1話:神様のお願い
初投稿です。
気まぐれで書いたので不定期更新です。
基本レギュラーの登場人物は山田くんと神様だけの予定です。
俺の名前は山田太郎、どこにでもいる男子大学生だ。この名前のせいでいろいろあったが今ではそれをネタに笑いをとれる程度のコミュ力を手に入れた。そんなどうでもいいことは置いておくとして、これから起こる俺の奇跡的な悲劇を語っていこうと思う。
12月24日、今日はクリスマスイブってやつだ。企業の策略に踊らされおもちゃを買いあさったり、性悪女がプレゼントをせびるために財布を連れて街を徘徊する日だ。
こんな混沌とした日は家にいるのが一番だ、異論はミトメナイ。だけどずっと家にいるのも飽きた。いつもつるんでる友人はサンタとトナカイをやっているころだろう。
ネットをすればいいんだろうが雪でアンテナをやられた。へし折れた。修理までネットはお預け、ケータイもリア充の群れに巻き込まれあえなく破損した。
とことんついてない。
「そうだ、レンタルビデオでも借りてこよう。確か駅を抜けたとこにレンタル屋があったはず」そう思って支度を始める、そして気づく
「駅に行くにはホテル通りを抜けなくてはいけない、駅の近くの公園を通り抜けなくてはいけない、そもそも待ち合わせによく使われる駅を通り抜けなくてはいけない。迷子常習犯な俺がいつもと違う道を使ってたどり着けるわけがない」
詰みました。投了です。サレンダーです。
たかが暇つぶしのためにメンタル削りに外出たくないです。気分を変えるためにベランダに出て柵によりかかる。
「サンタさん、俺にBDをください、できるだけ早く、できるだけ多く、、お仕事手伝うくらいはしますから」
『え?本当かい?そんなものでよかったらお願いしようかな』
「はい?」
いつものむなしい独り言に返事をされたと思ったら足元に大きな黒い穴が開いた。ベランダの下は庭のはずなのに底が見えない。柵につかまることもできずに落下
黒い穴に吸い込まれ落下中、下に大量の布袋が見える。あそこが地面か
着地!
「ぐへぇ!!」
失敗!
「いたたたた」
膝を少し曲げて衝撃を吸収しようとしたけれどさすがに無理で、自分の膝に胸をどつかれる。
『ごめん、乱暴すぎたね。大丈夫かい?』
透き通るような、脳内に直接語り掛けるような声が聞こえる。顔を上げると赤と白の暖かそうな服を着た金髪碧眼でちょっとくせっ毛の子供がいた。あのふわふわした頭を撫でたらさぞ気持ちがいいだろう。
『急にごめんね、急いでたものだから手荒になってしまった。謝るよ、それでさっそくで悪いんだけど本題に入らせてもらうね』
小学校にも似たような喋り方をする奴がいたな、いつも笑顔で女子とおままごとをするようなおとなしいやつが確かこんな喋り方をしていたはずだ。あいつは今どうしてるんだったっけか。
『っとその前に自己紹介だね。僕は子供の神、子供な神様じゃなくて子供のための神様だからね。一年間いい子にしていた子供たちにプレゼントをあげたり、いい子にしてた分幸福になれるようにしたりするのが仕事の神様』
ああそうだ、確か幼稚園の先生になりたいとかで頑張ってるんだったか、今度連絡とって遊びにでも誘うか
『まあ最近は恵まれている子供が多いから後者の仕事のほうが多いんだけどね、僕の真似をしてプレゼントをあげる習慣がついたから下手にプレゼントをあげると親御さんとかぶっちゃって』
確か同窓会で連絡先交換してたよな、ケータイ、ケータイ・・・ぶっ壊れてたんっだった。畜生リア充どもめ、どこまで俺を傷つければ気がすむんだ。
『それで頼みたいことなんだけど、、、って聞いてる?』
「ああ、うん、将来は幼稚園の先生になりたいんだよね」
『全然聞いてないことだけはわかった。』
「すんません」
子供がむすっと大人みたいに怒るのってなかなかレアだな、かわいい、癒される。
『急に連れてこられてパニックになってるとか現実逃避してるとかならまだしもさ、ただの考え事で聞いてなかったのはさすがに傷つくよ?』
「考えてること読まれてる!?ヤダー」
『読めないよ、今の僕じゃあ相手の精神状態くらいしかわからない』
精神の状態が分かるってすごくね?ポーカー最強じゃん
『君ねえ、、はぁ、今度はちゃんと聞いといてね?』
「はい」
