第3話 殺戮少女降臨
武器を作成した私は、いよいよ逃げ込んだこの山から出て人里に下りることにした。
(妖怪として生きるにしても父も仲間も全滅して、私一人だけになってしまったし、前世の記憶が戻った今、人間と争うのもなぁ~)
ということで人に化けて、人としてひっそり平和に暮らしたい、そしてイケメンを見つけて結婚して幸せな家庭を築いて暮らすんだ。
「よし、では、さっそく、人化!!」
人化を発動した私の身体は光に包まれていく。四足あった牛の下半身が光の粒子になって消えさり、かわりに人間の足が現れ、頭の両サイドにあった角が消えた。
光が消えた先に立っていた私は、白髪の髪に赤い瞳の小柄な美少女になっていた。
「角と牛の足は、なくなったみたいだけど髪と眼の色は変わらなかったか~。とにかく妖怪ってバレないようにしなくちゃ・・」
この世界の人間は、黒髪で黒い瞳が基本で、それ以外の色を持つ人間は妖憑きとよばれ、忌み嫌われて迫害されていた。
妖憑きとは、何かしらのかたちで人間が妖の力を手に入れることをいう。ハーフだったり先祖がえりが多い、たまに呪い持ちなどという元々は普通の人間だったという者もいるらしい。
(まぁ、私は妖怪そのものなんだけどね)
鍾乳洞を出て、人里を目指して夜の山道を暫く進んでいると、前の方から松明の明かりが見えてきた。
《警告します、この場に近づく熱源反応を感知しました、おそらく山賊の類かと思われます》
密告者の警告からしばらくして、10メートル程離れた木々の間から灯りを持った大柄中柄小柄な3人組の男たちがこちらに向かって歩いてきた
「おい、こんな山奥に、しかもこんな夜遅くに娘子が一人でおるぞ」
「ちょうどいい、最近、収入がなかったし、捕まえて奴隷商に売り飛ばしたら高く売れそうだ!」
「でも、髪が白いぞ、こいつ、妖憑きなんじゃないか?」
「なぁに 妖憑きなんて迷信だ、それにこんな上玉で胸もデカいし、先に俺達で楽しむってのも悪くない。」
「そうと決まれば、さっさとフン縛って持ち帰ろうぜ」
私を捕まえようと、いやらしい顔をした山賊と思われる男たちが近づいてくる
(ど、どうしよう人間と争いたくないのに・・・このままじゃ、捕まって売られちゃうし・・・
まぁ、山賊だし、殺っちゃても大丈夫だよね、人間相手といっても・・・うん!正当防衛)
心に人を殺す覚悟をするよりも先に牛頭を抜いていた。
妖怪として生まれ変わったせいなのか、人間を殺そうとすることに、不思議とためらうことはなかった
「・・・・・!?へ?」
私に手を伸ばしてきた中柄の山賊の腕が消えていた。
剣豪スキルを使い牛頭で山賊の腕を斬り飛ばしたのだ。手首から血を噴き出して狂乱している山賊の首をすかさず斬り飛ばし、噴き出した返り血を浴びて何かにとり憑かれたように牛若姫は笑っていた。
(なに…これ?)
「くっ・・・この!!化物がぁっぁぁ」
ズバッ! ブシュゥゥゥゥゥ
私に斧を振りかぶって来た大柄の男が真っ二つになり血しぶきをあげ二つに分かれて倒れた。
(とっても気持ちいい・・・!!)
二人斬り殺したところで、最後の一人が逃げ出そうとしたから、すかさず足首を斬り、逃げられないようにする。
「ひ、ひぃぃ・・・お、お願いだ!命だけは勘弁してくれぇぇ!!」
大量の返り血を浴びた私は、とても気持ちいい気分になっていた。
(不思議だ、武部 瑞季としての記憶では血に弱く、人間を殺すなんてありえないはずなのに今の私・・・血に飢えている?・・まだ、まだ全然血が足りないよ!!)
《警告!警告!!半狂乱状態により、人化が解除されそうです!》
密告者の警告がまったく耳に入っていない牛若姫の手元には刀身を赤黒く光らせた牛頭が次の獲物の血を求めていた。
(・・・足りない、足りない、もっと!もっともっと!!血を浴びたい!!)
「お前の血をよこせぇぇぇぇ!!!」
もっとたくさんの返り血を求めて野獣のような目をした牛若姫が、山賊に止めを刺そうと刀を振り下ろそうとしたその瞬間
「そこまでだ!!」
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