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第四話「魔道機関と拾われ奴隷」

すこし ぐろいかも

「ある日、俺は奴隷商人と出会った。」

クラークは重々しい口調で話し始めた。

「そいつは働かせるための奴隷ではなく、性処理要員としての奴隷や、虐待用の奴隷を売っている変わったやつだった。でも俺はな、なんかその子達を救ってあげたいという衝動に駆られた。なにより、傷跡から察するに殆どの子が四肢を何かしら奴隷商人によって切られていたからね。本人もそう言ってた。」

俺はすかさず言った。

「おい、その6人って……」

「まぁ落ち着け。最後のほうで大団円になってるからこの話」

クラークはなだめるように遮って言った。

「まず、奴隷商人に俺はこう言った。『そこの片手しかなくて指も数本しかないサイクロプス族の女はいくらだ』とね。そう言ったら『全然売れないし飯は食いつぶす。もうタダでもあげますよ』と返された。クソッタレ商人の気前は良いが、少女の目には世界への憎しみしかないように見えたなぁ。」

隣に座る、さっきまでデレデレでエロトークを繰り広げていたサイクロプスの少女、エルは少し俯いていた。

「で、家というか拠点というか、ここに帰ってきてから少女に俺はこう言ったのよ。『どんなに代償を払っても、あの商人に復讐する力がほしいかい』とね。そして、少女は首を縦に振ってその意思を表した。そして俺は、彼女を魔道生物に改造してから残りの片手も切断して、四肢に『魔道機関』を取り付けたのよ!あとはエル、お前が喋れや」

するとエルが喋り始めた。

「実は私、物心ついたときから親もいなくて、そこを商人に捕まえられたの。何度も殴られて、片足も指も切り落とされた。失血で死なないようにって、炎魔法で傷を炙られた。もう死んでしまいたかった。けど、ますたぁが私に復讐のきっかけを作ってくれたの。まずおくすりで眠らされて、目が覚めたときには体中の痣も何もかも直っていた。そのあと片手を合意の上で切り落としてもらって、四肢全てを鉄と鉱石で出来た不思議なものに替えて貰った。

感覚もあるし、動かせる。そのあと、私は『エル・マキナ・スーサイド』という名前をもらった。とても嬉しかったわ。存在を初めて認められたかのようで。

そして、ますたぁは「誘発」という魔法を1日かけてたくさん教えてくれた。それを唱えると、義手や義足から強力な魔法が飛び出したり、力が強くなったりするの。」

俺は、彼女の悲しい、苦しい過去に戦慄すると同時に、あの不思議な義手、義足はどうやら魔力などによって動かされているクラークの発明品であることをうっすらと感じた。

「そして私は、この義手と義足の力を使って奴隷商人を殺した。おそらく一番得意な炎魔法などで抵抗しようとしたんだろうけど、詠唱する暇も与えずすぐに誘発魔法『真空刃』でバラバラにしてやった。楽しかったわ、あいつの歪んだ表情、飛び散る臓物。最高の死に様だった。そしてますたぁは、残りの5人もここに連れてきたの。優しいでしょ、ますたぁは」

俺は少女の語るその復讐のおぞましさと狂気的な美しさに恐怖を感じた。

するとクラークはこう言った。

「話をずらすが、こいつらの義手義足、または武器は魔道機関っていってな、古代魔法とかの原理で動く俺が作った機械だ。だから古代魔法を使うためにそもそもこいつらは魔道生物に俺が改造してる。俺もそうだが、魔道生物は再生力が異常に高いから傷や感染症なんてすぐに治る。ましてや人為的に改造されて作られた魔道生物。ここから見た目は老化もしないし、副作用で成長もできない。さらに、寿命はあと10世紀はあるかなー。俺も」

「10世紀!?」

俺は驚くことしかできなかった。スケールが違う。

「まぁ、餓死では死ぬがな。ただ生きるために必要な栄養必要量も少なくなってるけど、空腹感は相変わらずだから陸龍食べてる」

「なんで、国に報告しないんだ?金貰えるのに。」

「いや、だって食料にしてるだけだから別に金はいらんし、むしろそのまま食べた方が得。金があってもそんなに使わんし、使おうと思って街に出たら情報誌の取材に確実にひっかかって面倒だ。なんなら金なんぞ一人で陸龍狩って報酬でウハウハしようとしてのたれ死んだ討伐師からかっさらえば良い。一人で狩ろうとするやつは大概いい鎧とか着てるから、そいつを洗って質に出せばそこそこ儲かるしな。あと金はほとんどこいつらの服と俺の研究費で使ってるからお前には貸さんぞ」

俺は言った。

「人としてどうかと思うぜ、クラークさんよ。」

クラークは笑って、「もう人じゃねぇよ、魔道生物クラーク様だよ」と返した。

「ますたぁ、お上手!」昔の話をしてから少し暗い表情をしていたエルが、笑った。

クラークはエルにこう言った。

「お前は今まで笑ってない分、笑え笑えぃ!」

まるで娘のようだな、と俺は感じた。

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