幼稚園の先生が子供にメって叱るように注意された。ギャップ萌えってやつか、子供は前から好きだけど違う方向に目覚めそうだ。ロリババアっていいよね。
『もう一度言うけど僕は子供のための神様でいい子に幸福を届けたりするのがお仕事、昔はプレゼントとかを配ってたんだけど親御さんたちが代わりにやってくれてるから今はやってない』
「いわゆるお役御免ってやつ?」
『ニュアンスが違うんけど、、まあいいや、今少し困ってて君の力を貸してほしいんだ』
「前々から人とは違うと思ってたけど、まさかショタ神様に助力を求められるだけの力が!!!」
『ごめん、君に特別な力は備わってないんだ。』
「うん、そんな気はしてた」
ショタをスルーされるとは、この神様いい人だな、神か。
「それで子供を幸せにする神様が俺に手伝わせたいことってなに?」
『うん、実は落とし物をしてしまってね。それを君に探してほしいんだ。』
「自分では探せないの?神様なのに?」
『神様だって万能じゃないんだ、それに僕がそのまま世界に降りると大変なことになるんだ』
「大変なことっていったい」
『僕たち神様っていうのは神秘や奇跡、力の塊のようなものなんだ。そのまま世界に降りれば身にまとう力が周囲に散らばって大きな影響をしまう。僕たち自身は多少力が流れ出た程度でどうにかなるようなことはないんだけど、その力に当てられたものは大きく変質してしまうんだ。昔、空の神がこけて君たちの世界にそのまま落ちたことがあったらしいんだけど、そのせいでただのトカゲがみるみる大きくなっちゃって大変だったらしいんだ』
「それってジュラk」
『だから僕ら神は気軽に世界に降りれないんだ。降りるには人の体に入るとかの力が流れ出ないよな工夫が必要なんだ。僕の場合は年に一度使える力を抑える帽子を使ってプレゼントを届けてるんだけど』
「してないね、帽子」
『そうなんだ、ちょっと寝てる間にあるトナカイがいたずらをしたみたいで世界に落としてしまったんだ、他にもなくなってるものがいくつかあってそれを君に探してほしい』
「俺を穴に落としたみたいに取ったりできないの?もしくは人の中に入ったり」
そのいたずらしたトナカイどうなったんだろ
『どうも落とした世界が魔力のあふれる世界で僕の力じゃ介入できないんだ。それにどこにあるのかもわからないし。人の体を借りようにも波長の合う子はいないし用意するには時間がかかりすぎる』
「え」
『そこで運よく君を見つけることができたんだ。適当に選ぶのはかわいそうだし一人ひとり呼び出して意見を聞いてたんじゃらちが明かないから助かったよ、ありがとう』
「魔力って言いました?」
『うん、君たちがよくゲームの題材で使うような、、MPだっけ?そんのがある世界』
「そこに行ってもらうと」
『うん、そのつもり。あ、心配しないでね。ちゃんと元の世界元の時間に返してあげるしお礼もするから』
「俺魔法使える?」
『魔法使いたいの?男の子だねー、いいよ使えるようにしておく。ただし元の世界に戻っても問題がないように周囲の魔力を操れるような魔法だけね。超能力とか肉体を強くしたりしちゃうと戻せないから』
「異世界転生キターーーーーー」
『あはは、急に元気になったね。転生とは違うんだけど喜んでもらえるなら僕もうれしいよ』
神様ちょっと引いてるけどうれしすぎて叫ばずにはいられない!落とし物探すだけとはいえ異世界旅行できんじゃん、最高かよ!ショタ神さまマジ神だった。
「それで俺はどうしたらいい!教えてショタ神様!」
『(元気だなー)魔力の制御や向こうの言葉なんかは残ってた道具で何とかなるし、魔法の使い方や常識なんかは向こうの世界についてからナビしてあげられるからいいとして。装備、、君の世界から持っていきたい物ってある?さすがに種とか生き物とか影響を与えすぎるのはだめだけど』
「持っていきたい物、お金がないと最初苦労しそうだから最低限のお金は欲しい、換金できるものでもあればいいけど?」
『宝石や調度品とかだと盗品扱いを受けちゃいそうだしどうしようかな、、うーん、、』
「向こうの世界ってどんな風にお金を稼ぐんですか?」
頭を抱えてうなる神様かわいい
『君の世界とそう変わらないよ、雇用されて働いてお金をもらう。鉱石や木、肉を手に入れて売る。』
「魔物とかはいないの?」
バトルのない異世界転生なんてやだよ??
