珀色の瞳をした美青年が主の命令を待っていると・・・
「お二人とも、ちょっと待ってください!殲滅するにしても、ちゃんと準備をしてから・・・」
緑色の髪を後ろに一つのおさげにした小柄な美少年が討伐しようとしている二人の男に忠告する。
どうやら こちらを覗きながら、どう行動に移すべきか話し合っているみたいだ。どちらにせよ、この三人は、妖怪であるこの私を殺す気であるようだ。
(不愉快な人たち・・・でも、敵で私を殺しにくるなら・・・殺っちゃっても正当防衛だよねぇ~!)
不敵な笑みを浮かべながら、三人が殺しに来るのを待っていると・・・
そんな、三人の意思を遮るように主と思われる男が別の命令を発した。
「いや、妖憑きの可能性もある。ここは、拘束して様子をみよう、貞光は彼女の動きを止めて、
綱は封印術式の準備を、金時は隙をみて彼女の意識を奪ってくれ」
「「「了解」」」
今まで、殺すべきと発言していた3人は、素直に命令を受け、牛若姫を拘束するべく向かっていく。
貞光とよばれた青髪長髪の男は、二本の刀を抜き、牛若姫に斬りかかる。
「主様の命令だ、貴様を拘束する!」
(私を・・拘束? 面白い事をいう人間だなぁ~!だけど、こっちの血のほうがおいしそうだ・・・)
牛若姫は、足元に転がっている山賊を放り出し、貞光に向かって斬りかかり、簡単に切り伏せるはずだった。 だが・・・
ガキィィン
(!? まさか・・・私の剣が人間に受け止められた?・・・ムカつく!)
剣豪スキルを使用している斬撃を防がれ、怒りと動揺から隙ができると
「抵抗するのは構わんが腕の一本二本は覚悟しろ! ”氷雷狼牙”!!」
貞光の二本の刀から電気と冷気の二匹の狼の首が現れ、牙をむき、牛若姫に襲い掛かって来た。
(くっ!まずい・・・)
すかさず二匹の狼を斬りはらうが少しダメージを受けてしまった。
距離をとりつつ人化を解いて本気を出そうと試みたが、突如、体中の力が吸い取られるように抜けていく。
(なに・・これ?・・力が、妖力が錬れない?・・・)
私の足元には、赤く光る五芒星の術式が展開されていた。
「どうやら成功したみたいですね・・すみませんが貴方の力、封じさせて頂きます!!」
いつの間にか私の背後に回っていた綱と呼ばれていた緑色の髪の少年は、
両手で印を結んでこちらの動きを封じる術式を組んでいた。
「くっ・・術師か!ならば、お前から殺せばいいだけのこと!」
「わるいが嬢ちゃん、おイタはここまでだ!!!」
綱に斬りかかろうとした私の真上から赤髪の屈強な男がマサカリを振りかぶって現れた。
「眠ってな!!雷電四柱縛り!!!」
金時がマサカリを地面に叩きつけると四本の土柱が現れる。柱から電流が私に流れてきた。
「くっ!あああああああああああああ」
(こ、このままやられてたまるか!!くっ・・・お、お父様)
ドサッ
感電し、地面に倒れた私は、そのまま意識を失った。
牛若姫の手元から落ちた牛頭の赤黒く禍々しい光は消えていた・・・
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