『魔物はいるよ、魔物を倒してお金を稼ごうと思ってるなら悪いんだけど素材を売るのにもギルドに登録する必要があるんだ、登録するのにも多少お金はで、えーと、うーんと』
「ツケは?」
『初対面じゃ無理だと思うよ』
「盗む?」
『僕のせいで犯罪者になっちゃうのは忍びないからダメ』
「向こうの世界からとってくる!」
『向こうの世界のものは取れないってば』
「じゃあ偽造!」
『それだ!』
「いや、それだ!じゃない思うんだけど、いいの?神様なのに」
手のひらにポンとこぶしを落とす仕草はどこか古臭いが逆にかわいい
『何十枚も作るわけじゃないし、その程度で物価は変動しないから大丈夫!』
「まあそれなら」
早く異世界行きたいしここは流すか
『それじゃあ銀貨30枚銅貨50枚くらいあればいいよね』
神様が両手を広げるように手を伸ばすと銀っぽい粉と銅っぽい粉が目の前にでてきて球を作ったと思ったらメダル状に分裂していった。
『仕上げっと』
神様が両手をパンッと合わせると銀貨には女の人の顔が、銅貨には小屋のような建物の絵が彫られた。
「おおーすげぇー」
『そんなに大したことじゃないよ、君たちがむやみに捨ててるごみの中や埋め立て地から少し集めただけだから。微細だけどかき集めればそれなりの量になるんだ。君たちの生活には無駄が多すぎる。金が貴重って言っておきながら結構捨ててるしね』
「なんで金貨はくれないの?」
『えっとね、金貨を使うのは貴族か大きい商会、あとはギルドでも高い地位にいる人くらいなんだよ。普通の人には縁のない硬貨だよ、たまに成金や自慢したい人たちが発行したりするけど大金をポケットに収まるサイズにすると盗まれやすいからまずしないね』
「ちなみにどれくらいの価値があるの?」
『そうだね、食パン一斤で銅貨二枚だから銅貨は100円くらいの価値かな。それで銅貨100枚で銀貨1枚、銀貨100枚で金貨1枚。だから銀貨が100×100で1万円。金貨が1万×100で100万円ってとこかな』
「つまり、、、、、、30万5千円!!!?そんなにもらっちゃっていいの!?」
100万が一枚に収まるのはさすがに怖いな
『まあギルド登録で銀貨一枚くらいはかかるから、それに住むとこも必要でしょ?』
「ありがとうございます」
神様はどこまでも神だな
『でも、働かなきゃすぐなくなるからね?気を付けてね?』
「合法的に魔物が狩れて稼げるなんてむしろラッキー、でも急いでるって言ってなかったっけ?」
『ああ、君の世界と向こうの世界は時間のまわり方が違うし、落としたものが戻ってくれば魔力のない君の世界の時間くらい巻き戻せるもの』
「神様すげぇ、さすが神!」
『えへへ、それじゃあこれ渡しとくね。なくさないようにつけてあげるからかがんで』
「イヤリングとネックレス?」
神様が俺の耳にイヤリングを付けてくれた、挟むタイプだ。むず痒い。金色でつけた時に少しだけ光った。
『こうすれば盗られることはないだろう。これで向こうの人と話せるようになった。文字は僕が読んであげる』
つまり本が読みたいときは神様が朗読してくれるわけか。よし!!
『服はこれに着替えて、それじゃあ目立つから、お金はちゃんと持ったね?なくさないように気を付けて、向こうの世界に行ったら物を渡したりはできないから。あれもしたしこれもした、、さあ、少し準備に手間取ったけどこれで出発できるね。これから君を世界でも中くらいの大きさの街の見える丘に送る、気候は安定してるから安心してほしい。街に入るには魔法道具の水晶で犯罪歴を見られる必要があるけど大丈夫だよね』
「うん前科とかはないよ、でもなんで街中じゃないの?」
『入場記録も住民権ももってない人が現れたら怪しいでしょ?最悪街から出れないよ。それに魔法の練習もしなくちゃいけないでしょ?』
「それもそうか、それじゃあよろしく」
『うん、それじゃあ送るよ。探してほしいものはチェックし終えて明確にわかってから教えるからそれまではギルド登録して好きに暮らしてくれていいからね』
金色の線が地を這うようにぐるぐると俺の周りを回り始める。転送が始まったのか。ワクワクする。
「ああ、あと介入できないみたいなこと言ってたけど帰りはどうしたらいい?」
『なくしたものの中にソリがあるんだ、それを使えば魔力の満ちた土地でも空間でも時間でも飛び越えられる。仮にも僕の、神様の道具だから壊されるようなことはないから安心して』
「神器ってやつか」
響きがかっこいいな、浮遊感が強まってきた。そろそろか
「最後に一つ」
『なに?』
「いたずらしたトナカイってどうなったの?」
『おいしくいただきました』
さも当然のように言い放った神様の笑顔に内心ぞっとしながら異世界へと送られたのであった。
「ショタ神様は怒らせないでおこう」
今度の独り言には返事がありませんでした。
気が向いたら更新します。
・一応山田くんはショタコンでもホモでもありません。
・最終的にちゃんと帰らせる予定です
・ハーレムは作りません
・俺ツエーはさせますが最強ではありません
・子供の神様は人が生まれてから誕生した神様でたくさんいる神様のうちで権力神力ともに下から数えたほうが早いです
・神様の裁きはどの神様でも基本えげつないです